この記事の案内人・編集長
稲垣 瑞稀
- 工場の解体費用相場や坪単価、実際の見積事例が把握できる
- 工場の解体費用が高くなる理由や、アスベスト調査と見積もりの関係がわかる
- 工場の解体費用を抑える方法や、利用できる補助金制度がわかる
工場の解体を検討する際、「工場の解体費用って、総額いくらかかるの?」と疑問に感じていませんか?
工場の解体費用相場は、約185万円〜約1,113万円が目安です。大規模な工場や特殊な解体工事では、3,000万円を超えるケースもあります。後から「想定より高かった」と後悔しないためにも、費用相場や費用を抑えるポイントを事前に確認しましょう。
この記事では、工場の解体費用相場や実際の見積事例、費用が高くなる理由、解体費用を抑える方法、利用できる補助金制度についてわかりやすく解説します。
監修者
現場解説一般社団法人あんしん解体業者認定協会 お客様窓口 マネージャー
辰巳 浩晃(たつみ ひろあき)
解体工事のご相談・現場調査の立会い・見積書説明など、お客様窓口としてお客様の不安解消と工事サポートに注力するマネージャー。「同じ解体でも、ひとつとして同じ現場はない」を信条に、一件一件の個性を大切にしながら、お客様が晴れやかな気持ちで工事当日を迎えられるよう伴走。お持ちの見積書が適正かどうかも、数分のお電話で判断できるよう、第三者目線でのアドバイスを心がけている。この記事では現場のリアルな視点から解説を担当。
運営責任者「スッキリ解体」編集長
稲垣 瑞稀(いながき みずき)
解体業界専門のWebメディアでWebディレクターとして6年以上、企画・執筆・編集から500社以上の解体業者取材まで、メディア運営のあらゆる工程を経験。近年は解体の前段にある空き家問題(管理・解体・補助金・税制)にも取材領域を広げている。正しい情報が届かず困っている方を助けたいという想いから、一個人の責任と情熱で「スッキリ解体」を立ち上げ、全記事の編集に責任を持つ。
執筆「スッキリ解体」専属ライター
酒巻 久未子(さかまき くみこ)
「解体工事でお悩みの方に、同じ主婦の立場から実用的な情報をお届けします。」
数多くのお客様や業者様へのインタビューを通じて、お客様が抱えるリアルな悩みに精通。実際の解体工事現場での取材を重ね、特に「お金」や「近隣トラブル」といった、誰もが不安に思うテーマについて、心に寄り添う記事を執筆。子育て中の母親ならではの、きめ細やかな視点も大切にしている。
解体費用、たった30秒でわかります
個人情報の入力不要。建物の種類と場所を選ぶだけで、概算費用をその場で表示します。
※ 概算は目安です。正確な金額は現地調査による見積もりが必要です
工場の解体費用相場

工場の解体費用の平均坪単価は37,096円/坪です。以下は、構造別の坪単価の目安と平均坪単価をまとめた表です。
| 構造の種類 | 坪単価の目安 | 平均坪単価 |
|---|---|---|
| 木造 | 10,000円〜170,039円/坪 | 32,670円 |
| 鉄骨造 | 4,800円〜113,481円/坪 | 34,323円 |
| CB造 | 46,252円/坪 | 46,252円 |
| 鉄筋コンクリート造(RC造) | 37,833円〜50,977円/坪 | 44,405円 |
| 内装解体 | 12,042円〜43,265円/坪 | 25,086円 |
| 木造・鉄骨造 | 24,861円〜48,594円/坪 | 39,840円 |
※上記の坪単価データは、監修の「あんしん解体業者認定協会」が保有する2023年〜2024年の全国約1,200社の見積もりデータを基に算出した独自のものです。
工場の解体費用は、建物の規模や設備、アスベストの有無、立地条件などによって大きく変動します。同じ構造でも解体方法や処分費用が異なるため、坪単価に大きな幅があります。表はあくまで目安として参考にしてください。
平均坪単価37,096円をもとに、坪数別の解体費用相場をまとめました。
| 坪数 | 解体費用相場 |
|---|---|
| 50坪 | 約185万円 |
| 100坪 | 約371万円 |
| 200坪 | 約742万円 |
| 300坪 | 約1,113万円 |
| 400坪 | 約1,484万円 |
