この記事の案内人・編集長
稲垣 瑞稀
古くなった万年塀。「そろそろ撤去しないと危ないのかな……」と不安を抱えていませんか?「撤去費用の相場」がわからないからこそ、業者への依頼をためらってしまうお気持ちお察しします。
万年塀の撤去費用相場は「1m2あたり約5,000円〜11,000円」が目安です。また、建物の解体と合わせて依頼すると費用を抑えられる傾向にあります。
万年塀は部材が重く、基礎が地中深くに埋まっているため、一般的なブロック塀よりも撤去に手間がかかります。また、重機が搬入できるかなどの現場の環境によって費用が大きく変動します。
そこでこの記事では、万年塀の構造や劣化のサイン、実際の見積もり例を用いた撤去費用の内訳を専門家の知見でわかりやすく解説します。
- 万年塀(鉄筋コンクリート組立塀)の基本構造と、ブロック塀との違い
- 老朽化した万年塀の安全性を確認する、4つのセルフチェックポイント
- 万年塀の撤去費用相場(1m2あたり約5,000円〜11,000円)と実際の見積もり例
- 万年塀撤去の流れ(狭小地の施工事例)
- 撤去費用を適正に抑えるための補助金制度と、優良な解体業者の選び方
監修者
現場解説一般社団法人あんしん解体業者認定協会 お客様窓口 マネージャー
辰巳 浩晃(たつみ ひろあき)
解体工事のご相談・現場調査の立会い・見積書説明など、お客様窓口としてお客様の不安解消と工事サポートに注力するマネージャー。「同じ解体でも、ひとつとして同じ現場はない」を信条に、一件一件の個性を大切にしながら、お客様が晴れやかな気持ちで工事当日を迎えられるよう伴走。お持ちの見積書が適正かどうかも、数分のお電話で判断できるよう、第三者目線でのアドバイスを心がけている。この記事では現場のリアルな視点から解説を担当。
運営責任者「スッキリ解体」編集長
稲垣 瑞稀(いながき みずき)
解体業界専門のWebメディアでWebディレクターとして6年以上、企画・執筆・編集から500社以上の解体業者取材まで、メディア運営のあらゆる工程を経験。近年は解体の前段にある空き家問題(管理・解体・補助金・税制)にも取材領域を広げている。正しい情報が届かず困っている方を助けたいという想いから、一個人の責任と情熱で「スッキリ解体」を立ち上げ、全記事の編集に責任を持つ。
執筆「スッキリ解体」専属ライター
丸山 夏実(まるやま なつみ)
「”わからない”という不安を、”わかった!”の安心に変えるお手伝いをします。」
はじめて解体工事に直面する方の不安な気持ちに、誰よりも共感することを大切にするライター。数多くの業者インタビューや専門勉強会を通じて、プロの専門用語を一般の方にもわかりやすく伝える。読者と同じ目線に立ち、一緒に不安を解決していくパートナーのような記事作りを信条としている。
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万年塀(まんねんべい)とは?基本構造や特徴、ブロック塀との違い

「万年塀」とは、1950年代から1970年代の高度経済成長期にかけて、住宅地や事業所の境界壁として広く普及したコンクリート製の塀です。正式名称を「鉄筋コンクリート組立塀」と呼び、工場で大量生産された規格部品を現場で組み立てるだけで完成するため、施工の早さとコストパフォーマンスの良さから重宝されてきました。
柱・板・笠木からなる「組み立て式」の構造

