この記事の案内人・編集長
稲垣 瑞稀
- 間仕切り壁の撤去費用と、仕上げ工事の費用それぞれの内訳がわかる
- 電気配線・断熱材・作業環境など、費用が高くなる具体的な要因がわかる
- 撤去後に必要な仕上げ工事の内容と、費用が変動するポイントがわかる
- 耐力壁の見分け方や、撤去前に確認すべき重要ポイントがわかる
- DIYで撤去するリスクや、業者に依頼すべき理由がわかる
「間仕切り壁の撤去費用って、壁を壊した後の床や壁紙の補修もあるし、結局全部でいくらなの?」と疑問に思ったことはありませんか?
間仕切り壁の撤去費用は約6万〜15万円、仕上げ工事の費用は約10万〜20万円で、合計約16万〜35万円が目安です。
ただし、壁内の電気配線や断熱材の有無、現場の環境によって費用が変動する場合があります。また、壁の種類によっては撤去できないケースもあります。
この記事では、間仕切り壁の種類や費用の内訳、撤去できない壁の見分け方や注意点、撤去前に確認すべきポイントまでわかりやすく解説します。
監修者
現場解説一般社団法人あんしん解体業者認定協会 理事・解体アドバイザー
初田 秀一(はつだ しゅういち)
解体アドバイザー歴15年、相談実績は11万件以上。お客様の不安を笑顔に変える現場のプロフェッショナル。「どんな些細なことでも構いません」をモットーに、一期一会の精神でお客様一人ひとりと向き合い、契約から工事完了まで心から安心できる業者選定をサポート。この記事では現場のリアルな視点から解説を担当。
運営責任者「スッキリ解体」編集長
稲垣 瑞稀(いながき みずき)
解体業界専門のWebメディアでWebディレクターとして6年以上、企画・執筆・編集から500社以上の解体業者取材まで、メディア運営のあらゆる工程を経験。正しい情報が届かず困っている方を助けたいという想いから、一個人の責任と情熱で「スッキリ解体」を立ち上げ、全記事の編集に責任を持つ。
執筆「スッキリ解体」専属ライター
酒巻 久未子(さかまき くみこ)
「解体工事でお悩みの方に、同じ主婦の立場から実用的な情報をお届けします。」
数多くのお客様や業者様へのインタビューを通じて、お客様が抱えるリアルな悩みに精通。実際の解体工事現場での取材を重ね、特に「お金」や「近隣トラブル」といった、誰もが不安に思うテーマについて、心に寄り添う記事を執筆。子育て中の母親ならではの、きめ細やかな視点も大切にしている。
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間仕切り壁とは

間仕切り壁とは、建物の内部を部屋ごとに区切るために設置された荷重を支えない壁のことです。
建築用語では「非耐力壁(ひたいりょくへき)」や「雑壁(ざつかべ)」とも呼ばれます。
リフォームで自由に撤去できるのは、基本的に非耐力壁のみです。
間仕切り壁の種類
間仕切り壁は、構造や機能によって主に以下の5つに分類されます。
1. 木造壁

戸建て住宅では木材を骨組みに使用するのが一般的です。
石膏ボードを貼り、その上からクロス(壁紙)で仕上げる構造が多く見られます。壁の内部には電気配線やコンセント、スイッチが設置されている場合も多く、撤去の際には電気工事が必要になる可能性があります。
また、柱や構造材と組み合わさっているケースもあるため、周囲を傷めないよう慎重に解体する必要があり、状況によっては作業の工程が増える可能性があります。
2. 軽天(LGS)壁

マンションやオフィスでは軽天(軽量鉄骨)を骨組みに使用するケースが一般的です。
基本的な仕上げは木造と同様に石膏ボード+クロスですが、部材が規格化されているため解体作業は比較的スムーズに進みます。
ただし、撤去後に発生する軽量鉄骨は金属屑として分別・処理する必要があるため、その分の処分費用がかかる点に注意が必要です。
3. 可動式間仕切り(パーテーション)

ライフスタイルの変化に合わせて空間を柔軟に仕切れるタイプです。
天井や床に設置したレールに沿ってパネルをスライドさせるものや、アコーディオンカーテンのように開閉する形式などがあります。
将来的に部屋を一体化させる予定がある子供部屋などで採用されるケースが多いのが特徴です。
このタイプは、固定された壁とは異なり、撤去作業の内容も比較的シンプルです。主にレールの取り外しや、床・天井に残るネジ穴の補修が中心となるため、一般的な壁の解体に比べて費用を抑えられる傾向があります。
4. 高機能間仕切り(防音・断熱)

