この記事の案内人・編集長
稲垣 瑞稀
- 解体で出た木材を再利用できるケースと、再利用しやすい木材の特徴がわかる
- 柱や欄間などの再利用した事例と、再利用できなかったケースがわかる
- 木材を再利用する流れや、解体前に準備しておくべきことが把握できる
- 木材の活用方法や、状況に応じた相談先がわかる
家の解体を検討する際に、「長年住んだ家の柱や梁(はり)を残したい」「家の思い出を何らかの形で残したい」と考える方も多いでしょう。
解体工事で発生した木材は、状態が良ければ新築住宅の内装材や家具、DIY材などとして再利用できます。ただし、再利用できる木材には条件があり、事前の準備や相談先の選び方も重要です。
この記事では、再利用しやすい木材の特徴や具体的な活用方法、再利用する際の流れ、費用や注意点までわかりやすく解説します。
監修者
現場解説一般社団法人あんしん解体業者認定協会 お客様窓口 マネージャー
辰巳 浩晃(たつみ ひろあき)
解体工事のご相談・現場調査の立会い・見積書説明など、お客様窓口としてお客様の不安解消と工事サポートに注力するマネージャー。「同じ解体でも、ひとつとして同じ現場はない」を信条に、一件一件の個性を大切にしながら、お客様が晴れやかな気持ちで工事当日を迎えられるよう伴走。お持ちの見積書が適正かどうかも、数分のお電話で判断できるよう、第三者目線でのアドバイスを心がけている。この記事では現場のリアルな視点から解説を担当。
運営責任者「スッキリ解体」編集長
稲垣 瑞稀(いながき みずき)
解体業界専門のWebメディアでWebディレクターとして6年以上、企画・執筆・編集から500社以上の解体業者取材まで、メディア運営のあらゆる工程を経験。近年は解体の前段にある空き家問題(管理・解体・補助金・税制)にも取材領域を広げている。正しい情報が届かず困っている方を助けたいという想いから、一個人の責任と情熱で「スッキリ解体」を立ち上げ、全記事の編集に責任を持つ。
執筆「スッキリ解体」専属ライター
酒巻 久未子(さかまき くみこ)
「解体工事でお悩みの方に、同じ主婦の立場から実用的な情報をお届けします。」
数多くのお客様や業者様へのインタビューを通じて、お客様が抱えるリアルな悩みに精通。実際の解体工事現場での取材を重ね、特に「お金」や「近隣トラブル」といった、誰もが不安に思うテーマについて、心に寄り添う記事を執筆。子育て中の母親ならではの、きめ細やかな視点も大切にしている。
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家の解体で出た木材は再利用できる

家の解体で発生した木材は再利用できます。
解体工事では、柱や梁などを分別回収し、再利用や再資源化を進める流れが一般的です。
なお、延べ床面積80㎡以上ある建物の解体では、建設リサイクル法により分別解体と木材などの再資源化が義務付けられています。
出典:建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律
(分別解体等実施義務)
第九条 特定建設資材を用いた建築物等に係る解体工事又はその施工に特定建設資材を使用する新築工事等であって、その規模が第三項又は第四項の建設工事の規模に関する基準以上のもの(以下「対象建設工事」という。)の受注者(当該対象建設工事の全部又は一部について下請契約が締結されている場合における各下請負人を含む。以下「対象建設工事受注者」という。)又はこれを請負契約によらないで自ら施工する者(以下単に「自主施工者」という。)は、正当な理由がある場合を除き、分別解体等をしなければならない。
また近年では、解体で取り出した梁や柱などを「古材」として再利用する取り組みも広がっています。
環境省も「古材リユースのすすめ」を公開し、古民家などで使われていた木材を新築住宅や家具、DIY材料として活用する事例を紹介しています。

特に古民家や昔ながらの木造住宅では、太い無垢材が使われている場合も多く、再利用によって家の歴史や思い出を新しい形で残せます。
そのため、工事で発生した木材はそのまま廃棄されるわけではありません。
施主が再利用するケースもあれば、解体業者が再資源化するケースもあります。
| 再利用する人 | 主な再利用方法 |
|---|---|
| 施主 | 柱や梁、建具などを新築住宅や家具へ再利用 |
| 解体業者 | 木材チップへ加工し、建材やバイオマス燃料として再資源化 |
再利用しやすい資材の特徴