万年塀は、主に以下の3つの独立したコンクリート部材をパズルのように組み合わせて構築されます。
- 柱(支柱):塀全体を支える骨格です。地中に基礎として深く埋め込まれ、側面には板を差し込むための「溝」が設けられています。
- 板(平板・パネル):柱と柱の間の溝に、上からスライドさせるように差し込んで積み重ねるパネルです。
- 笠木(かさぎ):塀の最上部に被せる蓋のような部材です。雨水が内部へ浸入するのを防ぎ、劣化を遅らせる役割を持ちます。
万年塀のメリットデメリット
万年塀には、高度経済成長期に広く普及した理由となるメリットがある一方で、設置から数十年の年月が経過した現代においては、構造上のデメリットが目立つようになっています。主なメリットとデメリットを項目別にまとめました。
| 項目 | メリット | デメリット |
| 施工・コスト | 工場で生産された部材を現場で組み立てるため施工が早く、設置費用を抑えやすい。 | 非常に重く基礎も深いため、将来的な解体・撤去時の費用が高額になりやすい。 |
| 構造・安全性 | コンクリート製で外部からの視線をしっかり遮るため、プライバシー保護や防犯に役立つ。 | 組み立て式という構造上、横揺れ(地震など)に弱く、老朽化すると部材が落下・倒壊するリスクが高まる。 |
| 維持・管理 | 部材が独立して規格化されているため、同サイズの板があれば部分的な差し替えができる。 | パネル1枚が約40kgと重く、個人での手軽な補修やDIYでの対応は困難。 |
運営者 稲垣設置当初はコストパフォーマンスや防犯面で優れていた万年塀ですが、現在の耐震基準や老朽化の観点から見ると、維持管理の負担や倒壊時のリスクといったデメリットが大きくなっているのが実情です。
万年塀とコンクリートブロック塀の違い
同じコンクリート製の塀でも、万年塀とブロック塀では構造や強度が異なります。それぞれの特徴を以下にまとめました。

| 比較項目 | 万年塀(鉄筋コンクリート組立塀) | コンクリートブロック塀 |
| 構造 | 等間隔に立てた柱の溝に、コンクリート板を上から落とし込んで組み立てる構造。柱ごとに独立した基礎を持つ。 | ブロックをモルタルで接着しながら積み上げ、内部の空洞に鉄筋を通して一体化させる構造。地中に連続した基礎を設ける。 |
| 強度 | 板内部の鉄筋が細く、組み立て式のため横揺れに弱い傾向がある。 | 縦横に太い鉄筋が配置されており、基準を満たしていれば面全体で揺れに耐える強度を持つ。 |
| 撤去費用 | 部材が重く、柱が地中深くに埋まっているため、重機作業や廃棄費用がかさみ、高額になりやすい。 | コンクリートブロックは内部が空洞になっており、万年塀よりも軽いため手作業でも解体がスムーズに進みやすく、撤去費用を抑えやすい。 |
| 主な用途 | 敷地の境界線を示す役割や、外部からの視線を遮る目隠し。 | 隣家との敷地境界や目隠し、風よけなど、幅広い用途で利用される。 |