防音や断熱といった機能を持たせた間仕切り壁で、用途に応じた性能が付加されています。
防音タイプでは壁内部に遮音シートや吸音材が充填されており、音漏れを抑える構造になっています。
また、断熱性能を高めた壁にはグラスウールなどの断熱材が入っている場合があり、部屋ごとの温度差を軽減する役割があります。
5. 家具仕切り

収納棚などの家具を固定して、壁の代わりに空間を区切る方法です。
完全に固定されている場合は解体作業が必要になりますが、置き型や可動式の家具であれば比較的簡単に移動や撤去が可能です。
間仕切り壁の撤去費用
間仕切り壁の撤去費用は、約6万円〜15万円が平均相場です。
撤去費用は、主に「人件費」「廃棄物処理費」「諸経費」の3つで構成されます。
| 項目 | 費用相場 | 算出の根拠・内容 |
|---|---|---|
| 作業員の人件費 | 3万円〜7万円 | 1面(約6〜10m2)の場合。軽天(LGS)か木造かにより作業の工程が変動します。 |
| 廃棄物処理費 | 2万円〜5万円 | 石膏ボード、木材、断熱材などの処分費用。容積と重量で計算されます。 |
| 養生・諸経費 | 1万円〜3万円 | 搬入経路の保護、車両駐車代、現場管理費。マンションの場合は養生範囲が広がります。 |
| 合計(解体のみ) | 6万円〜15万円 | ※仕上げ工事(壁・床・天井の補修)は別途必要です。 |
撤去費用が高くなる要因
間仕切り壁の撤去費用が相場よりも高くなるのは、次の要因があります。
電気配線とコンセントの移設
壁の内部に電気配線が通っており、スイッチやコンセントが設置されている場合は、解体作業とは別に電気工事が必要になります。
この作業は「第二種電気工事士」以上の資格を持つ作業員でなければ行えないため、人件費が加算されます。
具体的には、配線の絶縁処理や別の壁への移設工事が発生し、費用は1箇所あたり約1万円〜3万円が目安です。
壁の中に断熱材や防音材がある場合
壁の内部に断熱材や防音材が使用されている場合も、費用が上がる要因になります。
壁に厚みを持たせて防音性を高めているケースや、温度管理のためグラスウールが充填されているケースがあります。これらの材料は石膏ボードと分別して処分する必要があるため、作業の手間と処分費が増え、追加費用として1万円〜2万円程度かかるのが一般的です。
現場の作業環境
作業のしやすさといった現場環境も、費用に大きく影響します。
たとえばエレベーターのないマンションで3階以上から搬出する場合や、トラックを建物の近くに停められない場合には、手運びによる追加費用(運搬費)が発生します。
また、子供部屋のリフォームなどで家具が置かれたままの状態だと、養生や家具の移動に手間がかかるため、空室で作業する場合と比べて費用が高くなる傾向があります。
間仕切り壁の撤去を含む解体事例
【事例1】神奈川県川崎市の間仕切り・パーテーションの撤去事例

