実家じまいの補助金4選!申請手順や費用を抑える方法、注意点を解説

実家じまい 補助金のサムネイル
稲垣 瑞稀

この記事の案内人・編集長

稲垣 瑞稀

解体業界で6年間働く中で感じた『正しい情報が届かない』というもどかしさから、解体工事や空き家問題について全記事の企画・編集に責任を持っています。専門家への直接取材を通じ、業界経験者として分かりやすい情報提供をお約束します。

この記事でわかること
  • 実家じまいで利用できる補助金・税制優遇制度の種類や申請方法がわかる
  • 解体費用を抑える具体的な方法と、補助金申請で失敗しないポイントがわかる
  • 実家じまいにかかる費用の相場がわかる

「実家じまいを考えているけれど、解体費用に使える補助金はあるのだろうか?」
「申請方法や条件が複雑そうで、自分でも利用できるのか知りたい」

実家じまいには、解体費用や家財整理費用などで100万円〜300万円程度かかることがあります。しかし、自治体の補助制度や税制上の優遇措置によって自己負担を軽減できる可能性があります。

結論からお伝えすると、実家じまいでは解体工事や家財整理を対象とした補助金制度があり、補助額は10万円〜150万円程度が目安です。また、売却を伴う場合は「空き家の3,000万円特別控除」などによって税負担を抑えられるケースもあります。

この記事では、11万件以上の解体ユーザーからの相談実績を持つ「あんしん解体業者認定協会」の監修のもと、実家じまいで活用できる支援制度や申請の流れ、費用を抑えるポイントを解説します。

この記事の制作チーム

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中野 達也監修者

一般社団法人あんしん解体業者認定協会 理事

中野 達也(なかの たつや)

解体工事業の技術管理者であり、解体工事施工技士を保有。2011年に解体業者紹介センターを鈴木佑一と共に創設。2013年に一般社団法人あんしん解体業者認定協会を設立し、理事に就任。めざまし8(フジテレビ系列)/ひるおび(TBS系列)/ 情報ライブ ミヤネ屋(日本テレビ系列)/バイキングMORE(フジテレビ系列)など各種メディアに出演。

辰巳 浩晃現場解説

一般社団法人あんしん解体業者認定協会 お客様窓口 マネージャー

辰巳 浩晃(たつみ ひろあき)

解体工事のご相談・現場調査の立会い・見積書説明など、お客様窓口としてお客様の不安解消と工事サポートに注力するマネージャー。「同じ解体でも、ひとつとして同じ現場はない」を信条に、一件一件の個性を大切にしながら、お客様が晴れやかな気持ちで工事当日を迎えられるよう伴走。お持ちの見積書が適正かどうかも、数分のお電話で判断できるよう、第三者目線でのアドバイスを心がけている。この記事では現場のリアルな視点から解説を担当。

稲垣 瑞稀運営責任者

「スッキリ解体」編集長

稲垣 瑞稀(いながき みずき)

解体業界専門のWebメディアでWebディレクターとして6年以上、企画・執筆・編集から500社以上の解体業者取材まで、メディア運営のあらゆる工程を経験。近年は解体の前段にある空き家問題(管理・解体・補助金・税制)にも取材領域を広げている。正しい情報が届かず困っている方を助けたいという想いから、一個人の責任と情熱で「スッキリ解体」を立ち上げ、全記事の編集に責任を持つ。

馬場 美月執筆

「スッキリ解体」専属ライター

馬場 美月(ばば みづき)

「解体工事の準備から完了まで、初めての方でも迷わないよう、一つずつ丁寧に解説します。」

「初心者にもわかりやすく」をモットーに、解体工事の全工程をステップバイステップで解説する記事を得意とするライター。毎週の専門勉強会で得た知識や業者様へのインタビューを元に、手続きの流れや専門用語を図解なども交えながら、読者が迷わずに理解できる記事作りを心がけている。

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目次
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実家じまいで利用できる補助金

自治体が提供する補助金制度は、空き家の適正管理・防災対策・利活用の促進などを目的としています。実家じまいで利用できる代表的な制度は以下の4つです。

実家じまいで利用できる補助金
  1. 老朽危険家屋解体撤去補助金
  2. 景観・防災対策解体補助金
  3. 家財整理・遺品整理補助金
  4. 空き家の利活用・改修補助金