運営者 稲垣万年塀は「組み立て式」という構造上、ブロック塀に比べて地震などの横揺れに弱く、部材が重いため解体する際の手間やコスト負担が大きくなりやすい特徴があります。
なお、ブロック塀の解体については以下の記事で詳しく解説しています。よろしければあわせてご確認ください。

【専門家が解説】老朽化した万年塀の安全性セルフチェックリスト
屋外環境にあるコンクリートブロック塀に期待される耐久年数は30年程度とされており、施工から半世紀以上が経過した万年塀も、老朽化によるリスクが高まっています。
出典:国土交通省
ブロック塀は、良い設計・施工で造られたものでも、常に外気に接する過酷な環境にあるため、約20年で鉄筋にさびが認められるようになります。日本建築学会の調査によると、ブロック塀に期待する耐久年数は約30年です。
引用:資料2-2 あんしんなブロック塀をめざして|国土交通省
現場解説
一般社団法人あんしん解体業者認定協会 お客様窓口 マネージャー
辰巳 浩晃 (たつみ ひろあき)
解体工事のご相談・現場調査の立会い・見積書説明など、お客様窓口としてお客様の不安解消と工事サポートに注力するマネージャー。「同じ解体でも、ひとつとして同じ現場はない」を信条に、一件一件の個性を大切にしながら、お客様が晴れやかな気持ちで工事当日を迎えられるよう伴走。お持ちの見積書が適正かどうかも、数分のお電話で判断できるよう、第三者目線でのアドバイスを心がけている。この記事では現場のリアルな視点から解説を担当。
ここでは、『あんしん解体業者認定協会』で数々の現場を見てきた辰巳マネージャーのアドバイスをもとに、万年塀の安全性をご自身で確認できる4つのチェックポイントをまとめました。
【万年塀の老朽サイン】
- ひび割れ:雨水が内部へ浸入する経路になります。
- 錆汁(さびじる):表面の茶色いシミは、内部の鉄筋がサビて溶け出しているサインです。
- コンクリートの剥離:サビて膨張した鉄筋が、コンクリートを内側から破壊しています。
- 柱の傾き・笠木のぐらつき:地震や強風でパネルが抜け落ちる恐れがあります。
さらに詳しいチェックポイントを見る
マネージャー 辰巳浩晃これらのサインがないか、以下のポイントに沿って確認してみましょう。また、明らかに倒壊の可能性がある塀には近づかず、専門の解体業者などに早急に解体を依頼しましょう。
【チェックポイント1】基礎部分のひび割れや沈下
塀全体の重さを支える基礎部分は、重要な確認箇所です。
0.3mm以上の幅のひび割れがあったり、地面が沈下して基礎が浮き上がっていたりする場合、塀の安定性が損なわれている可能性があります。
基礎のひび割れから浸入した雨水は内部の鉄筋をサビさせ、膨張した鉄筋がコンクリートを破壊してしまうため、小さなひび割れでも注意が必要です。
【チェックポイント2】塀全体の目に見える傾きやパネルのズレ

