この記事の案内人・編集長
稲垣 瑞稀
- 家の解体費用が払えないときに検討したい6つの対処法がわかる
- 家の解体費用を抑える5つの方法がわかる
- 解体費用を払えないまま家を放置する5つのリスクがわかる
「実家を解体しなければならないけれど、数百万円もの費用を用意できない……」と不安を感じて、この記事にたどり着いたのではないでしょうか。
解体費用が払えない場合でも、補助金やローンを利用したり売却や活用を検討したりすることで、解体費用の負担を軽減できる可能性があります。まずは解体費用がいくらかかるのかを把握し、自分に合った方法を検討することが大切です。
本記事では、11万件以上の解体相談実績を持つ「あんしん解体業者認定協会」の中野理事の監修のもと、解体費用が払えないときの対処法や費用を抑える方法、家を放置するリスクを解説します。
監修者
運営責任者「スッキリ解体」編集長
稲垣 瑞稀(いながき みずき)
解体業界専門のWebメディアでWebディレクターとして6年以上、企画・執筆・編集から500社以上の解体業者取材まで、メディア運営のあらゆる工程を経験。近年は解体の前段にある空き家問題(管理・解体・補助金・税制)にも取材領域を広げている。正しい情報が届かず困っている方を助けたいという想いから、一個人の責任と情熱で「スッキリ解体」を立ち上げ、全記事の編集に責任を持つ。
執筆「スッキリ解体」専属ライター
馬場 美月(ばば みづき)
「解体工事の準備から完了まで、初めての方でも迷わないよう、一つずつ丁寧に解説します。」
「初心者にもわかりやすく」をモットーに、解体工事の全工程をステップバイステップで解説する記事を得意とするライター。毎週の専門勉強会で得た知識や業者様へのインタビューを元に、手続きの流れや専門用語を図解なども交えながら、読者が迷わずに理解できる記事作りを心がけている。
解体費用、たった30秒でわかります
個人情報の入力不要。建物の種類と場所を選ぶだけで、概算費用をその場で表示します。
※ 概算は目安です。正確な金額は現地調査による見積もりが必要です
家の解体費用はいくらかかる?
家の解体費用は建物の構造によって坪単価が異なります。 坪単価の目安は木造が3万4,090円、軽量鉄骨造が3万8,917円、重量鉄骨造が4万9,102円、RC造(鉄筋コンクリート造)が6万2,465円です。
| 建物の構造 | 平均坪単価 | 30坪の解体費用目安 | 40坪の解体費用目安 |
|---|---|---|---|
| 木造 | 3万4,090円 | 約102万円 | 約136万円 |
| 軽量鉄骨造 | 3万8,917円 | 約117万円 | 約156万円 |
| 重量鉄骨造 | 4万9,102円 | 約147万円 | 約196万円 |
| RC造 | 6万2,465円 | 約187万円 | 約250万円 |
※解体費用相場は『あんしん解体業者認定協会』が保有する、2020年〜2025年7月の解体工事データ30,000件以上を基に算出しています。
※解体費用相場は平均値です。実際の解体費用は現場の状況や建物の状態によって変動します。
家の解体費用については、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

家の解体費用が払えないときの6つの対処法
まずは、家の解体費用が払えないときに検討できる6つの対処法をご紹介します。
方法1:補助金を活用する
自治体によっては、空き家の解体や周辺環境の安全確保などを目的とした補助金制度を設けています。代表的な制度は以下の4つです。
- 老朽危険家屋解体撤去補助金
倒壊や建築部材の飛散など、周辺に危険を及ぼすおそれがある空き家の解体費用を補助する制度です。対象は老朽化した空き家や特定空家などで、補助額は対象経費の1/2〜1/3程度、上限50万円〜100万円程度が目安です。 - 景観・防災対策解体補助金
景観の悪化や防災上のリスクがある建物、危険なブロック塀などの撤去費用を補助する制度です。避難路や通学路沿いなど特定の区域にある建物や工作物が対象で、補助額は対象経費の1/2〜1/3程度、上限10万円〜150万円程度が目安です。 - 家財整理・遺品整理補助金
空き家に残された家具・家電・生活用品などの処分費用を補助する制度です。解体前の残置物処分に利用できる場合もあり、補助額は対象経費の1/2程度、上限10万円〜20万円程度が目安です。 - 空き家の利活用・改修補助金
空き家を解体せず、売却・賃貸・地域活用などに利用するための改修費用を補助する制度です。対象は空き家バンク登録物件や自治体が指定する区域内の住宅などで、補助額は対象経費の1/2〜程度、上限5万円〜300万円程度が目安です。
理事 中野達也補助対象となる工事・補助額・申請条件などは自治体によって異なります。また、交付決定前に契約や着工をすると補助を受けられない場合があるため、利用を検討する際は事前に自治体へ確認しましょう。
解体工事に使える補助金については、以下の記事で詳しく解説しています。