再利用されやすいのは、天然の木材である無垢材を使用した梁や柱など、強度や状態を保っている木製資材です。
特に、ケヤキ・ヒノキ・スギなどの木材は耐久性が高く、古材として再活用されるケースもあります。
また、傷みが少ない建具や欄間(らんま)などは、リフォームや店舗内装で再利用される場合があります。
【実例】欄間や柱などを取り外したケース
ここからは『あんしん解体業者認定協会』で11万件以上の相談対応実績を持つ辰巳マネージャーが、実際に解体した建物の一部を残したケースを紹介します。
現場解説
一般社団法人あんしん解体業者認定協会 お客様窓口 マネージャー
辰巳 浩晃 (たつみ ひろあき)
解体工事のご相談・現場調査の立会い・見積書説明など、お客様窓口としてお客様の不安解消と工事サポートに注力するマネージャー。「同じ解体でも、ひとつとして同じ現場はない」を信条に、一件一件の個性を大切にしながら、お客様が晴れやかな気持ちで工事当日を迎えられるよう伴走。お持ちの見積書が適正かどうかも、数分のお電話で判断できるよう、第三者目線でのアドバイスを心がけている。この記事では現場のリアルな視点から解説を担当。
マネージャー 辰巳浩晃施主様から、「思い出のある建物の一部を新築でも活用したい」とご相談をいただくことは多々あります。

マネージャー 辰巳浩晃こちらの現場では、施主様のご希望により、傷みの少ない柱や欄間などを丁寧に取り外し、再利用できるよう保管しました。
柱や欄間は、状態が良好であれば新築住宅の内装材や化粧材として活用できます。長年住み慣れた家の面影を、新しい住まいへ受け継ぐ方法の一つです。


現場の安全を考慮しながら、木材の取り外しを丁寧に行います。施主様と業者で欄間と柱を取り外した様子を、記念に写真を撮りました。
長年家を支えてきた資材を一緒に残すことで、建物への思い出を振り返る時間となりました。
木材を再利用する理由
家の思い出を残したい
木材の再利用では、「家の思い出を残したい」などの理由で選ぶ方は多いです。
長年暮らした家の柱や梁には、家族の思い出や歴史が残っています。新居へ再利用すれば、以前の家の面影を新しい生活へ引き継げます。
そのため、「全部を残す」のではなく、
- 大黒柱だけ残す
- テーブルへ加工する
- 一部を記念材として使う
など、費用とのバランスを見ながら再利用するケースも増えています。
新材の購入費を減らせる
再利用によって、新しい木材の購入費を抑えられる場合もあります。
例えば、太い無垢材や大黒柱を新規購入すると、高額になりやすいです。既存の木材を再利用すれば、材料費を削減できます。
特に、以下のような用途では費用を抑えやすくなります。
- 化粧梁
- カウンター材
- ダイニングテーブル
- 店舗内装材
ただし、加工費や保管費も発生するため、「再利用費用」と「新材購入費」を比較しながら判断してください。
【実例】大黒柱を残したのに再利用できなかったケース
マネージャー 辰巳浩晃以前お話を伺った方で、実家の解体で出た大黒柱を新居で再利用するため、解体業者に取り外しを依頼したケースがありました。
マネージャー 辰巳浩晃柱は手作業にて無事に取り出せました。しかし、新築工事の打ち合わせで工務店に確認してもらったところ、内部にシロアリ被害が見つかり再利用を断念する結果となりました。
見た目に問題がなくても、内部の劣化によって使用できない場合があるため、劣化状態を注意して確認する必要があります。
再利用が難しい木材
再利用が難しい木材は、強度低下や加工性の問題があるため建材や家具として使用しにくい状態です。
| 再利用が難しい木材 | 理由 |
|---|---|
| 合板・集成材 | 接着剤が多く、劣化しやすい |
| 腐食した木材 | 強度が低下している |
| シロアリ被害がある木材 | 安全性を確保しにくい |
| 釘やビスが大量に残る木材 | 加工時の危険性や手間が大きい |
木材を再利用する際の流れ
ここでは、解体した木材の再利用をする流れについて解説します。
1.解体前に残したい木材を決める
木材を再利用する場合は、解体前に「どの木材を残すか」を決めておきましょう。
工事が始まってからでは、重機作業によって木材が破損し、再利用できなくなる場合があります。梁や大黒柱、建具、欄間などを残したい場合は、現地調査や見積もりの段階で解体業者へ伝えてください。
特に再利用されやすい部材は以下の通りです。
- 梁
- 大黒柱
- 床板
- 建具
- 欄間
- 古材
現地調査では建物の状態を確認しながら、取り外しが可能か、再利用できる状態か、追加費用が発生するかをチェックしましょう。
2.分別解体や手壊しで取り外す