少し離れた場所から塀全体を見て、まっすぐ立っているかを確認します。
目で見てわかるほど傾いている場合や、柱とパネルの間に不自然な隙間・ズレが生じている場合は注意が必要です。
糸の先に五円玉などを結びつけたものを塀の表面に垂らしてみましょう。塀と糸の間の隙間が、上と下で大きく異なる場合は、塀が傾いている証拠です。
【チェックポイント3】:コンクリートの劣化と内部鉄筋の露出
長年の風雨によりコンクリートの表面が剥がれ落ち、内部の「鉄筋」が見えてしまっている状態は、劣化が進行しているサインです。
コンクリートの骨組みである鉄筋がサビて空気に触れていると、塀の強度は低下してしまい、地震などで倒壊するリスクが高まります。
【チェックポイント4】:「控え壁(ひかえかべ)」の有無と状態
控え壁とは、塀が倒れないように支えるため、塀本体から直角に突き出すように設置された壁(または柱)のことです。
万年塀の控え壁には、ブロック塀の基準のように「高さが1.2mを超える場合、長さ3.4m以下ごとに、壁の高さの1/5以上突出した控え壁を設けなければならない」などの法令上の基準がありません。
しかし、自治体の安全点検ガイドラインなどでは、万年塀であっても一般的なブロック塀の基準(控え壁の有無や根入れの深さ)を参考に危険度を判定されるケースがあります。
この控え壁がない、あるいは控え壁自体にひび割れなどの劣化が見られる場合、地震時等の抵抗力が不足している可能性があります。
マネージャー 辰巳浩晃実は、万年塀にはブロック塀のような「建築基準法で定められた細かな設置基準」が存在しません。目視で詳細な安全性を判断するのは難しいため、ひび割れや傾きなどの劣化が少しでも気になったら、早めに解体業者などの専門家へ相談することをおすすめします。
万年塀撤去の費用相場と実際の見積書・費用の変動要因
引き続き辰巳マネージャーに実際の見積書を用いた費用相場の解説をしていただきます。
撤去費用の目安(1m2あたりの単価)
万年塀の解体・撤去にかかる一般的な費用相場は以下の通りです。
| 依頼方法 | 費用相場(1m2あたり) |
|---|---|
| 万年塀単体で依頼 | 約8,000円 〜 11,000円 |
| 建物と一緒に依頼 | 約5,000円~10,000円 |
※費用相場は「あんしん解体業者認定協会」が保有する2023年~2024年の全国約1,200社の見積もりデータを基に費用幅を算出したものです。この価格はあくまで目安です。
マネージャー 辰巳浩晃万年塀の撤去にかかる費用相場には、本体の撤去費用のほか、使用する重機を現場へ運ぶための「重機回送費」や、近隣への配慮として騒音・粉塵を防ぐための「養生費」などが含まれます。
マネージャー 辰巳浩晃建物の解体工事と一緒に万年塀の撤去を依頼した場合は、建物を壊すための重機をそのまま流用できたり、万年塀のコンクリート片を建物解体で出た廃棄物とまとめて処分できたりするため、撤去費用を安く抑えられる傾向があります。以下の実際に使用された見積書を例に解説します。
万年塀撤去を含んだ解体見積書①【東京都北区の事例】
![木造2階建建物解体工事の御見積書。境界部分万年塀撤去処分※東側隣地様境界部分[数量]27.4㎡[単価]5,000円[金額]137,000円の部分が赤枠で強調されている。](https://sukkiri-kaitai.b-cdn.net/wp/wp-content/uploads/2026/06/mannembei-01-724x1024.jpg)
| 品名 | 数量 | 単価 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 境界部分万年塀撤去処分※裏側隣地境界部分 | 27.4m2 | 5,000円 | 137,000円 |
マネージャー 辰巳浩晃木造2階建て家屋の解体と合わせて、万年塀の撤去を依頼した際の見積書です。撤去費用の単価は1m2あたり5,000円。
隣家との間に十分なスペースがあり、家屋解体用の重機を流用してスムーズに作業できたため、費用を抑えられたケースです。なお、重機が進入できない狭小地では手作業での解体となり、手間や時間がかかって費用が割高になる可能性があります。
万年塀撤去を含んだ解体見積書②【さいたま市の事例】
![解体工事見積書の内訳書。外構万年塀撤去[摘要]撤去未定[メモ]東側[数量]25.92㎡[単価]6,000円[金額]155,520円の部分が赤枠で強調されている。](https://sukkiri-kaitai.b-cdn.net/wp/wp-content/uploads/2026/06/mannembei-02-1024x724.jpg)
| 工種・作業内容 | 数量 | 単位 | 単価 | 金額 |
|---|---|---|---|---|
| 外構万年塀撤去 | 25.92 | m2 | 6,000円 | 155,520円 |
マネージャー 辰巳浩晃こちらも木造2階建て家屋の解体工事と合わせて万年塀の撤去を依頼した見積書です。撤去費用の単価は1m2あたり6,000円。
庭が狭く、重機が入れるか微妙な現場でしたが、丁寧な現地調査を行い、最終的には小型の重機を用いて重機解体ができました。
ブロック塀撤去費用との比較