それぞれの補助金制度について、補助額の目安や条件を詳しく解説します。

老朽危険家屋解体撤去補助金

実家じまいに使える補助金制度「老朽危険家屋解体撤去補助金」の紹介画像。対象:倒壊や衛生環境などで周辺へ悪影響を及ぼす恐れがある空き家。補助額の目安:対象経費の1/2~1/3程度(上限50万円~100万円程度)。

老朽危険家屋解体撤去補助金とは、倒壊や建築部材の飛散などによって周辺住民に危険を及ぼす恐れがある空き家の解体費用を、自治体が一部支援する制度です。主な対象となる「特定空家等」とは、倒壊や衛生環境・景観の悪化などにより周辺へ悪影響を及ぼす恐れがある空き家を指します。

補助額の目安

補助率や上限額は自治体ごとに異なりますが、一般的には対象経費の1/2~1/3程度が補助されます。補助上限額は50万円~100万円程度に設定されているケースが多く、老朽化の程度や建物の状況によって補助額が決まります。

主な条件

補助対象となる条件は自治体によって異なりますが、一般的には次のような要件が設けられています。

  • 自治体による事前調査で、倒壊や建築部材の落下などの危険性があると判断されること
  • 解体工事の契約や着工前に申請し、交付決定を受けること
  • 建物の所有者または相続人であり、共有名義の場合は共有者全員の同意を得ていること
  • 1981年5月31日以前の旧耐震基準で建築された建物であること
  • 市区町村税を滞納していないこと

制度例

自治体制度名補助額
東京都墨田区老朽危険家屋除却費等助成制度対象経費の1/2(上限100万円)※1
神奈川県厚木市老朽空き家解体工事補助金対象経費の1/2(上限50万円)※2
愛知県名古屋市老朽危険空家等除却費補助金対象経費の1/3~2/3(上限80万円)※3

※1 無接道敷地の不良住宅は対象経費の2/3(上限200万円)。
※2 工事費100万円以上は50万円、100万円未満は対象経費の1/2。
※3 危険度評価75点以上は対象経費の1/3(上限40万円)、125点以上は対象経費の2/3(上限80万円)。

景観・防災対策解体補助金

実家じまいに使える補助金制度「景観・防災対策解体補助金」の紹介画像。対象:景観を損ねる、または防災上のリスクがある建物・工作物。補助額の目安:対象経費の1/2~1/3程度(上限10万円~150万円程度)。

景観・防災対策解体補助金とは、景観の保全や防災性の向上を目的として、老朽化した建物や危険なブロック塀の撤去費用を自治体が一部支援する制度です。避難経路・通学路・緊急輸送道路沿いの建物などが対象となることが多く、老朽危険家屋に該当しなくても利用できる場合があります。

補助額の目安

補助率や上限額は自治体によって異なりますが、一般的には対象経費の1/2~1/3程度が補助されます。補助上限額は10万円~150万円程度に設定されているケースが多く、建物の用途や立地条件によって補助内容が異なります。

主な条件

補助対象となる条件は自治体によって異なりますが、一般的には次のような要件が設けられています。

  • 景観保全地区や避難路沿いなどの防災重点区域内に建物があること
  • 景観悪化や避難障害など、地域への悪影響が認められること
  • 工事契約・着工前に申請し、交付決定を受けること
  • 所有者または相続人であり、市区町村税を滞納していないこと
  • 解体後も景観維持や防災計画に沿った土地利用を行うこと

制度例

自治体制度名補助額の例
神奈川県小田原市景観形成修景費補助金対象経費の2/3(上限30万円~150万円)※4
宮崎県景観形成活動支援補助金対象経費の1/2~1/3(上限100万円)※5
千葉県木更津市景観形成重点地区支援事業補助金対象経費の1/2(上限10万円~100万円)※6

