この記事の案内人・編集長
稲垣 瑞稀
2026年7月、宮城県栗原市で在留期限が切れたベトナム人技能実習生を約3年間にわたり不法に働かせた疑いで、解体業者の代表ら2人が逮捕されました。
建設業や解体業では人手不足を背景に外国人材の活躍が広がる一方で、在留資格の確認や適切な雇用管理は事業者に求められる重要な責任です。
本記事では、この事件の概要をもとに、技能実習生が不法就労に至る背景や不法就労助長罪の内容から適法な解体業者選びのポイントまで、専門的な視点からわかりやすく解説します。
- 宮城県栗原市で発生した技能実習生の不法就労事件の概要
- 技能実習生が不法就労に至る背景と制度上の仕組み
- 不法就労助長罪の内容と事業者に求められる責任
- 解体工事を依頼する際に確認したい業者選びのポイント
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ニュースの概要
- 発生場所:宮城県栗原市
- 報道日:2026年7月8日
- 対象: 宮城県栗原市の解体工事業者の代表を務める40歳の男と、社員でベトナム国籍の32歳の男の2人
- 事案: 出入国管理及び難民認定法違反の疑いで、宮城県栗原市の解体工事業者代表らの男2人が宮城県警に逮捕された。
警察によると、2人は共謀して、2023年3月ごろから2026年5月ごろまでの間、ベトナムから来た技能実習生の男2人を、在留期限が切れているにもかかわらず、自社の解体作業場で不法に働かせるなどした疑いがもたれています。
技能実習生の不法就労はなぜ起きる?
宮城県栗原市で発生した今回の事件では、在留期限が切れたベトナム人技能実習生2人を約3年間にわたり雇用していた疑いが持たれています。
「技能実習制度」は本来、日本で培った技術や知識を発展途上国へ移転することを目的とした制度です。一方で、建設業や解体業をはじめ、人手不足が深刻な業界を支える役割も担っています。
在留資格は受け入れ企業ごとに認められているため、日本に来た技能実習生は原則として自由に転職できません。
労働環境への不満から失踪し、不法就労につながるケースがある
技能実習生が不法就労に至る一因として、「失踪」があります。出入国在留管理庁によると、技能実習生の失踪は毎年一定数発生しています。
その背景には、次のような理由があります。
- 想定していたより収入が少ない
- 残業代が十分に支払われない
- 人間関係が悪化した
- より高い賃金の仕事を紹介された
こうした理由から実習先を離れたとしても、正式な転籍手続きを行わずに別の会社で働くことは認められていません。
さらに、在留期限を過ぎても日本に滞在して働き続けた場合は、不法残留・不法就労となります。失踪した技能実習生の中には、SNSや知人の紹介などを通じて仕事を探し、適法な手続きを経ずに就労するケースもあります。
運営者 稲垣今回の報道では、この解体業者が技能実習生の正規の受け入れ先だったかは明らかになっていません。ただ、在留期限が切れた技能実習生を受け入れた疑いがあることから、正規の手続きを踏まずに不法残留となった元技能実習生を雇用していた可能性も考えられます。
技能実習生が不法残留となる背景については、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

不法就労させた会社にはどのような責任がある?