| 品名 | 数量 | 単価 | 金額 |
|---|---|---|---|
| ブロック塀解体工事費 | 11.2m2 | 4,000円(1m2あたり) | 44,800円 |
マネージャー 辰巳浩晃1m2あたりの単価は4,000円。ブロック塀の解体費用と比べて、先の万年塀の撤去費用の方が1m2あたり1,000円~2,000円ほど高くなっていることがわかります。これには先述した通り、万年塀の各パーツが重く取り壊しに労力がかかることや、廃材の重量が処分費を底上げすることが影響しています。
見積もり金額を左右する現場の変動要因
上記の相場はあくまで一例であり、以下のような現場の条件によって費用は変動します。
- 重機の搬入スペース:道幅が狭く重機が入れない場合はすべて手作業となり、工期と人件費が増加します。
- ライフラインの管:基礎の近くにガス管や水道管がある場合、慎重な手掘り作業が必要になります。
- 所有権:万年塀が隣家との境界線上にあり、「共有物」になっている場合は、事前に話し合い撤去費用の分担などを相談して決める必要があります。
マネージャー 辰巳浩晃解体工事の費用を適正な価格に抑えるためには、複数の解体業者から相見積もりを取ることが大切です。業者によって保有している重機の種類や、提携している廃棄物処理場の処分費用が異なるため、同じ現場でも見積もり額に差が生じます。
補助金の対象となるケースと申請時のポイント
万年塀の解体費用を抑えたい場合は、各自治体の「ブロック塀等撤去費補助金」の活用を検討しましょう。名称に「ブロック塀」とあっても、万年塀も補助の対象としている自治体が多くあります。
自治体によって細かな条件は異なりますが、一般的には以下のような基準が設けられています。
- 対象となる塀:道路(特に通学路)に面していること。
- 高さの基準:道路面からの高さが80cm、または1.2m以上あること。
- 危険度の判定:自治体の職員や専門家による診断で、倒壊の危険性があると認められたもの。
- 補助金額の目安:撤去費用の1/2〜満額(上限10万円〜30万円程度など)。
東京都杉並区の例
助成対象となるブロック塀等
以下の全てを満たすものが対象となります。
引用:ブロック塀等安全対策支援|杉並区
- 幅員4メートル以上の建築基準法上の道路に面するもの
- コンクリートブロック塀、石積塀、万年塀等(塀に付随する門柱・門扉及び土留めは除きます。)で、別表第1の基準のいずれかを満たしていないもの
- 道路面からブロック塀等の頂部までを計測した高さが80センチメートル以上のもの
東京都練馬区の例
対象となるブロック塀等
撤去するブロック塀等が以下の条件すべてに合致する場合に対象となります。
引用:ブロック塀等撤去費用助成について|練馬区
(注釈)ブロック塀等:コンクリートブロック塀、万年塀、組積造塀(大谷石やレンガ等の石材を積み上げて造られた塀)その他これらに類する門柱および塀
(1)位置
区内の道路等に面していること
(2)高さ
地上部から高さ80センチメートル以上のもの
(3)危険度
危険度チェックリストで一つ以上チェックがつくこと
チェックリスト
(4)その他
助成金の交付決定前に、撤去に着手または既に撤去済みではないこと
さいたま市の例
(1)道 路 等 :建築基準法第42条第1項及び第2項に規定する道路(私道にあっては通り抜けができる形態のもの)、または公園広場遊歩道で市長が認めるもの。
引用:【令和8年度】既存ブロック塀等の除却・建替え工事の費用を助成します|さいたま市
(2)ブロック塀等 :補強コンクリートブロック塀、無筋コンクリートブロック塀、石積、レンガ積等の組積造の塀、万年塀等の組み立て式コンクリート塀などで道路等に面するもの。
(3)軽量フェンス等:ネットフェンス、アルミ格子フェンス等の塀、塀の頂部から基礎部分までの柱等が一体的に構成された軽量なもの。
(4)除 却 工 事:道路等の地盤面からブロック塀等の頂部までの高さ(ブロック塀等の下の基礎又は擁壁を含む。)を80cm以下の高さに除却する工事。
(5)建 替 え 工 事:軽量フェンス等を新設する工事で、除却工事を伴うもの。
運営者 稲垣補助金は、工事の契約や着工の前に申請しなければ対象外となるケースがほとんどです。解体を始めてしまう前に、業者選びと並行して自治体の窓口やWebサイトで制度を確認しましょう。
実際の解体・撤去の流れ(狭小地での手壊し解体)
ステップ1:事前の準備・養生(ようじょう)
作業前には、コンクリートの粉塵や破片が飛び散らないよう、防塵シートなどで周囲を覆います。
また、万年塀は隣地との境界にあることが多いため、事前に隣家へ挨拶し、作業スペース確保のための敷地立ち入り許可を得てから作業を進めます。
ステップ2:笠木(かさぎ)の撤去