※4 建築物は対象経費の2/3(上限150万円)、門・塀などの外構は上限30万円。一定条件を満たす場合は上限額の加算があります。
※5 景観計画策定済み市町村は対象経費の1/2以内、未策定市町村は対象経費の1/3以内。
※6 建築物の新築・改修は上限50万円~100万円、門・塀などの外構工事は上限20万円。同一敷地内で複数の工事を行う場合は上限120万円。

家財整理・遺品整理補助金

実家じまいに使える補助金制度「家財整理・遺品整理補助金」の紹介画像。対象:空き家に残された家具・家電・生活用品など。補助額の目安:対象経費の1/2程度(上限10万円~20万円程度)。

家財整理・遺品整理補助金とは、空き家に残された家具・家電・生活用品などの処分費を自治体が一部支援する制度です。実家じまいでは解体工事費だけでなく残置物の処分費も大きな負担となるため、活用できれば費用負担を軽減できます。

補助額の目安

補助率や上限額は自治体によって異なりますが、一般的には対象経費の1/2程度が補助されます。補助上限額は10万円~20万円程度に設定されているケースが多いです。

主な条件

補助対象となる条件は自治体によって異なりますが、一般的には次のような要件が設けられています。

  • 自治体が運営する空き家バンクへの登録や、売却・賃貸などの活用予定があること
  • 家財の搬出・処分前に申請し、交付決定を受けること
  • 所有者または相続人であり、市区町村税を滞納していないこと
  • 一般廃棄物収集運搬業の許可を持つ業者など、自治体が認める専門業者に依頼すること
  • 家財整理後に入居や活用など、一定期間の利用予定があること

制度例

自治体制度名補助額
大阪府豊能町家財道具等処分補助金対象経費の2/3(上限20万円)
埼玉県鳩山町家財処分費用補助対象経費の1/2(上限10万円)
神奈川県相模原市空き家家財処分等補助金対象経費の1/2(上限20万円)※7

※7 家財処分および清掃に要する経費のうち、5万円を超えるものが対象です。

空き家の利活用・改修補助金

実家じまいに使える補助金制度「空き家の利活用・改修補助金」の紹介画像。対象:売却・賃貸・移住促進のために活用予定の空き家。補助額の目安:対象経費の1/2程度~(上限5万円~300万円程度)。

空き家の利活用・改修補助金とは、空き家の売却・賃貸・移住促進などを目的とした改修費用を自治体が一部支援する制度です。解体ではなく活用を選択する場合に利用できるため、実家じまいの選択肢を広げる制度です。

補助額の目安

補助率や上限額は自治体によって異なりますが、一般的には対象経費の1/2~程度が補助されます。補助上限額は5万円~300万円程度に設定されているケースが多く、耐震改修や移住促進事業と組み合わせることで補助額が増える場合もあります。

主な条件

補助対象となる条件は自治体によって異なりますが、一般的には次のような要件が設けられています。

  • 空き家バンク登録物件、または自治体が指定する区域内の物件であること
  • 改修工事の契約・着手前に申請し、交付決定を受けること
  • 取得して居住する個人または所有者であり、市区町村税を滞納していないこと
  • 耐震補強・省エネ化・バリアフリー化など住宅性能向上を目的とした工事であること
  • 改修後の住宅に一定期間居住し、地域活動への協力意思があること

制度例

自治体制度名補助額
東京都八王子市空き家利活用促進整備補助金対象経費の2/3(上限25万円~100万円)※8
千葉県市川市空家活用リフォーム推進事業対象経費の1/2(上限100万円)
大阪府大阪市空家利活用改修補助制度対象経費の1/2~10/11(上限3万円~300万円)※9

※8 補助率・上限額は「全面改修」および「スタートアップ整備」などの区分により異なります。
※9 補助率・限度額などは「住宅再生型」「地域まちづくり活用型」などの制度区分およびインスペクション・耐震診断・耐震改修・改修工事などの事業内容により異なります。

実家じまいで使える補助金の申請手順

ここでは、補助金を受け取るまでの流れを5つのステップに分けて解説します。

実家じまいの補助金申請の流れ。STEP1 自治体へ相談:建物が補助金の対象となるか自治体に確認します。STEP2 交付申請:必要書類を提出して補助金を申請します。STEP3 解体工事:交付決定後に解体工事を実施します。STEP4 実績報告:工事完了後に実績報告書を提出します。STEP5 補助金の受領:補助金を請求し指定口座で受け取ります。※流れは自治体によって異なる場合があります。