方法2:解体ローンを利用する
解体費用を一括で用意できない場合は、金融機関などのローンを利用する方法があります。建て替えなら解体費用を住宅ローンに組み込める場合があるほか、解体のみでも空き家解体ローンや多目的ローン、解体業者と信販会社が提携するローンなどを利用できる可能性があります。
ただしローンには審査があり、必ず利用できるとは限りません。また、借入額・金利・返済期間によって毎月の返済額や総返済額が変わるため、無理なく返済できるか確認したうえで利用しましょう。
解体工事に使えるローンについては、以下の記事で詳しく解説しています。

方法3:解体業者に支払い方法を相談する
解体費用を一度に支払うのが難しい場合は、契約前に解体業者へ支払い方法を相談しましょう。解体工事では「着手金+残金」の2回払いが一般的ですが、業者によっては着手金の減額・分割払い・工事完了後の後払いに対応できる場合があります。例えば以下のような相談ができます。
- 着手金の割合を下げてもらう
- 支払い回数を増やして分割払いにする
- 売却代金や補助金の入金後に支払う
- 工事完了後の後払いに変更する
理事 中野達也支払い条件は業者によって異なるため、資金準備に時間がかかる場合は見積もり段階で「着手金を抑えたい」「〇月まで待ってほしい」など具体的な希望を伝えましょう。
解体費用の支払い方法については、以下の記事で詳しく解説しています。

方法4:古家付き土地として売却する
解体費用を用意せずに土地を手放したい場合は、建物を解体せず「古家付き土地」として売却する方法もあります。買主が購入後に建物を解体するため、売主は解体費用を負担せずに済む可能性があります。
ただし買主が解体費用を負担する分、更地より売却価格が低くなることがあります。また、建物の状態や立地によっては買い手が見つかりにくい場合もあります。
理事 中野達也売却を検討する際は不動産会社に相談し、「古家付き土地として売却できるか」「いくらで売却できるか」「どのくらいの期間で売却できるか」を確認しておきましょう。
方法5:不動産会社や買取業者に現状のまま売却する
古家付き土地として売却する以外に、建物を解体せず現状のまま売却する方法もあります。
不動産会社の仲介では買主を探す必要があるため、売却まで時間がかかることがあります。一方で買取業者なら直接買い取ってもらえるため、築年数が古く買主が見つかりにくい家でも売却できる可能性があります。
買取価格は仲介より低くなる傾向がありますが、解体費用を負担せず、解体業者を探す手間もかけずに家を手放せます。「解体費用を用意できない」「早く売却したい」という場合に検討したい方法です。
方法6:リフォーム・賃貸などで家を活用する
建物の状態が良く、駅や商業施設の近くなど賃貸需要が見込める場合はリフォームして賃貸物件として活用できます。また、自治体の空き家バンクに登録して入居者を探す方法もあります。
一方で雨漏りやシロアリ被害などで大規模な修繕が必要な場合はリフォーム費用が高額になり、解体したほうが負担を抑えられる場合もあります。
理事 中野達也活用を検討する際は不動産会社に賃貸需要や想定家賃を確認し、工務店やリフォーム会社から見積もりを取りましょう。修繕・設備交換費用や維持管理費と将来の家賃収入を比較し、採算が取れるか判断します。
家の解体費用を抑える5つの方法
方法1:解体業者の閑散期を狙って依頼する
解体費用は工事の時期によって変動します。年末年始・年度末・引っ越しシーズンなどの繁忙期(12月〜3月)は工事の依頼が集中し、人手や資材の確保が難しくなるため費用が割高な傾向があります。
一方で閑散期(4月〜9月)に工事を依頼したり、「○月まで」と期限を決めずに業者の空いている時期に合わせたりすることで重機や職人を確保しやすくなり、解体費用を抑えられる場合があります。