| 500坪 | 約1,855万円 |
| 600坪 | 約2,226万円 |
| 700坪 | 約2,597万円 |
| 800坪 | 約2,968万円 |
| 900坪 | 約3,339万円 |
| 1,000坪 | 約3,710万円 |
工場の解体見積事例
【事例1】金属加工工場の解体見積事例
見積書の書き起こしを表示する
| 品名 | 数量 | 単位 | 単価 | 金額 |
|---|---|---|---|---|
| RC構造(スレート陸屋根)3階建 | 108 | 坪 | 80,000 | 8,640,000 |
| 重量鉄骨造(スレート・壁:金属)2階建 | 189 | 坪 | 60,000 | 11,340,000 |
| アスベスト処分 | - | - | - | 調査後決定 |
| 有筋基礎加算・耐圧盤基礎加算 | 429 | m2 | 3,000 | 1,287,000 |
| 各種配管・配線(水道管・ガス管・雨水管・排水管・電気配線) | 980 | m2 | 400 | 392,000 |
| シート養生(安全対策費) | 1,000 | m2 | 2,200 | 2,200,000 |
| 土間撤去 | 165 | m2 | 3,000 | 495,000 |
| 階段(鉄・コンクリート・石) | 1 | 式 | - | 80,000 |
| 残置物 | 1 | 式 | - | 100,000 |
| 整地作業 | 1 | 式 | - | 200,000 |
| アスベスト調査費用 | 1 | 式 | - | 35,000 |
| 重機回送費 | 6 | 回 | 25,000 | 150,000 |
| 安全管理対策費(届出) | 1 | 式 | - | 35,000 |
| 工事費小計 | 24,954,000 | |||
| 調整値引き | -54,000 | |||
| 諸経費 | 2,988,000 | |||
| 合計 | 30,676,800 | |||
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 見積総額 | 3,067万6,800円 |
| 構造 | RC造3階建て・重量鉄骨造2階建て |
| 坪数 | 合計297坪(RC造108坪+重量鉄骨造189坪) |
| 所在地 | 神奈川県川崎市 |
| 坪単価 | 103,290円 |
| 見積時期 | 2025年6月 |
| 特殊設備 | ー |
| アスベスト | スレート屋根・壁、調査あり |
【事例2】金属部品工場の解体見積事例

見積書の書き起こしを表示する
| 品名 | 数量 | 単位 | 単価(円) | 金額(円) |
|---|---|---|---|---|
| 外部養生工事 | 645 | m2 | 700 | 451,500 |
| A棟鉄骨平家解体処分工事 | 264 | 坪 | 18,000 | 4,752,000 |
| スレート撤去処分(アスベストレベル3) | 1,635 | m2 | 3,000 | 4,905,000 |
| ブロックステージ処分 | 147 | m2 | 3,000 | 441,000 |
| アスベスト調査費 | 2 | 検体 | 70,000 | 140,000 |
| B棟外部養生工事 | 675 | m2 | 700 | 472,500 |
| 鉄骨平家解体処分工事 | 49 | 坪 | 30,000 | 1,470,000 |
| 鉄骨3階建て解体処分工事 | 95 | 坪 | 22,000 | 2,090,000 |
| スレート撤去処分(屋根・壁) | 711 | m2 | 3,500 | 2,488,500 |
| アスベスト調査費 | 2 | 検体 | 70,000 | 140,000 |
| ブロック造解体処分工事 | 15 | 坪 | 30,000 | 450,000 |
| 貯水タンク解体処分工事 | 12 | 坪 | 20,000 | 240,000 |
| 役所届け出 | 1 | 式 | - | 30,000 |
| 重機回送費(4t) | 2 | 車 | 30,000 | 60,000 |
