この記事の案内人・編集長
稲垣 瑞稀
- 太陽光パネルの処分費用相場と、費用が高額になる理由がわかる
- 家の解体と同時に処分すると費用が安くなる理由や実際の事例がわかる
- 太陽光パネルの撤去を検討すべきタイミングと、処分費用を抑える方法がわかる
- 適切な処分方法や、依頼すべき優良業者を見極めるための確認ポイントが把握できる
太陽光パネルは、設置から年数が経つと発電量の低下や機器の故障が発生し、修理や点検に費用がかかる場合があります。維持費をかけて使い続けるべきか、撤去して処分するべきか悩む方も多いでしょう。
太陽光パネルを撤去・処分する場合、単独で行うと住宅1棟あたり25万〜60万円程度の費用がかかります。ただし、家の解体と同時に処分すれば、費用を抑えられる場合が多いです。
この記事では、太陽光パネルの処分にかかる費用相場や高額になる理由、費用を抑える方法や撤去のタイミング、適切な依頼先の選び方についてもわかりやすくご紹介します。
監修者
現場解説一般社団法人あんしん解体業者認定協会 お客様窓口 マネージャー
辰巳 浩晃(たつみ ひろあき)
解体工事のご相談・現場調査の立会い・見積書説明など、お客様窓口としてお客様の不安解消と工事サポートに注力するマネージャー。「同じ解体でも、ひとつとして同じ現場はない」を信条に、一件一件の個性を大切にしながら、お客様が晴れやかな気持ちで工事当日を迎えられるよう伴走。お持ちの見積書が適正かどうかも、数分のお電話で判断できるよう、第三者目線でのアドバイスを心がけている。この記事では現場のリアルな視点から解説を担当。
運営責任者「スッキリ解体」編集長
稲垣 瑞稀(いながき みずき)
解体業界専門のWebメディアでWebディレクターとして6年以上、企画・執筆・編集から500社以上の解体業者取材まで、メディア運営のあらゆる工程を経験。近年は解体の前段にある空き家問題(管理・解体・補助金・税制)にも取材領域を広げている。正しい情報が届かず困っている方を助けたいという想いから、一個人の責任と情熱で「スッキリ解体」を立ち上げ、全記事の編集に責任を持つ。
執筆「スッキリ解体」専属ライター
酒巻 久未子(さかまき くみこ)
「解体工事でお悩みの方に、同じ主婦の立場から実用的な情報をお届けします。」
数多くのお客様や業者様へのインタビューを通じて、お客様が抱えるリアルな悩みに精通。実際の解体工事現場での取材を重ね、特に「お金」や「近隣トラブル」といった、誰もが不安に思うテーマについて、心に寄り添う記事を執筆。子育て中の母親ならではの、きめ細やかな視点も大切にしている。
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太陽光パネルの処分費用相場

太陽光パネルの処分費用相場は、住宅1棟あたり25万〜60万円程度です。パネルの処分費に加え、撤去工事費や足場代、運搬費などがかかるため、総額は設置状況や屋根補修の有無によって変動します。
▼太陽光パネルの処分費用の内訳
| 項目 | 費用の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| パネル処分費(1枚あたり) | 2,000〜3,000円 | リサイクル・処分費用 |
| 撤去工事費 | 5万〜10万円 | パネル・架台・配線の撤去費用 |
| 足場代 | 10万〜20万円 | 屋根作業用の足場設置費 |
| 収集運搬費 | 2万〜5万円 | 処理施設までの運搬費 |
| 屋根の補修 | 3万〜20万円 | ビス穴や金具跡の補修費 |
| 総額目安 | 25万〜60万円 |
太陽光パネルの処分費用が高額になる4つの理由
太陽光パネルの処分費用が高額になる主な理由は、以下のとおりです。
- 有害物質の処理に費用がかかる
多くの太陽光パネルには、鉛やカドミウムなどの有害物質が含まれています。環境への流出を防ぐため、専用施設で適切に処理する必要があります。
通常の産業廃棄物よりも処理工程が複雑なため、その分のコストが処分費用に上乗せされます。 - 分別・リサイクルに手間がかかる
太陽光パネルは、ガラスやアルミフレーム、セル(発電素子)など複数の素材で構成されています。