理事 中野達也解体工事は半年から1年ほど前に依頼することで、通常の依頼よりも値引きが期待できるため、早めに準備を進めることが大切です。
方法2:必ず3社以上から相見積もりを取る
解体費用を抑えるには2〜3社以上の解体業者から見積もりを取り、金額や工事内容を比較しましょう。同じ建物でも業者によって見積もり金額や工事内容が異なるため、複数社を比較することで適正な相場がわかります。また、見積もりの内訳を比べれば追加費用が発生しそうな項目や工事内容の違いも確認できます。
ただし金額の安さだけで決めず、「見積もりの内容が明確か」「現地調査を丁寧に行っているか」なども確認し、総合的に判断することが大切です。
事例:相見積もりで40万円節約したAさん

Aさんは、埼玉県ふじみ野市の木造2階建て住宅について複数社に見積もりを依頼しました。その結果、最安値のA社は税抜100万円、最高値のB社は税抜140万円と同じ物件でも40万円の差がありました。Aさんは見積もり内容が明確で安かったA社に依頼し、費用を抑えられました。
方法3:家の中の残置物は自分で処分する
解体業者に家具や家電などの残置物の処分を依頼すると、解体工事費とは別に処分費がかかるため費用が高くなります。そのため工事前に自分で処分しておくと、残置物の処分費を節約できます。
残置物の処分費は解体業者や地域によって異なりますが、一般的に1m3あたり1万2,000円〜が目安です。残置物が多いほど処分費も高くなるため、事前に片付けておくことで最終的な解体費用を抑えられます。
事例:残置物を自分で処分し、15万円節約したBさん

Bさんは、家の解体前に残っていた家具や家電などの残置物を自分で処分しました。解体業者に依頼した場合は15万円の処分費がかかる見積もりでしたが、自治体のごみ収集や粗大ごみ回収などを利用して自分で処分したことで費用の節約につながりました。
なお、残置物の処分方法については以下の記事で詳しく解説しています。

方法4:建物滅失登記を自分で行う
建物滅失登記とは解体してなくなった建物を登記簿から抹消するための手続きで、解体工事後1ヶ月以内に申請する必要があります。土地家屋調査士に依頼すると4万円〜5万円程度かかりますが、自分で申請すれば書類の取得費や交通費などを除き、この費用を節約できます。
具体的な手続き方法については以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

方法5:解体業者に値引き交渉する
解体業者への値引き交渉はマナー違反ではありません。「他社では○万円だった」「できれば御社に依頼したい」と誠実に伝えることで、金額を調整してもらえる場合があります。また、工事時期や支払い条件など依頼主側が柔軟に対応できる点を伝えるのも交渉のポイントです。
ただし、複数社の見積もりを比較したうえで依頼する業者を1社に絞ってから交渉しましょう。
解体費用が払えないからと家を放置する5つのリスク
解体費用を用意できないからといって空き家を放置すると、建物の劣化が進むだけでなく、周囲に被害を及ぼしたり、維持費や税負担が増えたりする可能性があります。最悪の場合、行政によって解体され、その費用を請求されることもあるため注意が必要です。
リスク1:倒壊や外壁落下などの事故が起きる
家を放置すると屋根・外壁・柱などの老朽化が進み、台風や地震をきっかけに建物が倒壊するおそれがあります。また、外壁のタイルや屋根瓦が落下し、通行人がけがをしたり隣家や車を傷つけたりする可能性もあります。所有者には建物を適切に管理する責任があるため、事故が起きた場合は損害賠償を求められることもあります。
日本住宅総合センターが試算した「倒壊による損害額」は約2億円
公益財団法人日本住宅総合センターは「空き家が倒壊して隣家が全壊し、住人3人が死亡するケース」を想定し、損害額を2億860万円と試算しています。あくまで特定の条件に基づくモデルケースですが、空き家の倒壊によって周囲に重大な被害が生じた場合、所有者が高額な損害賠償責任を負う可能性があることを示します。

