この記事の案内人・編集長
稲垣 瑞稀
- 愛媛県今治市で発生した重機による作業員負傷事故の概要がわかる
- 事故現場の構造的な問題と労働安全衛生法上の違反ポイントがわかる
- 重機作業における安全基準と解体業界が抱える課題がわかる
- 施主が事故やトラブルを防ぐための業者選びのポイントがわかる
愛媛県今治市の解体工事現場で、手作業で廃材を選別していた下請業者の作業員が重機にひかれて負傷する事故が発生しました。この事故を受け、元請業者と現場責任者が労働安全衛生法違反の疑いで書類送検されています。
本記事では、今回の事故が発生した背景や安全管理上の問題を整理し、重機作業に求められる安全基準を専門家視点で解説します。あわせて、施主が解体業者を選ぶ際に確認しておきたい安全管理のポイントもご紹介します。
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ニュースの概要
- 発生場所:愛媛県今治市波止浜
- 報道日:2026年8月10日
- 発生現場:建物の解体工事現場(元請業者:今治市の解体工事業「水島開発」)
- 事案:昨年11月22日、下請業者の男性作業員(52)が手作業で廃材の選別作業中に、現場責任者の男性(29)が運転するドラグ・ショベルにひかれ左膝を切断する重傷を負った。安全措置を講じなかったとして、元請業者と現場責任者が労働安全衛生法違反の疑いで書類送検された。
今治労働基準監督署によりますと、「水島開発」と現場責任者の男性は、ドラグ・ショベルを使用して作業する際、接触のおそれがある危険な場所に立ち入らないことを見やすい場所に表示せず、誘導者も配置しておらず安全な措置を講じなかった疑いがもたれています。
引用:重機にひかれ下請の作業員が左ヒザ切断 今治の解体工事業者など書類送検 安全措置講じず【愛媛】|Yahoo!ニュース
なぜ今回の事故は起きたのか?
報道内容から、今回の事故には3つの原因が考えられます。
原因1:重機と作業員が同じ場所で作業していた
今回の事故では、重機による解体作業と作業員による廃材の選別作業が同じ場所で行われていたことが接触につながった可能性があります。
解体工事では木材・コンクリート・金属などの廃材を分別しながら撤去するため、重機による作業と作業員の手作業が同じ現場で行われることがあります。こうした「重機と人の混在作業」では、重機の運転席から作業員を確認しにくい場所が生じます。
特にドラグ・ショベルは後方や足元に死角があり、作業員を見落として接触する危険があります。

運営者 稲垣重機の死角は一般の方が想像する以上に広く、「運転手から見えているだろう」という思い込みは命取りです。
原因2:重機との接触を防ぐ安全措置が取られていなかった
今回の現場では重機と作業員の接触を防ぐ安全措置が取られていなかったことも事故の一因と考えられます。報道によると、現場には重機と作業員が接触するおそれがある場所に立入禁止の表示がなく、誘導者も配置されていませんでした。
重機を使用する現場では、作業員が重機の旋回範囲や走行経路に入らないよう作業区域を分け、やむを得ず近くで作業する場合は誘導者を配置するなどの対策が必要です。こうした接触防止の措置は、労働安全衛生規則で定められています。
| 項目 | 法律上の定め | 今回の現場状況 |
|---|---|---|
| 立ち入りの禁止 | 重機と接触するおそれがある場所に、作業員を立ち入らせない | 立入禁止の措置が取られていなかった |
| 誘導者の配置 | 誘導者を配置して重機を誘導する場合は、立入禁止の措置を取らなくてもよい | 誘導者が配置されていなかった |
運営者 稲垣必要な安全対策を怠った背景には、コスト削減の狙いや「いつもやっているから大丈夫」という現場の慢心があったと推測されます。
出典:労働安全衛生規則
第百五十八条 事業者は、車両系建設機械を用いて作業を行うときは、運転中の車両系建設機械に接触することにより危険が生ずるおそれのある箇所に当該作業場において作業に従事する作業従事者が立ち入ることについて、禁止する旨を見やすい箇所に表示することその他の方法により禁止しなければならない。ただし、誘導者を配置し、その者に当該車両系建設機械を誘導させるときは、この限りでない。
原因3:元請業者と下請業者の連携が不足していた
元請業者と下請業者の間で、作業内容や重機の動きについて十分な情報共有ができていなかった可能性もあります。
解体現場では重機を動かす前に作業員へ声を掛けたり、作業員の配置や作業状況を互いに確認したりすることが重要です。特に作業の切り替えや重機の移動など、現場の状況が変わる場面では認識のズレが事故につながるおそれがあります。
行政の対応と今後の課題
今回の事故では、今治労働基準監督署が現場の安全管理について調査し、労働安全衛生法違反の疑いで元請業者と現場責任者を書類送検しました。これを教訓に、重機使用時の立入禁止措置や誘導者の配置など、基本的な安全対策を徹底することが求められます。
また、重機と手作業を並行して行う現場では、作業内容や重機を動かすタイミングを現場全体で共有することも欠かせません。作業前の打ち合わせや現場での声かけを通じて「誰が・どこで・何をするのか」を明確にし、作業員同士が互いの動きを把握できる体制を整えることが今後の課題です。
まとめ:解体業者選びのポイント
今回の事故を踏まえると、解体工事を依頼する際は契約前に業者の安全管理体制を確認しておくことが大切です。施主が工事中の現場を直接管理するのは難しいため、業者選びの段階で次の3点を確認しましょう。
- 安すぎる見積もりに注意する
極端に安い見積もりの場合は、安全対策に必要な費用や人員まで削られていないか確認します。見積書に「一式」と記載されている項目が多い場合は、何にどれだけ費用がかかっているのかを明確にすると安心です。 - 安全管理について質問する
見積もり時に、「重機を使用する際の安全管理や人員配置はどうなっていますか?」など具体的に質問します。立入禁止区域の設定や誘導者の配置など、安全対策について具体的な説明があるか確認することが大切です。 - 下請業者の有無と管理体制を確認する
解体工事では、元請業者が下請業者に作業を丸投げしてしまうケースがあります。安全管理や現場での連携に問題が生じないよう、「自社施工か、下請業者が入る場合は元請業者の現場責任者が現場を管理するのか」を確認します。
運営者 稲垣業者を選ぶ際は、見積もりの金額だけでなく施工体制や安全管理についても確認しましょう。
以下の記事では、「優良業者の選び方」や「見積書のチェックポイント」について詳しく解説しています。あわせてご覧ください。


