この記事の案内人・編集長
稲垣 瑞稀
- 解体工事で使うブレーカーの種類や、それぞれの特徴がわかる
- ブレーカー工法が必要になるケースと、費用・工期に影響する要因がわかる
- ブレーカー工法と圧砕機・はつり工事・ワイヤーソー工法との違いがわかる
- ブレーカー工法で失敗しないための確認ポイントが把握できる
解体業者との打ち合わせや見積もりで、「ブレーカーを使用します」と説明され、「ブレーカーって何?」「どんな時に使うの?」と疑問に感じていませんか?
解体工事のブレーカーは、住宅基礎や土間コンクリート、鉄筋コンクリート造などの硬いコンクリートを破砕する際に使用される機械です。
現場によって大型ブレーカーとハンドブレーカーを使い分けるため、費用や工期は一律ではありません。
この記事では、解体工事で使うブレーカーの種類と特徴、ブレーカー工法が必要になるケース、費用や工期の目安、ブレーカー工法で失敗しないためのポイントについて、わかりやすく解説します。
監修者
現場解説一般社団法人あんしん解体業者認定協会 お客様窓口 マネージャー
辰巳 浩晃(たつみ ひろあき)
解体工事のご相談・現場調査の立会い・見積書説明など、お客様窓口としてお客様の不安解消と工事サポートに注力するマネージャー。「同じ解体でも、ひとつとして同じ現場はない」を信条に、一件一件の個性を大切にしながら、お客様が晴れやかな気持ちで工事当日を迎えられるよう伴走。お持ちの見積書が適正かどうかも、数分のお電話で判断できるよう、第三者目線でのアドバイスを心がけている。この記事では現場のリアルな視点から解説を担当。
運営責任者「スッキリ解体」編集長
稲垣 瑞稀(いながき みずき)
解体業界専門のWebメディアでWebディレクターとして6年以上、企画・執筆・編集から500社以上の解体業者取材まで、メディア運営のあらゆる工程を経験。近年は解体の前段にある空き家問題(管理・解体・補助金・税制)にも取材領域を広げている。正しい情報が届かず困っている方を助けたいという想いから、一個人の責任と情熱で「スッキリ解体」を立ち上げ、全記事の編集に責任を持つ。
執筆「スッキリ解体」専属ライター
酒巻 久未子(さかまき くみこ)
「解体工事でお悩みの方に、同じ主婦の立場から実用的な情報をお届けします。」
数多くのお客様や業者様へのインタビューを通じて、お客様が抱えるリアルな悩みに精通。実際の解体工事現場での取材を重ね、特に「お金」や「近隣トラブル」といった、誰もが不安に思うテーマについて、心に寄り添う記事を執筆。子育て中の母親ならではの、きめ細やかな視点も大切にしている。
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解体工事で使うブレーカーの種類と特徴
ブレーカーは、硬いコンクリートを効率よく破砕できるため、解体工事で広く使用されています。
現場では、手持ち式の「ハンドブレーカー」と、重機に取り付ける「大型ブレーカー」を使い分け、施工場所や構造物の規模によって適した機械を選択します。
| 種類 | 操作方法 | 主な用途 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ハンドブレーカー | 作業員が手持ちで使用 | 狭小地、室内、ブロック塀 | 重機が入れない場所に対応できる。 |
| 大型ブレーカー | ショベルカーに装着 | 基礎、鉄筋コンクリート造、広い土間 | 破砕力が高く、大規模な解体に適している。 |
ハンドブレーカー

重機が入れない狭小地や室内で使用する手持ち式の工具です。土間コンクリートや階段、ブロック塀の部分撤去など、細かな作業に向いています。人力で進めるため、広範囲の解体では施工期間が長くなる傾向があります。
大型ブレーカー

ショベルカーの先端に取り付ける重機用アタッチメントです。住宅基礎や鉄筋コンクリート造の壁・床など、厚いコンクリートを短時間で破砕できます。作業効率が高い反面、騒音や振動への配慮が欠かせません。
ブレーカーを使用してコンクリートや基礎を破砕しながら撤去する工法を、「ブレーカー工法」と呼びます。
ブレーカー工法のメリット・デメリット
大型ブレーカーとハンドブレーカーには、それぞれ次のようなメリット・デメリットがあります。
| 種類 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| ハンドブレーカー | 狭い場所や室内でも作業できる | 作業員への負担が大きく、広範囲の解体には向かない |
| 大型ブレーカー | 強固なコンクリートを効率よく破砕できる | 騒音・振動が大きく、使用できる現場が限られる |
- ハンドブレーカー
ハンドブレーカーは、重機が入れない狭小地や建物内部でも解体作業を行える点がメリットです。ほかの工法では対応が難しい場所でも施工できるため、部分解体や改修工事でも活用されています。
ただし、作業員が手作業で扱うため身体への負担が大きく、広い範囲の解体には向きません。作業内容によっては、ほかの工法と組み合わせて施工するケースもあります。 - 大型ブレーカー
大型ブレーカーは重機の油圧を利用するため、厚いコンクリートや強固な基礎も効率よく破砕できます。
一方で、打撃力が強い分、騒音や振動も大きくなります。そのため、住宅密集地では防音シートの設置や散水、作業時間への配慮など、近隣への影響を抑える対策が欠かせません。
ブレーカー工法が必要になるケース
ここからは、解体工事でブレーカーが必要になるケースをご紹介します。
住宅基礎や土間コンクリートの撤去

