【解体ニュース解説】送電鉄塔の解体中に労災事故 島根県益田市

送電鉄塔の解体中に労災事故 島根県益田市のサムネイル
稲垣 瑞稀

この記事の案内人・編集長

稲垣 瑞稀

解体業界で6年間働く中で感じた『正しい情報が届かない』というもどかしさから、解体工事や空き家問題について全記事の企画・編集に責任を持っています。専門家への直接取材を通じ、業界経験者として分かりやすい情報提供をお約束します。

この記事でわかること
  • 送電鉄塔の解体現場で事故が発生した背景
  • 山間部での鉄塔倒壊事故が周辺地域へ与える影響
  • 発注者・元請け・協力会社それぞれに求められる安全管理
  • 解体工事で倒壊事故を防ぐために欠かせない対策

島根県益田市匹見町の風力発電関連の送電鉄塔建て替え工事現場で、解体作業中に吊り上げ用機材が倒壊し、協力会社の30歳の男性作業員が死亡する労災事故が発生しました。

送電鉄塔の解体工事は、高所作業に加え、重量のある鉄骨部材を撤去するため、わずかな判断ミスや機材トラブルが重大事故につながる危険性があります。

本記事では、送電鉄塔解体事故はなぜ起きたのか、周辺住民や停電への影響、安全管理の責任の所在、そして同様の事故を防ぐために必要な安全対策について、解体工事の専門的な視点からわかりやすく解説します。

目次
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ニュースの概要

  • 発生場所:島根県益田市匹見町
  • 報道日:2026年6月5日
  • 対象:解体作業中の風力発電の送電鉄塔
  • 事案:島根県益田市匹見町の風力発電関連の送電鉄塔建て替え工事現場で、解体作業中に吊り上げ用機材が倒壊し、協力会社の男性作業員(30)が死亡した。
島根県益田市にある風力発電の送電鉄塔の建て替え工事現場

6月5日、島根県益田市匹見町の工事現場で、解体作業中の風力発電の送電鉄塔が倒れるなどし、鉄骨製の支柱が作業員の男性を直撃する事故がありました。

男性は意識不明の状態で救急搬送されましたが、病院で死亡が確認されました。

【詳報】風力発電の送電鉄塔の建て替え工事現場で…解体作業中の鉄塔などが倒れ、鉄骨製の支柱が男性作業員(30)を直撃し死亡する労災事故 現場では10人が作業か 島根県益田市|BSS山陰放送

送電鉄塔の解体事故はなぜ起きたのか?

現時点で公表されている情報では、解体作業中に吊り上げ用機材が倒壊し、その影響で古い送電鉄塔や鉄骨製の支柱が倒れたことが事故の原因とみられています。

吊り上げ用機材の倒壊が事故の引き金に

中国電力ネットワークの発表によると、事故は送電鉄塔の建て替え工事中に発生しました。解体作業中に吊り上げ用機材が倒れ、高さ約6mの古い鉄塔や長さ約12mの鉄骨製支柱も巻き込まれる形で倒壊しました。近くで作業していた30歳の男性作業員が下敷きとなり、死亡が確認されました。

解体中の構造物は、一部の部材を取り外した段階で本来の強度や安定性が低下します。そのため、想定外の力が加わると全体のバランスが崩れ、大きな事故につながるおそれがあります。詳しい事故原因については現在も調査が進められています。

解体現場では機材の安全管理が義務付けられている

解体工事では、重機や設備による事故を防ぐための安全対策が重要です。

労働安全衛生法第20条では、事業者に対して機械や設備による危険を防止するために必要な措置を講じるよう義務付けています。

出典:労働安全衛生法

(事業者の講ずべき措置等)
第二十条
 事業者は、次の危険を防止するため必要な措置を講じなければならない。
一 機械、器具その他の設備(以下「機械等」という。)による危険
二 爆発性の物、発火性の物、引火性の物等による危険
三 電気、熱その他のエネルギーによる危険

引用:労働安全衛生法|e-Gov法令検索

今回の事故原因はまだ明らかになっていません。しかし今後の調査では、吊り上げ用機材の設置状況や作業手順、安全管理体制などが確認されるとみられます。

周辺住民への影響や停電の心配は?