今回の事件では、解体業者の代表らが「不法就労助長」の疑いで逮捕されました。
外国人の不法就労では、働いた本人だけでなく、雇用した事業者も責任を問われます。人手不足を理由に雇用した場合でも、不法就労と知りながら働かせたり、必要な確認を怠ったりすると処罰の対象になる可能性があります。
不法就労助長罪とは
不法就労助長罪とは、在留資格がない外国人や、就労が認められていない外国人を雇用するなど、不法就労を助長した事業者を処罰する規定です。
主な対象となるケースは次のとおりです。
| 不法就労助長罪に該当する主な例 | 内容 |
|---|---|
| 在留期限が切れた外国人を雇う | オーバーステイと知りながら就労させる |
| 就労できない在留資格の外国人を雇う | 観光目的の短期滞在など |
| 在留資格で認められていない仕事をさせる | 資格外活動にあたる業務へ従事させる |
| 失踪した技能実習生を雇う | 在留資格の条件を満たさない状態で雇用する |
不法就労助長罪に問われた場合は、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはその両方が科される可能性があります。
さらに、企業の社会的信用の低下や、公共工事の受注、取引先との契約などに影響が及ぶこともあります。行政の許認可を受けて事業を行う解体会社にとって、法令違反は経営自体に大きな影響を与えます。
出典:出入国管理及び難民認定法
第七十三条の二 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の拘禁刑若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
引用:出入国管理及び難民認定法|e-Gov 法令検索
一 事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者
二 外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置いた者
三 業として、外国人に不法就労活動をさせる行為又は前号の行為に関しあつせんした者
2 前項各号に該当する行為をした者は、次の各号のいずれかに該当することを知らないことを理由として、同項の規定による処罰を免れることができない。ただし、過失のないときは、この限りでない。
一 当該外国人の活動が当該外国人の在留資格に応じた活動に属しない収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動であること。
二 当該外国人が当該外国人の活動を行うに当たり第十九条第二項の許可を受けていないこと。
三 当該外国人が第七十条第一項第一号、第二号、第三号から第三号の三まで、第五号、第七号から第七号の三まで又は第八号の二から第八号の四までに掲げる者であること。
「知らなかった」では済まない義務
外国人を雇用する事業者には、在留資格や就労の可否を確認する義務があります。
雇用時には、次の点の確認が必要です。
- 在留カードの原本を確認する
- 在留期限が有効か確認する
- 就労が認められる在留資格か確認する
- 従事する仕事内容が在留資格の範囲内か確認する
こうした確認を十分に行わず雇用した場合、「知らなかった」という理由だけで責任を免れることはできません。
運営者 稲垣今回の事件では「在留資格の確認を適切に行っていたか」が捜査のポイントになると推測されます。
解体業界では適正な雇用管理が進んでいる
外国人材の受け入れが進む中、多くの解体会社では、在留資格や在留期限の確認、労務管理などを徹底しています。
今回の事件は、一部の事業者による法令違反の疑いが報じられたものです。一方で、多くの事業者は適切な手続きを行い、外国人材を受け入れています。
運営者 稲垣外国人材を雇用すること自体は違法ではありません。重要なのは、在留資格や就労の可否を適切に確認し、法令に沿って雇用することです。人手不足が続く解体業界だからこそ、適正な雇用管理を徹底することが、企業への信頼にもつながります。
まとめ
今回は、在留期限が切れた外国人技能実習生を雇用した疑いで解体業者の代表らが逮捕されたニュースを解説しました。
最後にこの記事の要点をまとめます。
- 技能実習制度では、原則として受け入れ企業以外で働くことは認められていない
- 技能実習生が失踪し、適法な手続きを経ずに就労することで不法就労につながるケースがある
- 外国人を雇用する事業者には、在留資格や就労の可否を確認する義務がある
- 確認を怠って不法就労を助長した場合は、事業者も法的責任を問われる可能性がある
今回の事件は、人手不足が続く解体業界において外国人材の適正な雇用管理が重要であることを示した事例です。不法就労を防ぐためには、業者が在留資格や就労条件を適切に確認し、法令に沿って雇用管理を行わなければなりません。
また、解体業者を選ぶ際は価格だけで判断するのではなく、必要な許可や施工実績、法令を遵守する姿勢などを総合的に確認し、信頼できる事業者を選ぶことが重要です。
解体業者選びで確認したいポイント
| チェック項目 | ポイント |
|---|---|
| 必要な許可・登録を取得している | 建設業許可または解体工事業登録などを確認する |
| 見積書の内容が明確 | 工事項目や追加費用について丁寧な説明がある |
| 法令遵守への姿勢 | 廃棄物処理や安全管理について説明できる |
| 施工実績が豊富 | 類似工事の実績や口コミを確認する |
| 担当者の対応 | 質問に誠実かつ分かりやすく回答してくれる |
なお、優良な解体業者の選び方については、以下の記事で詳しく解説しているのでよろしければあわせてご覧ください。