| 諸経費 | 1 | 式 | - | 150,000 |
| 小計 | 18,280,500 | |||
| 消費税 | ||||
| 合計 | 18,280,500 | |||
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 見積総額 | 1,828万500円 |
| 構造 | 鉄骨造平屋・鉄骨造3階建て・ブロック造 |
| 坪数 | 合計423坪(鉄骨平屋264坪+49坪、鉄骨造3階建て95坪、ブロック造15坪) |
| 所在地 | 大阪府河内長野市 |
| 坪単価 | 43,216円 |
| 見積時期 | 2025年6月 |
| 特殊設備 | 貯水タンクあり |
| アスベスト | スレート屋根・壁、調査あり |
【事例3】和菓子工場の解体見積事例
見積書の書き起こしを表示する
| 品名 | 数量 | 単位 | 単価(円) | 金額(円) |
|---|---|---|---|---|
| 足場養生工事 H=6.0×W=60.0 | 360.0 | m2 | 1,000 | 360,000 |
| 重機回送費(中型) | 4 | 回 | 28,000 | 112,000 |
| 木造鉄骨スレート 1階 | 201.0 | m2 | 11,000 | 2,211,000 |
| 鉄骨大波 1階 | 147.0 | m2 | 12,000 | 1,764,000 |
| 土間 大波横(2.0×13.0) | 26.0 | m2 | 4,000 | 104,000 |
| 土間 大波前(2.0×13.0) | 26.0 | m2 | 4,000 | 104,000 |
| 土間 大波前(5.0×12.0) | 60.0 | m2 | 4,000 | 240,000 |
| 庭石 3tD | 1 | 台 | - | 54,000 |
| 万年塀 8スパン | 16.0 | m | 10,000 | 160,000 |
| ボイラー | 2 | 基 | 50,000 | 100,000 |
| 煙突 | 2 | 本 | 30,000 | 60,000 |
| 貯水タンク | 1 | 基 | - | 10,000 |
| 植樹伐採伐根 4tD | 1 | 台 | - | 72,000 |
| 重油 | 170.0 | リットル | 60 | 10,200 |
| 井戸 | 2 | 基 | 10,000 | 20,000 |
| 井戸お祓い | 2 | 箇所 | - | 50,000 |
| 水道配水管カット | 2 | 箇所 | 5,000 | 10,000 |
| 冷蔵室(2基) | 8 | 坪 | 20,000 | 160,000 |
| 冷蔵庫(大) | 2 | 基 | 10,000 | 20,000 |
| 冷凍庫(大) | 1 | 基 | 10,000 | 10,000 |
| 残置物撤去処分 4tD | 3 | 台 | 72,000 | 216,000 |
| エアコン撤去処分(大) | 3 | セット | 5,000 | 15,000 |
| アスベスト事前調査 | 1 | 式 | - | 100,000 |
| 消費税 | 596,220 | |||
| 調整値引き | -58,420 | |||
| 合計 | 6,500,000 | |||
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 見積総額 | 650万円 |
| 構造 | 木造平屋・鉄骨造平屋 |
| 坪数 | 105坪 |
| 所在地 | 神奈川県大和市 |
| 坪単価 | 61,905円 |
| 見積時期 | 2024年3月 |
| 特殊設備 | ボイラー・煙突・貯水タンク・冷蔵室 |
| アスベスト | 調査あり |
【専門家監修】スレートと分かっていてもアスベスト調査が必要な理由
上記のように、工場の見積書には「スレート屋根撤去」や「スレート壁撤去」と記載されている一方で、「アスベスト調査」の項目も含まれているケースがあります。
スレートとは、工場や倉庫でよく使われる屋根材・外壁材で、古い製品にはアスベストを含むものもあります。