運営者 稲垣

現時点で報道されている情報では、作業員以外のけが人や周辺住民への被害は確認されていません。また、この事故による停電も発生していません。

現場は住宅地から離れた山間部

島根県益田市匹見町の風景

事故が発生した島根県益田市匹見町は、森林が広がる山間地域です。送電鉄塔は風力発電施設と送電網を結ぶため、尾根や山林など住宅地から離れた場所に設置されるのが一般的です。

今回の工事現場も山間部に位置しており、報道によると周辺住民への被害は確認されていません。

解体中の鉄塔だったため停電は発生していない

今回倒壊したのは、建て替え工事に伴って解体が進められていた古い送電鉄塔です。

一般的な鉄塔の建て替え工事では、新しい鉄塔への切り替えや仮設設備の設置を行ったうえで解体作業に着手します。そのため、解体中の鉄塔が送電機能を担っているケースは通常ありません。

現時点で停電被害は報じられておらず、事故による生活インフラへの影響も確認されていません。

安全管理の責任は誰が担うのか?

発注元である中国電力ネットワークおよび元請け業者が、現場全体の安全管理を指導・監督する責任を負います。

中国電力ネットワークは工事の発注者として、無理のない工期設定や安全確保の指導を行います。実際の作業は協力業者が担当しますが、複数の業者が混在する現場では元請け業者が全体の安全を統括します。

労働安全衛生法第30条では、元請け業者に対し、複数の事業者が同じ現場で作業する際の労働災害を防止するため、作業間の連絡・調整や安全管理体制の整備を行うよう定めています。

出典:労働安全衛生法

(特定元方事業者等の講ずべき措置)
第三十条
 特定元方事業者は、その労働者である作業従事者(当該労働者である作業従事者のほか、労働者以外の当該特定元方事業者に係る作業従事者がある場合には、当該者を含む。)及び関係請負人に係る作業従事者の作業が同一の場所において行われることによつて生ずる労働災害を防止するため、次の事項に関する必要な措置を講じなければならない。

引用:労働安全衛生法|e-Gov法令検索

元請け業者は下請け作業員を含めた安全体制を構築し、事故を防ぐ法的義務を負います。

同様の事故を防ぐために必要な安全対策とは?

ここでは、今後こういった事故が起きないようにするための安全対策について解説します。

吊り上げ作業の安全管理

解体途中の鉄塔は、一部の部材やボルトを取り外すことで本来の強度や安定性が低下します。そのため、撤去材の重量を正しく把握したうえで作業を進める必要があります。

また、クレーンなどの機材を使用する際は、設置場所の地盤状況や機材の安定性を事前に確認しなければなりません。特に山間部や傾斜地では、地盤の状態に応じた対策が求められます。

山間部特有のリスクへの対応

山間部での作業は、強風や降雨など自然環境の影響を受けやすい特徴があります。

そのため、作業前には危険予知活動(KY活動)やリスクアセスメントを実施し、現場の危険要因を確認することが重要です。また、風速や天候の変化に応じて作業を中断する基準をあらかじめ定め、現場全体で共有しておく必要があります。

解体工事では、一つの判断ミスや確認漏れが重大事故につながる可能性があります。安全対策を徹底し、危険を早期に察知できる体制づくりが重要です。

まとめ

島根県益田市の風力発電用送電鉄塔の建て替え現場にて、解体中の鉄塔や支柱が倒れ、30歳の男性作業員が命を落とす労災事故が報じられました。撤去材を吊り上げる機材の倒壊が直接的な原因とされています。

今後、同様の事故を防ぐには、解体途中で強度を失った構造物の危険性を再認識し、厳密な荷重計算や重機を設置する地盤の確認徹底が必須です。また、山間部特有の突風や急激な天候変化に対応できるよう、明確な作業中止基準を設けなければなりません。発注元から現場の作業員に至るまで、全員が情報を共有し、一体となった強固な安全管理体制を構築する責任があります。

最後に、今回の事故で亡くなられた作業員の方のご冥福を心よりお祈り申し上げます。解体業界全体で安全対策を見直し、二度と同じ事故が繰り返されない環境整備が重要です。

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この記事を書いた人

「一個人の責任と情熱で、本当に役立つ情報を発信したい。」

『スッキリ解体』運営責任者。解体業界で6年間働く中で感じた『正しい情報が届かない』という現状を変えるため、全記事の企画・編集に携わり、責任を持って情報発信を行う。

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