リサイクルするには素材ごとに分解・分別する必要があり、人件費や設備費が発生します。適正処理の管理体制も厳しいため、処分コストの増加要因となっています。 - 重量があるため運搬費が高くなりやすい
太陽光パネルは1枚あたり約15〜20kgの重量があります。そのため、一度に運搬できる枚数に限りがあり、設置枚数が多いほど運搬費も高くなります。
また、受け入れ可能な処理施設が遠方にある場合は、輸送距離に応じて費用が増加します。 - 設置方法によって費用が高くなる場合がある
太陽光パネルは、屋根一体型(建材一体型)のほうが、後付け型(架台設置)より処分費用が高くなる傾向があります。屋根材とパネルが一体化しているため、撤去作業が複雑になり、屋根材の補修や交換が必要になる場合もあるためです。
一方、後付け型は架台ごと撤去できるため、比較的作業しやすい設置方法です。
家の解体とあわせて処分する場合の費用相場
家の解体と同時に太陽光パネルを撤去・処分する場合、太陽光パネルの処分費用は1枚あたり5,000円程度が目安です。
ただし、パネルの枚数や設置方法、屋根の形状によって費用は変動します。
【専門家監修】家の解体と同時に処分すると費用が安くなる理由
太陽光パネルを単体で撤去・処分する場合は25万〜60万円程度かかりますが、家の解体工事と同時に処分する場合は1枚あたり5,000円前後です。
この費用差が生じる主な理由について、『あんしん解体業者認定協会』で11万件以上の相談対応実績を持つ辰巳マネージャーに伺いました。
現場解説
一般社団法人あんしん解体業者認定協会 お客様窓口 マネージャー
辰巳 浩晃 (たつみ ひろあき)
解体工事のご相談・現場調査の立会い・見積書説明など、お客様窓口としてお客様の不安解消と工事サポートに注力するマネージャー。「同じ解体でも、ひとつとして同じ現場はない」を信条に、一件一件の個性を大切にしながら、お客様が晴れやかな気持ちで工事当日を迎えられるよう伴走。お持ちの見積書が適正かどうかも、数分のお電話で判断できるよう、第三者目線でのアドバイスを心がけている。この記事では現場のリアルな視点から解説を担当。
マネージャー 辰巳浩晃太陽光パネルの処分費用に差が出る主な理由は、足場や運搬費などの共通費用、屋根補修費、作業工程の違いです。家の解体と同時に行うことで、重複する費用を抑えられます。
- 足場代や運搬費を抑えられるため
太陽光パネルだけを撤去する場合、足場代や運搬費を単独で負担する必要があります。一方、家の解体と同時なら、解体工事で使用する足場や運搬体制を共有できるため、追加費用を抑えられます。 - 屋根補修が不要になるため
太陽光パネルを単独で撤去すると、架台を固定していたビス穴の補修や雨漏り対策が必要になる場合があります。
しかし、家自体を解体する場合は屋根を再利用しないため、補修費用は基本的に発生しません。 - 解体作業と一緒に進められるため
単体撤去では、太陽光パネル専用の調査や撤去作業が必要です。解体工事と同時に行えば作業員や重機を共有でき、工程をまとめられるため、人件費や作業時間の削減が可能です。
マネージャー 辰巳浩晃家の解体とあわせて太陽光パネルを処分する場合は、解体工事と同時に対応できる業者へ相談すると、処分費を抑えられる可能性があります。
解体工事に伴う太陽光パネルの処分事例
ここからは実際の見積書をもとに、家の解体とあわせて太陽光パネルを処分した場合の費用をご紹介します。
【事例1】埼玉県久喜市にある木造2階建て29坪
見積書の書き起こしを表示する
| 品名 | 数量 | 単位 | 単価 | 金額 |
|---|---|---|---|---|
| 木造2階建物解体工事 | 29 | 坪 | 31,000 | 899,000 |
| アスベスト含有材 コロニアル処分費 | 5 | m2 | 30,000 | 150,000 |
| アスベスト含有材 梱包作業費 | 一式 | 30,000 | ||
| ソーラーパネル撤去処分費 | 5 | 枚 | 5,000 | 25,000 |
| 外周養生費 | 140 | m2 | 700 | 98,000 |
| 道路側・CB撤去処分費 | 20 | m2 | 5,000 | 100,000 |