再利用する木材は、手壊しや分別解体で慎重に取り外します。
通常の解体では、重機で建物を壊しながら分別します。一方、再利用する木材がある場合は、周囲を手作業で解体しながら取り外す必要があります。
特に梁や建具は、無理に外すと割れや傷が発生しやすいため、作業員が釘や金物を確認しながら慎重に撤去します。取り外した木材は、雨や泥で傷まないよう養生しながら保管・搬出します。
3.保管・乾燥・加工を行って再利用する
解体工事で取り外した木材は、新築住宅の建材や家具などへ再利用できます。
再利用を予定している場合は、解体業者だけでなく、新築工事を担当する工務店にも事前に相談しておきましょう。木材の種類や状態によっては再利用できない場合もあります。
【事例】「木材残し」が含まれた見積書

施主様のご希望で、新築に活用する木材を再利用する予定の見積書です。「角材、使用できる木材残し」と記載されています。
なお、木材を残すための費用は個別に計上されていないため、解体工事費や収集運搬費に含まれている可能性があります。見積書の記載方法は業者によって異なります。
再利用したい木材がある場合は、契約前の見積もり段階で「どの木材を残すのか」を具体的に伝えるのが大切です。
再利用する部材が増えるほど、工程や人件費も増加します。
木材の再利用方法
ここからは、実際に多い木材の再利用例を紹介します。
梁や大黒柱を新築住宅の化粧梁へ再利用する

太い梁や大黒柱は、新築住宅の化粧梁や構造材として再利用できます。
長年使われた無垢材は、深い色合いや木目が特徴です。新しい木材には出せない風合いがあり、リビングや吹き抜け空間のアクセントとして人気があります。
再利用を希望する場合は、設計段階から建築業者へ相談してください。解体時に重機で壊すと再利用できなくなるため、手作業による慎重な取り外しが必要です。
柱や床板をテーブル・カウンターへ加工する

柱や床板は、ダイニングテーブルやキッチンカウンターへ加工できます。
古材特有の傷や色味は、新品にはない味わいがあります。製材業者や家具メーカーで表面を削り直し、再塗装すれば日常使いしやすい家具として再利用できます。
特に家族が集まるテーブルへ加工すると、以前の家の記憶を身近に感じやすくなります。
欄間や古材をリフォーム・店舗内装へ活用する

古い扉や欄間、障子などは、リフォームや店舗内装でも活用されています。
昔ながらの建具やレトロガラスは、デザイン性を重視する住宅やカフェで人気があります。壁面パネルや室内ドアとして再利用すれば、温かみのある空間へ仕上がります。
なお、既存サイズのまま使えない場合も多いため、取り付け前に加工や補修が必要です。
ガーデニング材・DIY材・薪として使う