木造住宅でも、基礎の撤去にはブレーカーを使用します。建物本体を解体した後、地中に埋まったコンクリート基礎を大型ブレーカーで砕きながら撤去します。玄関アプローチや庭の土間コンクリートを割る作業でも欠かせません。
鉄筋コンクリート造(RC造)の部分解体

鉄筋コンクリート造では、壁や床など強固なコンクリートを砕く場面でブレーカーを使用します。圧砕機では対応しにくい厚い部材や、リフォームに伴う部分解体でも活躍します。コンクリートを砕いて鉄筋を露出させ、その後の切断作業へ進みます。
擁壁や駐車場などの外構解体

コンクリートブロック塀や擁壁、駐車場の舗装撤去でもブレーカーを使用します。建物本体を解体しない外構リフォームでも出番があります。道路沿いの現場では、安全対策や防音対策が欠かせません。
重機が入れない場所での解体作業
住宅密集地や狭い路地では、手持ち式のハンドブレーカーを使用します。人力作業のため、重機より施工期間が長くなる傾向があります。室内土間の撤去や階段の解体など、細かな調整が必要な場面でも活躍します。
重機が入らない解体工事については、次の記事にて詳しく解説していますのであわせてご覧ください。

ブレーカー工法の工期と費用
ブレーカー工法の費用や工期は、主に次の3つの条件によって変わります。
- 重機が使える現場
大型ブレーカーを使用できる現場では工期を短縮しやすくなります。一方、重機を搬入できない現場では施工方法が限られるため、工期や費用に影響する場合があります。 - コンクリートの厚さと鉄筋量
コンクリートが厚く、鉄筋量が多いほど、破砕や切断に時間がかかります。薄い土間コンクリートと住宅基礎、鉄筋コンクリート造の壁では、同じ面積でも工期や費用に大きな差が生じます。 - 解体範囲の広さ
基礎だけを撤去する場合と、駐車場や擁壁など外構まで含める場合では、必要な作業量が変わります。コンクリート構造物が多い現場ほど、ブレーカーの稼働時間が長くなり、費用や工期にも影響します。
大型ブレーカーとハンドブレーカーはどちらが安い?
大型ブレーカーとハンドブレーカーでは、どちらを使用したほうが費用は安くなるのでしょうか。ここからは『あんしん解体業者認定協会』で11万件以上の相談対応実績を持つ辰巳マネージャーが、ブレーカーの種類による費用の違いについて解説します。
現場解説
一般社団法人あんしん解体業者認定協会 お客様窓口 マネージャー
辰巳 浩晃 (たつみ ひろあき)
解体工事のご相談・現場調査の立会い・見積書説明など、お客様窓口としてお客様の不安解消と工事サポートに注力するマネージャー。「同じ解体でも、ひとつとして同じ現場はない」を信条に、一件一件の個性を大切にしながら、お客様が晴れやかな気持ちで工事当日を迎えられるよう伴走。お持ちの見積書が適正かどうかも、数分のお電話で判断できるよう、第三者目線でのアドバイスを心がけている。この記事では現場のリアルな視点から解説を担当。
マネージャー 辰巳浩晃重機をレンタルした場合はリース代がかかるため、「大型ブレーカーを使用すれば必ず費用を抑えられる」わけではありません。
マネージャー 辰巳浩晃一方で、大型ブレーカーは作業効率が高く、コンクリート量が多い現場では工期を短縮できるケースがあります。そのため、現場によっては総工事費が安くなることもあります。
費用はブレーカーの種類だけでなく、重機を手配する費用や作業量、現場条件を含めて判断しましょう。
【実例】「ブレーカー作業費」が記載された見積書
ここでは、「ブレーカー作業費」が記載された見積書をご紹介します。ブレーカーは、車庫土間コンクリートや外構の撤去などで使用されるため、関連する工事項目もあわせて掲載しています。
【茨城県つくば市】木造2階建て住宅(40坪)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 外構工事(カット有) | 80,000円 |
| 車庫土間コンクリート撤去処分 | 30,000円 |
| ブレーカー作業費 | 50,000円 |
【千葉県習志野市】木造2階建て・平屋・鉄骨造の3棟(62.7坪)

| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 鉄骨造住宅解体処分 | 900,000円 |
| 車庫土間コンクリート撤去処分 | 60,000円 |
| ブレーカー作業費 | 100,000円 |
マネージャー 辰巳浩晃このように、「ブレーカー作業費」を独立した項目として記載する業者もあれば、「基礎撤去費」や「外構撤去費」に含める業者もあります。
マネージャー 辰巳浩晃そのため、見積書に「ブレーカー作業費」の項目がなくても、ブレーカーを使用していないとは限りません。
ブレーカー工法とほかの解体方法の違い
コンクリートの解体には、ブレーカー以外にもさまざまな工法があります。それぞれ特徴や適した現場が異なるため、代表的な工法との違いを紹介します。
圧砕機(クラッシャー)との違い