「すでにスレート屋根や壁だと分かっているなら、さらにアスベスト調査をする必要はないのでは?」と疑問に思う方も多いでしょう。それについて、『あんしん解体業者認定協会』で11万件以上の相談対応実績を持つ辰巳マネージャーに伺いました。
現場解説
一般社団法人あんしん解体業者認定協会 お客様窓口 マネージャー
辰巳 浩晃 (たつみ ひろあき)
解体工事のご相談・現場調査の立会い・見積書説明など、お客様窓口としてお客様の不安解消と工事サポートに注力するマネージャー。「同じ解体でも、ひとつとして同じ現場はない」を信条に、一件一件の個性を大切にしながら、お客様が晴れやかな気持ちで工事当日を迎えられるよう伴走。お持ちの見積書が適正かどうかも、数分のお電話で判断できるよう、第三者目線でのアドバイスを心がけている。この記事では現場のリアルな視点から解説を担当。
マネージャー 辰巳浩晃理由は、スレート材と判断できても、アスベストの有無は調査しなければ分からないためです。
業者は建物の形状や建築年代、屋根材・外壁材の見た目などから、スレート材である可能性を高い精度で判断できます。そのため、見積もりではスレート材の撤去費用をあらかじめ計上します。
マネージャー 辰巳浩晃ただし、「スレート=アスベスト含有」と確定しているわけではありません。スレート材にはアスベストを含む製品と含まない製品があるため、法令に基づく事前調査や必要に応じた分析調査を行い、アスベストの有無やレベルを確認する必要があります。
調査結果によっては、撤去方法や処分方法が変わるため、見積金額を調整する場合があります。
工場の解体費用が高額になる理由
工場の解体費用は、一般住宅の解体より高額になるケースがほとんどです。
ここでは、工場の解体費用が高くなる主な理由を紹介します。
特殊設備の撤去費がかかる

工場には、天井クレーンやボイラー、サイロ、キュービクル(高圧受電設備)など、一般的な建物にはない大型設備が設置されている場合があります。これらは建物とは別に撤去する必要があり、解体費用が高くなる要因の一つです。
重量のある設備は、クレーン車や専用重機で吊り出して搬出する必要があります。また、設備ごとに専門業者や特殊な作業が必要となるため、通常の建物解体よりも工数が増えます。
特に業務用エアコンやチラーなどの冷却設備にはフロン類が使用されていることがあり、解体前に適正な回収が法律で義務付けられています。フロン回収業者への委託費用が発生するため、その分解体費用も高くなります。
仮設工事の費用が高くなる

工場は一般的な建物よりも天井が高く、建物全体の規模も大きいため、足場や防音パネルなどの仮設工事費が高くなる傾向があります。
大型機械やクレーンの使用を前提に設計されている工場では、軒高が10mを超えるケースも珍しくありません。そのため、粉じんや騒音の飛散を防ぐ養生範囲が広くなり、足場や防音パネルの設置費用が増加します。
また、高所作業では足場の設置が法律で義務付けられているため、安全対策にかかる資材費や施工費も見積もりへ反映されます。
基礎・地下ピットの撤去費がかかる
工場には大型機械を支える厚いコンクリート基礎や地下ピットが設けられている場合が多く、撤去には時間と費用がかかります。
一般住宅の基礎よりも大きく頑丈なため、大型の油圧ショベルやブレーカーを使用して破砕・撤去しなければなりません。作業期間も長くなり、人件費や重機使用料が増加します。
さらに、解体によって発生するコンクリートがらや鉄くずなどの産業廃棄物も大量になります。これらの運搬費や処分費は重量や数量に応じて増えるため、基礎が大きい工場ほど解体費用も高額になりやすい傾向があります。
重機の回送費や交通誘導費がかかる
工場解体では、特殊重機の運搬費や交通誘導員の配置費用が発生するため、一般的な建物よりも諸経費が高くなります。
鉄骨や鉄筋コンクリート造の工場では、高所解体用のロングリーチ重機や大型アタッチメントを使用する場合が多くあります。これらは公道を自走できないため、大型トレーラーで搬入・搬出する必要があり、回送費だけで数十万円かかるケースもあります。
さらに、大量の産業廃棄物を搬出するダンプカーが頻繁に出入りするため、安全確保を目的に交通誘導員を配置するケースがあり、人件費も増加します。
防音・振動対策の費用がかかる