端材や小さな木材は、DIY材や薪、ガーデニング資材として使えます。
棚やベンチの製作、花壇の縁取りなど、身近な用途へ活用しやすい点が特徴です。
ただし、塗装や防腐剤が付着した木材を薪として燃やすと、有害物質が発生する恐れがあります。薪へ再利用する場合は、薬剤処理されていない無垢材を選別してください。
【FAQ】家 解体 木材 再利用に関するよくある質問
再利用できないと判断された木材はどうなりますか?
再利用できない木材も、多くはリサイクルされるため、そのまま廃棄されるケースはほとんどありません。
解体で発生した木材の多くは木材チップへ加工され、建材や紙の原料、バイオマス発電の燃料として再利用されます。
ただし、腐食が著しい木材や有害物質を含む木材は、法令に基づいて適切に処分されます。
出典:廃棄物の処理及び清掃に関する法律
(事業者の処理)
第十二条 事業者は、自らその産業廃棄物(特別管理産業廃棄物を除く。第五項から第七項までを除き、以下この条において同じ。)の運搬又は処分を行う場合には、政令で定める産業廃棄物の収集、運搬及び処分に関する基準(当該基準において海洋を投入処分の場所とすることができる産業廃棄物を定めた場合における当該産業廃棄物にあつては、その投入の場所及び方法が海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律に基づき定められた場合におけるその投入の場所及び方法に関する基準を除く。以下「産業廃棄物処理基準」という。)に従わなければならない。
梁や柱1本だけなど、少しだけの再利用も可能ですか?
はい、可能です。
実家の大黒柱や梁を、新居の化粧柱や家具の材料として再利用するケースは少なくありません。柱や梁を1本だけ残したい場合でも対応できます。
希望する木材がある場合は、解体工事の見積もり時に解体業者へ伝えておきましょう。また、新築やリフォームで活用する予定がある場合は、事前に工務店や大工へ相談しておくとスムーズです。
木材をDIYで再利用できますか?注意点を教えてください。
はい、DIYでの再利用も可能です。ただし、安全面や加工の手間についていくつか重要な注意点があります。
ご自身で棚やベンチなどを作るために古材を残す方が多いですが、以下の3つのポイントに気を付けてください。
1. 隠れた「釘」や「金物」に注意する
解体した木材には、古い釘やビス、タッカー(ホッチキスのような芯)が残っていることがよくあります。気づかずに電動ノコギリなどで切ると、刃が欠けて飛んできたり、工具が壊れたりして大変危険です。使う前に入念な確認と釘抜き作業が必要です。
2. 汚れや「見えない劣化」をチェックする
長年使われた木材は、ホコリや長年の汚れが付着しています。また、表面はきれいに見えても内部が腐っていたり、シロアリの被害に遭っていたりする場合もあります。表面を削る(ヤスリがけ・カンナがけ)などの丁寧な下処理が欠かせません。
3. 解体業者には「早めに・具体的に」お願いする
DIY用であっても、重機で壊してしまってからでは遅いです。「DIYで使いたいので、縁側の床板とあの柱を残してほしい」と、必ず見積もりの段階で解体業者に伝えて手作業で外してもらってください。
柱や梁などの「構造材」は非常に硬く重いため、DIY初心者の方には加工が難しい場合があります。
まずは、床板(フローリング)や建具(古いドアや窓枠)、ちょっとした飾り棚の板など、比較的小さくて扱いやすい箇所から挑戦することをおすすめします。
古材の買取相場はいくらですか?
目安として、状態の良い梁や大黒柱は1本あたり数千円〜数万円、古民家1棟分では数十万円で買い取られるケースもあります。
古材の買取価格は、木材の種類や状態によって大きく異なります。
ただし、古材を傷つけずに取り外すには手作業が必要なため、買取金額より解体費用の増加額が上回る場合もあります。古材の買取は利益を得るというより、解体費用の一部を補えるものと考えるとよいでしょう。
買取条件や対象となる木材は業者によって異なるため、詳しくは以下の専門業者のサイトを参考に、直接査定を依頼してみてください。
まとめ:まずは木材を再利用する相談先を決めよう
家の解体で発生した木材は、状態が良ければ新築住宅の化粧梁や内装材、家具、DIY材などとして再利用できます。ただし、再利用を希望する場合は、解体工事が始まる前に解体業者へ相談し、残したい木材を伝えるのが大切です。
木材の再利用を検討していても、「まず誰に相談すればいいのかわからない」という方も多いでしょう。
状況によって適した相談先は異なります。以下を参考に、ご自身に合った相談先を確認してみてください。
- 建て替えが決まっている場合
新築を依頼する設計士や工務店へ相談しましょう。再利用したい木材があると伝えれば、解体工事から新築工事までの調整を進めやすくなります。 - 価値のある古民家の場合
古民家鑑定士や古民家再生を手がける工務店へ相談しましょう。木材の状態や活用方法について専門的な視点で確認できます。 - まだ何も決まっていない場合
木材の再利用実績がある解体業者へ相談しましょう。再利用を検討していることを伝え、工務店や設計士との連携が必要かどうかも含めて相談できます。