| カースペース土間撤去処分費 | 15 | m2 | 3,500 | 52,500 |
| 色付き敷石撤去処分費 | 10 | m2 | 5,000 | 50,000 |
| インタールッキング処分費 | 3 | m2 | 5,000 | 15,000 |
| 樹木撤去処分費 (根含む) | 一式 | 30,000 | ||
| エコキュート撤去処分費 | 一式 | 5,000 | ||
| 浄化槽撤去処分費 | 一式 | 35,000 | ||
| 検体検査費用 | 1 | カ所 | 30,000 | 30,000 |
| アスベスト調査報告書作成 建築リサイクル申請費用 | 一式 | 35,000 | ||
| 重機回送費 | 往復 | 25,000 | 50,000 | |
| 諸経費 | 30,000 | |||
| 調整値引き | -4,500 | |||
| 小計 | 1,630,000 | |||
| 消費税 | 163,000 | |||
| 合計 | 1,793,000 | |||
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 構造 | 木造2階建て |
| 坪数 | 29坪 |
| 太陽光パネルの処分費 | 25,000円 |
| 解体費用総額 | 1,793,000円 |
【事例2】兵庫県神戸市にある軽量鉄骨造2階建て29坪
見積書の書き起こしを表示する
| 品名 | 数量 | 単位 | 単価 | 金額 |
|---|---|---|---|---|
| A 仮設工事 | ||||
| a 共通仮設工事 | ||||
| 諸官庁届出 建設リサイクル届(延べ床面積80m2以上の場合提出) | 1.00 | 式 | 10,000 | |
| 特定建設作業実施届(重機等使用が2日以上の場合提出) | 1.00 | 式 | 10,000 | |
| 特定工作物解体等実施届(兵庫県内のみ) (非飛散性石綿含有建材使用の場合で延床面積80m2以上の場合提出) | 1.00 | 式 | 0 | |
| 道路使用許可申請 | 1.00 | 式 | 10,000 | |
| 工事賠償損害保険料 支払限度額1億円 | 1.00 | 式 | 0 | |
| 近隣周知案内 粗品程度(戸別訪問) | 1.00 | 式 | 10,000 | |
| 交通誘導員 | 0.00 | 人 | 18,000 | 0 |
| b 直接仮設工事 | ||||
| 躯体養生費 足場+防音シート | 180.00 | m2 | 1,000 | 180,000 |
| 重機回送費 | 1.00 | 式 | 50,000 | |
| 散水用設備設置 水道メーター際 | 1.00 | 箇所 | 0 | |
| 石綿含有有無調査費(調査者番号21061100) 採取手間+分析 外壁 | 1.00 | 検体 | 30,000 | 30,000 |
| B 解体工事 | ||||
| a 軽鉄造陸屋根 2階建て | ||||
| 内装解体 | 97.48 | m2 | 1,200 | 116,976 |
| 躯体解体 2階 一部人力施工 | 48.74 | m2 | 3,500 | 170,590 |
| 1階 | 48.74 | m2 | 3,500 | 170,590 |
| 基礎解体 有筋布基礎として | 48.74 | m2 | 4,000 | 194,960 |
| b 廃材収集運搬処分工 再資源化に要する費用含む 産業廃棄物収集運搬許可番号 154271号 | ||||
| 混合廃棄物 | 18.00 | m3 | 12,000 | 216,000 |
| がれき類 | 15.00 | t | 11,000 | 165,000 |
| 木くず | 8.00 | t | 12,000 | 96,000 |
| コンクリート | 40.00 | t | 10,000 | 400,000 |
| 有価材 | 8.00 | t | -30,000 | -240,000 |
| C 付帯工事 | ||||
| 北・東側 道路面撤去処分 門柱門扉・伸縮門扉・フェンス・CB塀 | 1.00 | 式 | 50,000 | |