ブレーカーは打撃で砕き、圧砕機(クラッシャー)は挟んで破砕します。
圧砕機は騒音や振動を抑えやすい反面、厚い基礎や地中のコンクリートには対応しにくい場合があります。そのため、実際の現場では、圧砕機で処理できる部分を先に撤去し、硬い箇所や厚い基礎だけブレーカーを使用するケースが一般的です。
はつり工事との違い

ブレーカー工法は構造物全体を撤去し、はつり工事は必要な部分だけ削ります。
住宅基礎や擁壁を完全に撤去する場合はブレーカーを使用します。一方、リフォーム工事では、配管スペースの確保や段差調整などを目的に、コンクリートの一部だけを削る「はつり工事」を行います。
はつり工事の基礎知識については、次の記事にて詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

ワイヤーソー工法との違い

ワイヤーソー工法は、ダイヤモンドワイヤーでコンクリートを切断する工法です。打撃を伴わないため、騒音や振動を大幅に抑えられます。
住宅密集地や病院周辺など、周辺環境への配慮が求められる現場で採用されるケースが多く、橋脚や大型擁壁の解体にも適しています。ただし、施工費用はブレーカー工法より高くなる傾向があります。
【FAQ】解体ブレーカーに関するよくある質問
ブレーカー作業には資格や免許が必要ですか?
使用するブレーカーの種類によって、必要な資格や安全衛生教育は異なります。無資格で操作すると法令違反となるため、適切な資格・教育を受ける必要があります。
大型ブレーカー(重機に取り付けるタイプ)は、ベースとなる重機の機体質量によって必要な資格が変わります。
- 機体質量3トン以上:車両系建設機械(解体用)運転技能講習の修了
- 機体質量3トン未満:小型車両系建設機械(解体用)運転の業務に係る特別教育の受講
ハンドブレーカー(手持ちタイプ)は、専用の免許や国家資格は不要です。ただし、振動障害(白ろう病など)を防ぐための「振動工具取扱作業者安全衛生教育」があり、労働安全衛生法に基づく努力義務とされています。罰則はありませんが、作業員の安全確保のため、多くの業者が受講しています。
雨の日でもブレーカーを使った工事はできますか?
多少の雨天であれば作業が可能です。
雨が天然の散水代わりになり、コンクリート破砕時に発生する粉じんの飛散を防ぐ利点があります。
ただし、視界を遮るほどの豪雨や強風時は、安全確保を優先して作業を中止する可能性があります。また、電動式のハンドブレーカーを使用する場合、漏電や感電の危険があるため雨天時の使用を控えます。天候による休工が発生した際は、業者がスケジュールを再調整して対応します。
ブレーカーで解体すると地盤に影響はありますか?
ブレーカーによる打撃で地盤が弱くなる心配はありません。打撃はコンクリートを砕くためのものであり、土壌そのものを破壊するわけではないためです。
一方で、基礎を撤去した後の埋め戻しや転圧が不十分だと、地盤沈下につながる可能性があります。基礎を撤去してできた穴には土を戻し、重機でしっかり締め固める「転圧作業」が欠かせません。地盤の安定性を左右するのはブレーカーの使用ではなく、撤去後の整地が適切に行われているかどうかです。
まとめ
ブレーカー工法は、住宅基礎や土間コンクリート、鉄筋コンクリート造の部分解体など、硬いコンクリートを撤去する際に使用される代表的な工法です。現場条件によって適した機械や工法が異なるため、次のポイントを確認しておきましょう。
- 大型ブレーカーとハンドブレーカーは、現場の広さや重機の進入可否によって使い分ける
- 費用や工期は、ブレーカーの種類だけでなく、コンクリートの厚さや解体範囲、現場条件によって変わる
- 騒音・振動や粉じん対策、必要に応じた家屋調査の有無も事前に確認する
- ブレーカー工法だけでなく、圧砕機(クラッシャー)やワイヤーソー工法なども比較して選ぶ
現場に合わない工法を選ぶと、工期や費用が増える可能性があります。現地調査をもとに複数の工法を提案し、それぞれのメリット・デメリットを説明してくれる解体業者へ依頼すると安心です。
なお、優良な解体業者の選び方については、次の記事にて詳しく解説していますのであわせてご覧ください。