ステップ1:自治体へ相談し、補助対象か確認する

まずは自治体の担当窓口へ相談し、解体予定の建物が補助金の対象となるか確認します。

補助金によっては、建物が「老朽危険空家」や「特定空家等」に該当するかどうかの判定が必要です。申請後、自治体による現地調査や書類審査が行われ、補助対象となる建物か判断されます。

主な提出書類の例は以下の通りです。

書類取得方法・入手先
登記事項証明書(土地・建物)法務局で取得
建物の現況写真申請者自身で撮影
所有者を確認できる書類(必要な場合)自宅で保管している固定資産税納税通知書や売買契約書などを提出

※必要書類は自治体によって異なります。

ステップ2:補助金の交付申請を行う

補助対象と認められたら、補助金の交付申請を行います。申請は解体工事の契約や着工前に済ませる必要があります。

主な提出書類の例は以下のとおりです。

書類取得方法・入手先
補助金交付申請書自治体の窓口またはホームページから入手
位置図・配置図住宅地図や建築図面などを利用
解体工事の見積書解体業者から取得
解体業者の許可証・登録証の写し解体業者から取得
登記事項証明書(土地・建物)法務局で取得
住民票市区町村の窓口またはコンビニ交付サービスで取得
納税証明書または非課税証明書市区町村の税務担当窓口で取得
共有者や権利者の同意書(必要な場合)自治体の様式を利用し、関係者が記入
工事着手前の写真申請者自身で撮影

※必要書類は自治体によって異なります。

自治体の審査を経て交付が決定すると、以下のような交付決定通知が発行されます。

神戸市が交付した「補助金交付決定通知書」の例。補助事業の名称に「神戸市老朽空家等解体補助事業」、補助金の額に「500,000円」と記載されています。

ステップ3:業者と契約し、解体工事を行う

交付決定通知を受け取った後に、解体業者と正式契約を結びます。その後、解体工事を開始します。自治体によっては工事着手届の提出が必要な場合もあります。なお、契約書・領収書・工事前後の写真は後の実績報告で必要になるため保管しておきましょう。

解体工事の具体的な流れは以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

ステップ4:実績報告を行う

解体工事が完了したら、自治体へ実績報告を行います。実績報告では、申請内容どおりに工事が完了したことを証明するため、工事に関する書類や写真を提出します。

主な提出書類の例は以下の通りです。

書類取得方法・入手先
工事完了報告書自治体の窓口またはホームページから入手
解体工事の契約書解体業者との契約時に受領
工事費用の領収書解体業者から受領
工事完了後の写真申請者または解体業者が撮影

※必要書類は自治体によって異なります。

ステップ5:補助金を請求し、受け取る

実績報告の内容が確認されると補助金額が確定します。その後、補助金の請求手続きを行い、指定した金融機関口座へ補助金が振り込まれます。多くの補助金制度では解体費用を一度自己負担した後に補助金が支給されるため、あらかじめ資金計画を立てておくことも大切です。

運営者 稲垣

多くの制度は、工事完了後に業者へ支払ったことを確認したうえで補助金が交付される事後精算方式です。自己資金での対応が難しい場合は、金融機関のつなぎ融資なども含めて資金計画を立てておきましょう。

【事例】実家の補助金申請の失敗例

補助金は解体費用の負担を軽減できる一方で、申請手順や条件を誤ると受給できなくなる場合があります。

そこで、『あんしん解体業者認定協会』で解体工事の相談に対応している辰巳マネージャーに、実際にあった補助金申請の失敗例と対策についてお聞きしました。

辰巳 浩晃 現場解説

一般社団法人あんしん解体業者認定協会 お客様窓口 マネージャー

辰巳 浩晃 (たつみ ひろあき)

解体工事のご相談・現場調査の立会い・見積書説明など、お客様窓口としてお客様の不安解消と工事サポートに注力するマネージャー。「同じ解体でも、ひとつとして同じ現場はない」を信条に、一件一件の個性を大切にしながら、お客様が晴れやかな気持ちで工事当日を迎えられるよう伴走。お持ちの見積書が適正かどうかも、数分のお電話で判断できるよう、第三者目線でのアドバイスを心がけている。この記事では現場のリアルな視点から解説を担当。