| 土間コンクリート撤去処分 アプローチ・犬走・駐車場 | 1.00 | 式 | 50,000 | |
| その他撤去処分 カーポート・引込柱・物置・バルコニー・ソーラーパネル | 1.00 | 式 | 60,000 | |
| 残地物撤去処分 木,鉄製建具・カーテン・絨毯・電気傘・エアコン | 1.00 | 式 | 0 | |
| 上記記載以外 | 0.00 | m3 | 10,000 | 0 |
| 整地後杭トラロープ設置 | 1.00 | 式 | 0 | |
| 諸経費 | 50,000 | |||
| 調整値引き | -116 | |||
| 消費税 | 180,000 | |||
| 合計 | 1,980,000 | |||
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 構造 | 軽量鉄骨造2階建て |
| 坪数 | 29坪 |
| 太陽光パネルの処分費(カーポート・引込柱・物置・バルコニーを含め) | 60,000円 |
| 解体費用総額 | 1,980,000円 |
マネージャー 辰巳浩晃この見積書は、太陽光パネルの処分費に加え、カーポート・引込柱・物置・バルコニーの撤去費用も含まれています。
そのため、他の事例より金額が高くなっています。
【事例3】神奈川県横浜市にある木造2階建て41坪

見積書の書き起こしを表示する
| 品名 | 数量 | 単位 | 単価 | 金額 |
|---|---|---|---|---|
| 足場養生工事 H=6.5×W=29.0 | 188.00 | m2 | 1,000 | 188,000 |
| 重機回送費 中型 | 2 | 回 | 25,000 | 50,000 |
| 木造瓦 1F, 2F | 138.00 | m2 | 8,300 | 1,145,400 |
| バルコニー 1.2×6.0 | 7.20 | m2 | 4,000 | 28,800 |
| ソーラーパネル | 7.00 | m2 | 4,000 | 28,000 |
| スチール物置 | 2 | 個 | 5,000 | 10,000 |
| 植樹伐採伐根 3tD | 2 | 台 | 45,000 | 90,000 |
| 池庭石 | 1 | 式 | 60,000 | 60,000 |
| 土間 玄関 4.8×5.4 | 25.92 | m2 | 2,000 | 51,840 |
| 土間 入口 2.0×6.0 | 12.00 | m2 | 2,000 | 24,000 |
| 土間 庭 1.0×8.0 | 8.00 | m2 | 2,000 | 16,000 |
| 土間 右 1.0×10.0 | 10.00 | m2 | 2,000 | 20,000 |
| 土間裏 1.0×13.0 | 13.00 | m2 | 2,000 | 26,000 |
| 土間 左 1.0×7.0 | 7.00 | m2 | 2,000 | 14,000 |
| レンガ壁 1.0×2.5 | 2.50 | m2 | 7,000 | 17,500 |
| レンガ壁 1.5×3.0 | 4.50 | m2 | 7,000 | 31,500 |
| CB積み 右 2段×28本 | 11.20 | m | 1,000 | 11,200 |
| エアコン撤去処分 | 4 | セット | 3,000 | 12,000 |
| アスベスト事前調査 | 1 | 式 | 100,000 | 100,000 |
| 小計 | 1,924,240 | |||
| 消費税等(10%) | 192,424 | |||
| 調整値引き | -16,664 | |||
| 合計 | 2,100,000 |
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 構造 | 木造2階建て |
| 坪数 | 41坪 |
| 太陽光パネルの処分費 | 28,000円 |
| 解体費用総額 | 2,100,000円 |
太陽光パネルの処分費用を抑える方法
解体と一緒に依頼する以外に、処分費用を抑える方法を2つご紹介します。
補助金制度を活用する
自治体によっては、太陽光パネルの適正なリサイクルを促進するため、撤去や処分費用の一部を補助する制度を設けています。