最初に行うのは、塀の最上部にフタのように乗っている「笠木」の撤去です。
雨除けの役割を持つ笠木は1つ数十kgもあるため、落下すると危険です。そのため、複数人で支えながらハンマーや電動破砕機で割って外すか、重機を使って慎重に撤去します。
ステップ3:パネルと柱の撤去

■パネル(平板)の撤去
柱の溝にはめ込まれた「コンクリートパネル(平板)」を撤去します。
1枚約30~40kgのパネルが数枚重なっており、そのまま引き抜くのは困難なため、一番上のパネルから順にハンマーや機械で叩き割って解体(はつり作業)します。
重機が入れない狭い場所では、すべて手作業で割って運び出すため、より労力と時間がかかります。
■柱(支柱)の撤去
パネルを外すと、H型の溝が入った鉄筋コンクリートの「柱」が残ります。
地中に深く埋め込まれているため、重機で周囲の土を掘削して引き抜くように撤去します。
ただし、隣家と密接して重機が入らない場合や、掘削すると隣のブロック塀が崩れる危険がある場合は、根元で柱を切断し、地中部分を残すこともあります。
ステップ4:基礎の撤去

万年塀を支えるため、地中には柱と繋がったコンクリートの「基礎」が埋まっています。
この基礎も完全に掘り起こして撤去する必要がありますが、基本的には重機を使用し、重機が入れない狭小地の場合は時間をかけて手作業で掘り起こします。
ステップ5:廃材の搬出・整地

解体で出たコンクリートガラや鉄筋は、トラックに積み込み、産業廃棄物として搬出します。万年塀の廃材は重さがあるため、クレーンを使って積み込んだり、手運びできるよう細かく砕いたりと、現場に合わせた対応が必要です。
最後に、基礎を掘り起こした跡の地面に土を戻して平らにならし(整地作業)、完了です。
優良解体業者の見極め方「3つのポイント」
相見積もりを行う際、業者の判断基準として重要な点を以下3つにまとめました。
- 【ポイント1】許可・保険の有無を確認する
解体工事を行うには「建設業許可」または「解体工事業登録」が必須です。万年塀の解体も同様です。また、万一の事故に備えた「損害賠償責任保険」への加入も確認しましょう。これらの証明書を快く提示してくれるかで信頼性を確認できます。
- 【ポイント2】見積書の内訳が詳細で明確か
「万年塀解体工事一式」など大雑把な見積もりを出す業者は要注意です。優良業者は「本体工事費」「廃棄物処分費」「重機回送費」など詳細な内訳を記載します。見積もりの疑問点に対して丁寧に答えてくれるかも重要な判断基準です。
- 【ポイント3】担当者の対応が誠実で丁寧か
現地調査での態度や質問への受け答えなど、担当者の人柄も重要です。近隣への配慮や過去の施工事例の提示など、コミュニケーションを通じて信頼できる業者かを見極めましょう。
なお、以下の記事では「優良な解体業者の選び方」について徹底解説しています。よろしければあわせてご確認ください。

FAQ「万年塀とは」に関するよくある質問
万年塀の耐用年数はどのくらいですか?
法的に定められた耐用年数はありませんが、一般的には30年程度が目安です。
ただし、立地環境(塩害地域や湿気の多い場所など)やメンテナンス状況によって大きく変わります。年数だけで判断せず、不安な点がある場合は専門業者に確認してもらいましょう。
自分で万年塀を解体できますか?
専門的な知識や技術がない方がご自身で解体することは避けましょう。
専門知識のない方がご自身で解体することは避けましょう。万年塀は非常に重く、作業中に倒壊する危険が伴います。
また、解体で出たコンクリートガラは「産業廃棄物」として法律に基づいた適正処分が必要です。安全面・法律面の両方から、解体業者への依頼をおすすめします。
補助金の申請は解体業者に代行してもらえますか?
必要な書類の多くは所有者本人しか用意できないため、原則として代行はできません。
しかし、優良な業者であれば、見積書や工事計画書の作成、手続きのアドバイスなど一部をサポートしてくれます。業者を選ぶ際は、補助金申請に関するサポート実績があるかも確認するとよいでしょう。
まとめ:万年塀の構造上のリスクと撤去費用について
最後にこの記事の要点をまとめます。
- 万年塀は組み立て式という構造上、地震などの横揺れに弱く、老朽化による倒壊リスクに注意が必要
- ひび割れや傾き、鉄筋のサビ(錆汁)などが見られたら、早めに専門家へ相談することが推奨される
- 撤去費用の目安は1m2あたり約5,000円〜11,000円で、重機の搬入可否などにより変動する
- 費用負担を抑えるには、自治体の補助金制度の活用や、複数業者での相見積もりが有効
万年塀の撤去は単独で依頼するよりも、家屋などの建物解体と同時に行うことで重機や作業員を効率的に活用でき、結果として全体の撤去費用を適正に抑えられる傾向があります。
設置から年数の経った万年塀は目に見えない内部の劣化が進行している可能性もあります。安全に撤去するためには、事前に自治体の補助金制度を確認し、詳細な見積もりを提示してくれる優良な解体業者を複数比較して選ぶことが重要です。