失敗例1:工事の契約・着工前に申請していなかったケース

工事の契約・着工前に申請していなかったケースの解体現場

Aさんは老朽化した実家の解体で補助金の活用を考えていましたが、「申請は後でも間に合う」と思い、先に業者と契約して工事を開始しました。しかし、その後の申請では「交付決定前の着工は対象外」と判断され不支給に。結果として、想定していた数十万円の補助を受けられず、解体費用を全額自己負担することになりました。

マネージャー 辰巳浩晃

補助金は必ず「交付決定通知」を受けてから契約・着工する必要があります。申請前に工事を始めないよう、スケジュールを業者と共有しておくことが重要です。

失敗例2:予算上限により受付が終了していたケース

予算上限により受付が終了していたケースの解体現場

実家の解体を検討していたBさんは、「工事は数か月先だから補助金申請は後回しでいい」と考えていました。しかし自治体へ問い合わせた時には、その年度の補助金予算はすでに上限に達しており受付終了。対象要件は満たしていたものの申請が遅れたため利用できず、翌年度まで待つことも難しかったため、結果的に補助金なしで解体工事を進めることになりました。

マネージャー 辰巳浩晃

補助金は先着順予算制であることが多く、年度途中でも受付終了になる場合があります。解体を検討した段階で早めに自治体へ確認し、申請時期を前倒しすることが大切です。

失敗例3:税金の滞納があり対象外になったケース

税金の滞納があり対象外になったケースの解体現場

Cさんは申請書類をすべて揃え、補助金申請を順調に進めていました。しかし審査の過程で、過去の固定資産税にわずかな滞納があることが判明。本人も気づかないほどの少額でしたが、「地方税の滞納がないこと」が要件となっていたため補助対象外と判断されました。結果として、他の条件を満たしていたにもかかわらず補助金は受けられませんでした。

マネージャー 辰巳浩晃

申請前に市区町村税の納付状況を必ず確認し、未納があれば早めに清算しておくことが重要です。特に固定資産税は見落とされやすいため注意が必要です。

実家じまいで活用できる税制優遇制度

実家じまいでは、補助金だけでなく税制優遇制度を利用できる場合があります。条件を満たせば税負担を大幅に軽減できるため、売却や解体を検討する際は事前に確認しておきましょう。

空き家の3,000万円特別控除

「空き家の3,000万円特別控除」の仕組みの図解。売却費用の内訳(取得費、諸経費、譲渡所得(売却益))が積層グラフで示されており、そのうちの一番上にある「譲渡所得(売却益)」の部分に対して「最大3,000万円の控除」が適用されることを表しています。

「空き家の3,000万円特別控除」とは、相続した実家を売却して利益が出た場合に、その利益から最大3,000万円まで控除できる制度です。主な適用条件は以下の通りです。

  • 相続または遺贈により取得した空き家であること
  • 被相続人が一人で居住し、他に居住者がいなかったこと
  • 昭和56年5月31日以前に建築された建物であること
  • 相続後から売却まで、居住・賃貸・事業利用がないこと
  • 相続開始から3年を経過する年の12月31日までに売却すること
  • 売却価格が1億円以下であること
  • 耐震基準を満たす建物として売却するか、解体して更地で売却すること
  • 親族など特別な関係者への売却でないこと
  • 確定申告を行い、必要書類を提出すること

特例の対象となる「利益(譲渡所得)」の計算式は以下の通りです。

譲渡所得 = 売却価格 −(取得費+譲渡費用)

取得費には、被相続人が実家を取得した際の購入代金のほか、購入時の仲介手数料や登記費用などが含まれます。また、譲渡費用には売却時の仲介手数料・測量費用・解体費用などが該当します。なお、購入時の資料が残っていない場合は取得費を実額で証明できないため、売却価格の5%を取得費とする「概算取得費」が用いられます。