リスク2:近隣トラブルが起きる
家を放置すると雑草が伸びて隣地に入り込んだり、害虫や害獣が発生したりして近隣住民から苦情を受けることがあります。また、建物の劣化によって屋根材や外壁が飛散し、隣家や車を傷つけるなど近隣トラブルにつながる可能性もあります。
日本住宅総合センターが試算した「シロアリ被害の損害額」は17万円
空き家を放置するとシロアリの発生源となり、近隣の住宅にも被害を及ぼす可能性があります。公益財団法人日本住宅総合センターは「管理されていない空き家からシロアリが隣家に移り、1階部分の約15坪が被害を受けたケース」を想定し、駆除や2年後の生息調査にかかる費用を17万円と試算しています。

リスク3:維持費がかかり続ける
家を放置しても、固定資産税・都市計画税・火災保険料などの費用は毎年かかります。また、草刈りや庭木の剪定を業者に依頼すると年間数万円〜数十万円かかる場合があります。さらに屋根の雨漏りや外壁の破損などを放置すれば、修繕費が数万円〜数百万円に膨らむこともあります。
リスク4:税負担が増える
管理状態が悪化し、自治体から「管理不全空家」や「特定空家」に該当すると判断されて勧告を受けると、住宅用地特例が解除される可能性があります。解除されると、土地の固定資産税や都市計画税の軽減措置が適用されなくなり、税負担が最大6倍に増えるおそれがあります。
リスク5:行政代執行が行われる
建物の倒壊などで周囲に重大な危険が生じても所有者が対応しない場合、自治体が行政代執行で解体や撤去を行います。所有者は業者を選んだり相見積もりを取ったりできないため、費用を抑えるのが困難です。さらに工事費は原則として所有者に請求されるため、解体費用を払えないからと放置すると、かえって負担が大きくなる可能性があります。
行政代執行で約633万円を請求された事例
実際に、三重県伊賀市では空き家を放置した結果として行政代執行が行われ、相続人に約633万円の撤去費用が請求されました。

画像の空き家は倒壊の恐れがあったため、2019年に「特定空家」に認定されました。その後、市が相続人3人に指導・勧告・命令を行ったものの対応されなかったことから、2024年11月に行政代執行による撤去工事が行われました。撤去費用は相続人に請求され、支払われない場合は差し押さえなどの法的手続きが取られます。
【FAQ】家の解体費用が払えないときによくある質問
相続放棄をすれば、解体費用を払わなくてもいいですか?
はい、原則として解体費用を負担する必要はありません。
ただし相続放棄の時点で家を管理している場合は、次の相続人などに引き渡すまで家を適切に管理する義務が残ることがあります。
相続放棄については、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

借地に建つ家の解体費用は誰が負担しますか?
原則として建物の所有者である借地人が負担します。
ただし、契約内容や土地を返還する理由によっては地主が負担する場合もあるため、借地契約書を確認することが大切です。
借地に建つ家の解体義務については、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

解体費用が払えない場合、自治体に相談できますか?
はい、相談できます。
自治体によっては解体費用の補助制度を設けているほか、空き家の売却や活用など、解体以外の方法について相談できる場合もあります。
例えば東京都には、空き家の悩みを無料で相談できる「東京都空き家ワンストップ相談窓口」があります。解体の必要性・費用の試算・専門家の紹介などに対応し、都内の空き家向けに解体費用の一部を補助する制度もあります。
まとめ
解体費用が払えないからといって、解体を先延ばしにすることが必ずしも得策とは限りません。家は時間が経つほど劣化が進み、結果的に解体以外の費用負担まで膨らむ可能性があります。
まずは解体費用の見積もりを取り、必要な金額を把握しましょう。そのうえで補助金・ローン・売却などを含めて資金の確保方法を検討し、早めに計画を立てることが大切です。