例えば、東京都の「使用済住宅用太陽光パネルリサイクル促進事業」の補助額は、パネルの発電出力1kWあたり2万5,000円です。5kWの設備なら、12万5,000円の補助を受けられます。
この補助金は、パネルを排出する事業者(解体業者・リフォーム業者など)と、その事業者に委託した所有者のどちらでも申請できます。解体業者が申請者になる場合、補助金は業者に入るため、見積額から差し引いてもらえるかを先に取り決めておく必要があります。
また、対象になるのは都が指定する産業廃棄物中間処理業者でリサイクル処理した場合のみです。対象となる産業廃棄物中間処理業者は、以下のリストで確認できます。
都が指定する産業廃棄物中間処理業者リスト
| 中間処理業者の名称 | 施設所在地 | ホームページ |
|---|---|---|
| 株式会社アロウズ | 茨城県筑西市 | https://arrows9.co.jp |
| 株式会社ウム・ヴェルト・ジャパン | 埼玉県大里郡寄居町 | https://www.u-w-j.co.jp |
| 環境通信輸送株式会社 | 茨城県牛久市 | https://www.ktyhon.co.jp |
| J&T環境株式会社 | 群馬県伊勢崎市 | https://www.jt-kankyo.co.jp |
| 東京パワーテクノロジー株式会社 | 神奈川県川崎市 | https://www.tokyo-pt.co.jp |
| 株式会社浜田 | 東京都大田区 | https://www.kkhamada.com |
| 水海道産業株式会社 | 茨城県常総市 | https://www.mitsukaido.net |
| 株式会社リーテム | 茨城県東茨城郡茨城町 | https://www.re-tem.com |
| 株式会社杉浦土木 | 埼玉県行田市 | https://sugiuradoboku.com/ |
| 株式会社国際資源リサイクルセンター | 栃木県芳賀郡 | https://www.e-recycle.co.jp |
見積もりを取る段階で、次の3点を業者に伝えて確認してください。
- この補助金を使いたいこと
- 都が指定する中間処理業者で処理してもらえるか
- 申請者を誰にするか、補助金をどのように精算するか
補助金の対象要件や金額は自治体ごとに異なります。予算の上限に達すると受付が終了するため、撤去工事を依頼する前に、お住まいの市区町村や都道府県の公式ホームページで最新情報を確認してください。
中古買取業者へ売却する
製造から10年以内で正常に発電するパネルであれば、廃棄せずに中古買取業者へ売却できる可能性があります。
中古の太陽光パネルは、発電所の交換用パネルや、独立型(オフグリッド)電源として一定の需要があります。買取業者へ依頼すれば、パネルのメーカーや型番、年式、発電効率などを査定し、価値がつけば買い取ってもらえます。
太陽光パネルの寿命と撤去のタイミング

太陽光パネルの寿命
太陽光パネルの実際の寿命は20〜30年程度とされています。定期的にメンテナンスを行えば、20年以上発電を続けるケースも珍しくありません。ただし、寿命は設置環境や製品性能によって異なります。
一方、法定耐用年数は17年ですが、これは税務上の減価償却に用いる年数です。設置から17年で使えなくなるわけではなく、実際の使用可能年数とは異なります。
撤去を検討すべきタイミング
太陽光パネルの撤去を検討する主なタイミングは、以下の3つです。
機器の故障・発電効率の低下
太陽光パネルは20年以上使用できる一方で、パワーコンディショナーの寿命は10〜15年程度です。交換には工事費を含めて20万〜30万円程度かかります。
また、パネルも経年劣化によって発電効率が徐々に低下します。修理や交換にかかる費用と、今後得られる発電メリットを比較し、採算が合わない場合は撤去を検討するタイミングです。
屋根の劣化・雨漏り
屋根材や防水シートの寿命も、一般的に20〜30年程度です。屋根の葺き替えや雨漏り修理を行う場合は、太陽光パネルを一度取り外してから再設置する必要があります。