制度の詳細は、国税庁の公式情報をご確認ください。

相続財産を譲渡した場合の取得費の特例

相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」の比較図。「特例なし」の積層グラフ(下から譲渡費用、取得費、譲渡所得)に対し、「特例あり」のグラフでは「取得費加算」が加わることで、課税対象となる「譲渡所得」の幅が狭くなり、税負担が軽くなる仕組みを対比して示しています。

「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」とは、相続した財産を売却した際に支払った相続税の一部を取得費に加算できる制度です。これにより譲渡所得が減り、結果として税負担が軽減されます。

なお、この特例は同じ譲渡で「空き家の3,000万円特別控除」と併用できないことに注意が必要です。

出典:租税特別措置法

第三十五条 個人の有する資産が、居住用財産を譲渡した場合に該当することとなつた場合には、その年中にその該当することとなつた全部の資産の譲渡に対する第三十一条又は第三十二条の規定の適用については、次に定めるところによる。
3 相続又は遺贈(贈与者の死亡により効力を生ずる贈与を含む。以下第六項までにおいて同じ。)による被相続人居住用家屋及び被相続人居住用家屋の敷地等の取得をした相続人(包括受遺者を含む。以下この項及び次項において同じ。)が、平成二十八年四月一日から令和九年十二月三十一日までの間に、次に掲げる譲渡(当該相続の開始があつた日から同日以後三年を経過する日の属する年の十二月三十一日までの間にしたものに限るものとし、第三十九条の規定の適用を受けるもの及びその譲渡の対価の額が一億円を超えるものを除く。(後略)

引用:租税特別措置法|e-Gov法令検索

主な適用条件は以下の通りです。

  • 相続または遺贈により財産を取得していること
  • その財産に相続税が課税されていること
  • 相続開始の翌日から「相続税申告期限の翌日以後3年以内」に売却していること

制度の詳細は、国税庁の公式情報をご確認ください。

実家じまいにかかる費用

実家じまいにかかる費用は売却の有無によって変わります。一般的な木造住宅(30〜50坪程度)の場合、解体・片付け・最低限の手続きのみであれば、総額は100万円〜300万円程度が目安です。一方で、不動産を売却する場合は仲介手数料や測量費用などが加わるため、追加で100万〜300万円程度の費用が発生する場合があります。

家の解体費用

一般的な家(約30~50坪)の解体費用相場

一般的な広さ(30坪~50坪程度)の住宅では、解体費用総額は約90万円〜420万円が目安です。建物の構造別に見ると、木造で90万円〜250万円、軽量鉄骨造で160万円〜280万円、鉄骨造で220万円〜380万円、RC造で270万円〜420万円です。

ただし、建物の立地条件や付帯工事の有無によって費用は大きく変動します。例えば重機が入りにくい狭小地や住宅密集地では作業効率が下がるため、人件費が増加する傾向があります。また、ブロック塀・庭木・物置・カーポートといった付帯物の撤去が必要な場合は追加費用が発生します。

家の解体費用の内訳については、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

相続登記や売却等の各種手続き費用

実家を相続・売却する際に発生する主な手続き費用の目安は以下の通りです。

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手続き費用の目安主な内容
相続登記5万円〜15万円程度登録免許税、戸籍謄本・住民票などの取得費用、司法書士報酬
建物滅失登記4万円〜5万円程度建物解体後に行う登記手続き。土地家屋調査士へ依頼した場合の費用
不動産仲介手数料(売却する場合)売買価格×3%+6万円+消費税(上限)不動産会社へ支払う成功報酬
印紙税(売却する場合)数千円〜1万円程度不動産売買契約書に貼付する収入印紙代
確定測量費用(必要な場合)35万円〜80万円程度土地の境界を確定するための測量費用

※上記の金額は、国税庁や法務局などの公的機関および各専門機関の公開情報をもとに、スッキリ解体が独自に調査・算出した目安です。
※費用は物件の状況や依頼先によって異なります。

特に相続登記や建物滅失登記を専門家へ依頼する場合は、合計10万円〜20万円程度の費用がかかることが一般的です。実家じまいの資金計画を立てる際は、解体費用だけでなくこうした手続き費用も考慮しておきましょう。