工場の周辺環境によっては、防音・振動・粉じん対策を強化する必要があり、その分解体費用が高くなります。
同じ敷地内で別棟の工場が稼働している場合や、近隣に住宅や精密機械を扱う工場がある場合は、騒音や振動、粉じんによる影響を最小限に抑えなければなりません。
そのため、防音シートを二重・三重に設置したり、散水を強化したり、低騒音・低振動型の重機を使用したりするケースがあります。こうした対策によって工期が延び、人件費や機材のリース費用が増加します。
アスベストの調査・除去が必要になる

古い工場では、アスベストを含む建材が使用されている場合があります。そのため、解体前の事前調査や除去作業が必要となり、費用が高くなります。
工場では、屋根材(スレート)や断熱材、配管の保温材などにアスベストが使用されていた例が多くあります。アスベストが確認された場合は、飛散を防ぐための密閉養生や作業員の保護具、専用処分場への運搬など、通常より厳重な作業が必要です。
アスベストについては、次の記事にて詳しく解説していますのであわせてご覧ください。

土壌汚染対策が必要になる
化学物質を使用していた工場では、土壌汚染の調査や浄化工事が必要になる場合があります。調査や対策費用が加わるため、解体費用が高額になりやすい要因の一つです。
メッキ工場やクリーニング工場、化学工場などでは、重金属や揮発性有機化合物などの有害物質を使用していたケースがあります。そのため、工場を廃止する際は、土壌が汚染されていないか調査を行わなければなりません。
調査の結果、土壌汚染が確認された場合は、汚染土壌の掘削・撤去や封じ込め工事が必要となり、数百万円規模の追加費用が発生するケースもあります。
出典:土壌汚染対策
(使用が廃止された有害物質使用特定施設に係る工場又は事業場の敷地であった土地の調査)
第三条 使用が廃止された有害物質使用特定施設(水質汚濁防止法(昭和四十五年法律第百三十八号)第二条第二項に規定する特定施設(第三項において単に「特定施設」という。)であって、同条第二項第一号に規定する物質(特定有害物質であるものに限る。)をその施設において製造し、使用し、又は処理するものをいう。以下同じ。)に係る工場又は事業場の敷地であった土地の所有者、管理者又は占有者(以下「所有者等」という。)であって、当該有害物質使用特定施設を設置していたもの又は第三項の規定により都道府県知事から通知を受けたものは、環境省令で定めるところにより、当該土地の土壌の特定有害物質による汚染の状況について、環境大臣又は都道府県知事が指定する者に環境省令で定める方法により調査させて、その結果を都道府県知事に報告しなければならない。ただし、環境省令で定めるところにより、当該土地について予定されている利用の方法からみて土壌の特定有害物質による汚染により人の健康に係る被害が生ずるおそれがない旨の都道府県知事の確認を受けたときは、この限りでない。
工場の解体費用を安く抑える方法
産業機械や金属類を売却する

工場内の産業機械や配管、鉄骨など、有価物として買い取れる設備や金属類は、解体前に売却すると解体費用の一部に充てられます。
解体業者へすべての撤去を任せると、金属類も産業廃棄物として扱われ、運搬費や処分費が発生します。着工前に中古機械買取業者やスクラップ業者へ直接売却すれば、処分費を抑えながら売却益も期待できます。
残置物は事前に処分する

工場内に残る廃油や化学薬品、プラスチックパレットなどの残置物は、解体前に自社で産業廃棄物処理業者へ依頼して処分しましょう。
事業活動で発生した廃棄物は、排出事業者が処理責任を負います。解体業者へまとめて依頼すると、中間マージンが加算されるケースもあります。専門業者へ直接依頼すれば、余計な費用を抑えられます。
コンクリート廃材を再利用する

工場の基礎や土間を解体すると、大量のコンクリート廃材が発生します。跡地の利用計画に支障がなければ、現地で砕いて埋め戻し材として再利用できる場合があります。
すべてを場外へ搬出すると、運搬費と処分費が高額になりがちです。一方、再生砕石(RC)として敷地内で活用できれば、廃棄物の搬出量を減らし、処分費の削減につながります。
大型重機を自社保有する業者へ依頼する