ただし、古いパネルを再設置するとメーカー保証の対象外になる場合があり、脱着工事にも数十万円の費用がかかります。そのため、屋根のメンテナンスにあわせて太陽光パネルを撤去するケースも少なくありません。
FIT(固定価格買取制度)の終了
FIT(固定価格買取制度)とは、太陽光発電でつくった電気を一定期間、国が定めた価格で電力会社に買い取ってもらえる制度です。
家庭用太陽光発電(10kW未満)の売電期間は10年間です。期間終了後は売電単価が大きく下がるため、売電収入だけでメンテナンス費用を回収することは難しくなります。
FIT制度が終了した後は、蓄電池を導入して自家消費へ切り替えるか、太陽光パネルを撤去するかを検討する家庭が増えます。蓄電池の導入費用を回収できないと判断した場合は、撤去を選択するケースもあります。
太陽光パネルの処分方法と依頼先

処分方法
撤去した太陽光パネルは、産業廃棄物として「管理型最終処分場」へ運搬し、埋め立て処分するのが一般的です。
家の解体工事にあわせて、業者がパネルを他の建築廃材と分別回収し、最終処分場まで責任を持って運搬・処理します。
太陽光パネルには鉛やカドミウムなどの有害物質が含まれるため、廃棄物処理法に基づき、埋め立て処分する場合は「管理型最終処分場」で適正に処分されます。管理型最終処分場には、有害物質などの流出を防ぐための設備が設けられています。
パネルを素材ごとに分解するリサイクル処理も存在しますが、対応可能な施設が全国的に少なく、特殊な分解作業により処分費用が高額になります。そのため、費用を安く抑えつつ法律に準拠できる埋め立て処分が、現状では広く採用されています。
出典:廃棄物の処理及び清掃に関する法律
(事業者の処理)
第十二条 事業者は、自らその産業廃棄物(特別管理産業廃棄物を除く。第五項から第七項までを除き、以下この条において同じ。)の運搬又は処分を行う場合には、政令で定める産業廃棄物の収集、運搬及び処分に関する基準(当該基準において海洋を投入処分の場所とすることができる産業廃棄物を定めた場合における当該産業廃棄物にあつては、その投入の場所及び方法が海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律に基づき定められた場合におけるその投入の場所及び方法に関する基準を除く。以下「産業廃棄物処理基準」という。)に従わなければならない。
撤去と処分の依頼先
太陽光パネルの撤去と処分は、主に以下の3つの業者へ依頼できます。
- 家の解体業者
- パネルを設置した販売店や施工業者
- 太陽光パネルの撤去専門業者
単体の撤去であれば設置した販売店や専門業者が適していますが、家の解体と一緒であれば、解体業者へ一括して依頼するのがスムーズです。施主自身でパネル専用の業者を別途手配する手間を省き、解体工事全体のスケジュール管理も容易になります。
ただし、解体業者へ依頼する際は、適正な処分ルートを持つ業者を見極める必要があります。見積もりの段階で、以下の2点を必ず確認しましょう。
- 産業廃棄物収集運搬業の許可(または許可を持つ運搬業者との提携)
- 産廃マニフェスト(産業廃棄物管理票)の発行に対応しているか
これらを確認することで、撤去した太陽光パネルが適正な手順で運搬・処分される業者か判断できます。
太陽光パネルのリサイクル制度の推進とは?
2026年5月29日、経済産業省・環境省が所管する「太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律」が成立し、6月5日に公布されました。
将来的な太陽光パネルの大量廃棄に備え、資源の有効活用や最終処分量の削減を目的として、リサイクルを段階的に推進するための法律です。
2030年代後半から始まる大量の廃棄問題
背景には、太陽光パネルが2030年代後半以降に本格化する大量廃棄があります。2012年に始まったFIT(固定価格買取制度)の普及により設置された太陽光パネルが20~30年の寿命を迎えるためです。
環境省は、年間の排出量が最大約50万トンに達し、すべてを埋め立て処分した場合は2021年度の最終処分量の約5%に相当すると推計しています。そのため、最終処分場の負担軽減や資源の有効活用が課題となっています。
一般住宅は対象になる?