【参考情報】

実家じまいの費用を抑える方法

方法1:複数業者から相見積もりをとる

実家の解体費用を抑えるには、複数業者から相見積もりを取るのが効果的です。

解体費用は業者によって数十万円単位の差が出ることがあります。これは、重機や人員の配置・廃材の処分ルート・付帯工事の範囲などが異なるためです。そのため1社だけで決めず、最低でも2〜3社から相見積もりを取り、総額だけでなく工事内容や追加費用の有無まで比較しましょう。

以下の記事では、実家の建て替えに伴う解体工事で、相見積もりによって42万円の費用削減に成功した事例をご紹介しています。あわせてご覧ください。

方法2: 解体工事を閑散期に依頼する

実家の解体を急いでいない場合は、工事の依頼時期を調整することで費用を抑えられる可能性があります。

解体工事は年度末や引っ越しシーズンなどの繁忙期(12月~3月)に依頼が集中しやすく、見積もり価格が高くなる傾向があります。一方、閑散期(4月~9月)は業者のスケジュールに余裕があり、価格交渉や柔軟な対応が期待できる場合があります。

解体業界の繁忙期・閑散期カレンダー

ただし空き家を長期間所有すると、固定資産税や草刈りなどの維持管理費がかかり続けます。また、老朽化による倒壊や近隣トラブルのリスクも高まります。そのため、維持費や管理負担も考慮したうえで依頼時期を判断しましょう。

方法3: 遺品買取を活用する

実家じまいでは、家具・家電・食器などの遺品を解体前に片付ける必要があります。これらを解体業者に処分してもらうことも可能ですが、残置物の処分費が高くなる原因になります。

そこで活用したいのが遺品買取です。状態の良い家具・家電・骨董品・ブランド品などは買い取ってもらえる場合があり、事前に荷物を減らしておくことで処分費の削減につながります。また、売却代金を解体費用の一部に充てられる可能性もあります。

不用品買取業者に依頼した際の事例写真1
遺品買取では、専門スタッフが自宅を訪問して家財道具を査定するため、自分では価値が分からない品物でも思わぬ値段が付くことがあります。

なお、残置物全般を自分で処分する方法については、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

【FAQ】 実家じまいの補助金に関するよくある質問

補助金の併用はできますか?

一般的に、同じ工事内容に対する補助金の重複受給は認められていませんが、対象となる工事や目的が異なれば併用できる場合があります。

例えば「建物の解体」は市の補助金、「ブロック塀の撤去」は別の助成金というように、対象が明確に分かれていれば併用が認められるケースがあります。ただし制度によって扱いが異なるため、事前に補助金要綱を確認しましょう。

親の名義のままでも補助金の申請はできますか?

親名義の空き家であっても、相続人であれば解体補助金を利用できる場合があります。ただし戸籍謄本など相続関係を証明する書類の提出が必要です。

自治体によっては相続登記や他の相続人の同意を求められることもあるため、申請条件や必要書類は補助金要綱を確認し、不明な点は担当窓口へ相談しましょう。

まとめ

実家じまいを円滑に進め、余計な費用負担を避けるには早い段階での準備が重要です。特に補助金の活用可否と解体業者の選び方によって、最終的な負担額や手続きの進み方が大きく変わります。

まずは、自治体のホームページや窓口で実家が解体補助金の対象になるかを確認しましょう。制度の名称や条件は自治体ごとに異なるため、住所・築年数・空き家期間などの情報をもとに個別に確認するのが確実です。

そのうえで、補助金申請に対応できる解体業者を含めて2〜3社から相見積もりを取り、費用だけでなく申請サポートの有無や着工時期の調整可否も確認しておくと手続きがスムーズです。

なお、解体費用の負担や資金計画に不安がある場合は、以下の記事をあわせてご覧ください。

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この記事を書いた人

「解体工事の準備から完了まで、初めての方でも迷わないよう、一つずつ丁寧に解説します。」

「初心者にもわかりやすく」をモットーに、解体工事の全工程をステップバイステップで解説する記事を得意とするライター。毎週の専門勉強会で得た知識や業者様へのインタビューを元に、手続きの流れや専門用語を図解なども交えながら、読者が迷わずに理解できる記事作りを心がけている。

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