工場解体では、ロングリーチ重機や大型ブレーカーなどの特殊重機を使用する場面が多くあります。そのため、こうした大型重機を自社で保有する業者へ直接依頼すると、解体費用を抑えられる場合があります。
特殊重機を保有していない業者は、重機をリースしたり、重機を保有する協力会社へ作業を依頼したりするケースがあります。その場合は、リース料や中間マージンが見積もりに含まれるため、費用が高くなる可能性があります。
工場の解体で使える補助金制度
工場限定で活用できる補助金制度はありませんが、建替えや事業再構築などを目的とした補助金を利用できる場合があります。ただし、補助金は着工前の申請が原則です。
ここでは、工場の解体で活用できる代表的な補助金制度を紹介します。
アスベスト(石綿)調査・除去に関する補助金
古い工場では、断熱材や屋根材などにアスベストが使用されている場合があります。アスベストの調査や除去には高額な費用がかかるため、国や自治体では調査費や除去費の一部を補助する制度を設けています。
▼対象要件(一例)
- 補助内容や対象要件は自治体によって異なる
- 工場や倉庫などの民間建築物が対象となる自治体がある
- アスベストの調査費や除去・封じ込め費用の一部が補助対象
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金
新事業への進出や設備投資を支援する国の補助金です。新事業の実施に伴って既存工場を解体する場合は、解体費用も補助対象となる場合があります。
▼対象要件(一例)
- 「新事業進出枠」または「グローバル枠」で申請する
- 新事業の実施に必要な既存工場の解体である
- 補助金の交付決定前に工事へ着手しない
単に工場を解体して更地にするだけでは利用できません。新工場の建設や新事業への転換など、事業計画の一環として解体を行うことが条件です。
【FAQ】工場解体費用に関するよくある質問
工場の一部(古い倉庫部分など)だけを解体する場合、費用は安くなりますか?
総額は下がりますが、坪単価は工場の全体を解体するより高くなる傾向があります。
たとえば工場の一部だけを解体する「切り離し解体」は、重機が入りにくく手作業が増えるため、人件費がかかります。
また、残す建物との境界部分では、外壁や屋根の雨仕舞いなどの補修工事も必要です。さらに、解体中に残す建物を傷付けないよう、養生や施工管理にも細心の注意を払います。
工場の解体工事にかかる期間の目安はどれくらいですか?
中小規模の工場で約1〜3か月、大規模な工場では半年以上かかることもあります。
工場は一般住宅と異なり、重い機械を支える厚い基礎コンクリートや地下ピットの撤去に時間を要します。また、建物の解体前には、足場や防音パネルの設置、アスベストの除去作業など、多くの準備工程が必要です。
土地の引き渡しや売却の予定が決まっている場合は、希望日の半年前を目安に解体業者へ相談しましょう。
工場の解体費用が高額で用意できません。そのままの状態で売却は可能でしょうか?
はい、工場を解体せず、そのまま売却できる可能性があります。
工場や倉庫として利用したい企業へ現状のまま売却するという選択肢もあります。
古い工場でも、建物や設備をそのまま活用できる物件は一定の需要があります。買い手が見つかれば、解体費用を負担せずに売却できるだけでなく、売却代金を得られる可能性もあります。
まとめ
工場は、厚い基礎コンクリートや地下ピットの撤去、大型設備の処分、アスベスト対策などが必要になるため、一般住宅より高額になりやすい傾向があります。そのため、坪単価だけで判断せず、現地調査をもとにした見積もりの比較が大切です。
工場の解体費用を少しでも抑えたい場合は、次のポイントを意識しましょう。
- 産業機械や金属類は解体前に売却する
- 残置物は専門業者へ事前に処分を依頼する
- コンクリート廃材を現地で再利用できるか確認する
- 大型重機を自社保有する解体業者へ依頼する
- 補助金制度は着工前に利用できるか確認する
また、工場解体では見積もり後にアスベスト調査などを実施し、その結果によって金額が変動する場合もあります。見積書の内容だけで判断せず、追加費用が発生する条件や契約前の確認事項まで業者へ確認しておくと安心です。