一般住宅では、現時点でこうした義務は課されていません。リサイクル計画の提出などの厳しい義務や罰則の対象となるのは、多量のパネルを廃棄する事業者(メガソーラーなど)です。
ただし住宅用であっても、10kW以上の太陽光発電設備の場合は制度の対象となります。届出義務や罰則はありませんが、国が示すリサイクルの基準に沿って適切に処分するよう求められています。
今後の課題
現在は、リサイクル費用と埋立処分費用の差が大きいことが課題です。
処理工程にかかる費用の目安は、リサイクルが1kWあたり約8,000~12,000円、埋め立て処分が約2,000円とされており、リサイクルのほうが高額です。

また、太陽光パネルをリサイクルできる施設も全国的には整備途中のため、現時点で住宅を含むすべての太陽光パネルにリサイクルを義務付けることは難しい状況です。
そのため国は、まず大規模な事業者から制度を強化し、処理施設の整備やコスト削減を進めながら、将来的には住宅用を含む幅広い太陽光パネルのリサイクル義務化を目指しています。
現時点では一般住宅に厳しい義務はありませんが、今後制度が変わる可能性があるため、太陽光パネルを処分する際はリサイクルを前提とした適切な処分方法を選ぶことが大切です。
【FAQ】太陽光パネル 撤去費用に関するよくある質問
太陽光パネルを自分で外して捨てることはできますか?
自分で屋根に登って太陽光パネルを取り外すのは、重大な事故や法律上のトラブルにつながる恐れがあるため避けてください。
太陽光パネルは光が当たる限り発電を続けるため、配線を誤って触れると感電やショートによる火災の危険があります。また、配線の取り外しには専門的な知識や適切な対応が必要です。
さらに、足場を設けずに屋根の上で重量のあるパネルを扱うと、転落事故の危険も伴います。安全に撤去するためにも、太陽光パネルの撤去は専門業者へ依頼しましょう。
自治体のごみとして出せますか?
太陽光パネルは、粗大ごみなどの一般家庭ごみとして自治体の回収に出せません。
パネル内部には鉛やカドミウムなどの有害物質が含まれています。一般的な自治体のごみ処理施設では安全な破砕や焼却処理が困難なため、回収を断っています。
太陽光パネルを撤去する際に、届出は必要ですか?
FIT(固定価格買取制度)の認定を受けて売電している、または過去に売電していた場合は、家庭用・事業用を問わず、経済産業省への届出(廃止届)が必須です。
FIT制度の認定を受けた太陽光発電設備を撤去する際は、再生可能エネルギー特措法に基づき、廃止届出を提出する義務があります。この手続きは紙の書類を用意しなくても、資源エネルギー庁の「再生可能エネルギー電子申請システム」からオンラインで申請可能です。
住宅を解体して、新居に引っ越す予定です。新居先でも太陽光パネルは使用できますか?
移設は可能ですが、費用対効果やメーカー保証の面からおすすめできません。
撤去費用や運搬費、再設置費などで数十万円かかる場合があり、新品を設置したほうが結果的にお得になるケースもあります。また、一度取り外したパネルはメーカー保証の対象外になることが多いため、解体時に処分し、新居には新品を設置するのが一般的です。
まとめ
太陽光パネルの処分費用は、単独で撤去すると25万〜60万円程度かかります。しかし、家の解体と同時に行えば足場代や運搬費を抑えられ、数万円ほどまで費用を削減できる場合があります。
撤去を検討するタイミングは、機器の故障やFIT制度の終了、屋根の劣化などです。少しでも費用を抑えるために、自治体の補助金制度や中古買取の活用も検討しましょう。
なお、太陽光パネルを自分で撤去するのは、感電や転落事故の危険があるため避けてください。太陽光パネルのみの撤去の場合は専門業者、家の解体とあわせて処分する場合は解体業者へ依頼するのが一般的です。
業者を選ぶ際は費用だけでなく、太陽光パネルの撤去や処分に対応した実績があるかも確認しましょう。