見積書の書き起こしを表示する
| 品名 | 数量 | 単位 | 単価 | 金額 |
|---|---|---|---|---|
| 道路使用申請費 | 1 | 回 | 15,000 | |
| 養生費 | 1 | 式 | 5,000 | |
| 間仕切撤去 | 72 | m2 | 1,500 | 108,000 |
| パーテーション撤去(机・椅子共) | 35 | 箇所 | 2,000 | 70,000 |
| 鏡撤去 | 1 | 式 | 20,000 | |
| 壁クロス張替(量産品) | 330 | m2 | 1,300 | 429,000 |
| ソフト巾木張替(H=60) | 122.5 | m | 500 | 61,250 |
| 天井補修 | 1 | 式 | 20,000 | |
| 残置物撤去処分(机・椅子・受付カウンター等) | 0.5 | 台 | 100,000 | 50,000 |
| 発生材小運搬費 | 1 | 式 | 30,000 | |
| 発生材運搬費 | 1 | 式 | 100,000 | |
| 発生材処分費 | 1 | 式 | 150,000 | |
| 諸経費 | 1 | 式 | 130,000 | |
| 計 | 1,188,250 | |||
| 調整値引き | -8,250 | |||
| 合計(税別) | 1,180,000 | |||
自習室の原状回復工事では、間仕切り撤去が72m2で108,000円、パーテーション撤去が35箇所で70,000円でした。
自習室のような用途では席数に応じて間仕切りやパーテーションが多く設置されているため、住宅と比べて撤去数が多くなりやすく、運搬費と処分費が高くなる点が特徴です。
【事例2】東京都杉並区の間仕切り壁の撤去事例
見積書の書き起こしを表示する
| 品名 | 数量 | 単位 | 単価 | 金額 |
|---|---|---|---|---|
| 床タイルカーペット撤去 | 338.5 | m2 | 600 | 203,100 |
| 間仕切壁解体(PB+LGS両面) | 374.0 | m2 | 900 | 336,600 |
| 建具、扉枠共 | 31.0 | ヶ所 | 2,000 | 62,000 |
| 天井解体(下地共) | 338.5 | m2 | 1,200 | 406,200 |
| 電気配線(2次側)撤去 | 338.5 | m2 | 500 | 169,250 |
| ポスト撤去処分 | 1.0 | 式 | 3,000 | 3,000 |
| ルームエアコン撤去処分 | 1.0 | 台 | 5,000 | 5,000 |
| 発生材積込費(階段荷揚げ) | 39.0 | m3 | 11,000 | 429,000 |
| 発生材運搬費(4tD・3tD) | 39.0 | m3 | 4,000 | 156,000 |
| 発生材処分費(タイルカーペット) | 6.0 | m3 | 23,000 | 138,000 |
| 発生材処分費(廃石膏ボード) | 19.0 | m3 | 21,000 | 399,000 |
| 発生材処分費(建具・混合) | 6.0 | m3 | 15,000 | 90,000 |
| 発生材処分費(金属屑) | 8.0 | m3 | 1,000 | 8,000 |
| 諸経費 | 240,515 | |||
| 調整値引き | -665 | |||
| 消費税 | 264,500 | |||
| 合計 | 2,645,000 | |||
レンタルオフィスの内装解体工事では、間仕切り壁の解体(PB+LGS両面)が374m2で336,600円でした。
PB+LGS両面は石膏ボードを軽量鉄骨下地の両側に張った構造で、遮音性や区画性を確保する一方、解体時はボードと金属下地を分別しながら撤去する必要があり、手間と廃材量が増える点が特徴です。
見積書を見ても廃石膏ボードの処分量が多く、さらに階段による搬出で積込費が高く、搬出条件と廃材種別がコストを押し上げているといえます。
【事例3】東京都板橋区のパーテーションの撤去事例

見積書の書き起こしを表示する
| 品名 | 数量 | 単位 | 単価 | 金額 |
|---|---|---|---|---|
| 家電(冷蔵庫、電子レンジ、トースター、IH) | 1 | 式 | 35,000 | 35,000 |
| デスク | 1 | 式 | 20,000 | 20,000 |
| プラスチックチェア | 1 | 式 | 35,000 | 35,000 |
| パーテーション | 1 | 式 | 10,000 | 10,000 |
| スチールロッカー | 1 | 式 | 15,000 | 15,000 |
| 金庫 | 1 | 式 | 40,000 | 40,000 |
| 運搬費 | 1 | 式 | 30,000 | 30,000 |
| 調整値引き | -3,182 | |||
| 消費税 | 18,182 | |||
| 合計 | 200,000 | |||
残置物の撤去では、パーテーションが一式で10,000円でした。
パーテーションは軽量で分解もしやすいため、家電やデスクなど他の残置物に比べて費用が抑えられやすい傾向があります。
壁撤去後の「仕上げ工事」費用の内訳
間仕切り壁を撤去した後、床・壁・天井には下地が露出した跡が残るため仕上げ工事が必要です。
仕上げ工事の費用は、10万円〜20万円程度が目安です。
| 工事項目 | 内容 | 費用目安 | 費用が高くなる要因 |
|---|---|---|---|
| 壁・天井の補修 | 下地処理(パテ)+クロス貼り替え | 3万円〜8万円 | ・壁の厚みが大きい ・クロスのグレードが高い ・部分補修ではなく全面貼り替え |
| 床の補修 | 見切り材/部分貼替/全面貼替 | 5万円〜15万円 | ・全面貼り替えを選択 ・床暖房あり ・無垢材など高級素材 |
| 電気配線の処理 | 配線移設・コンセント処理 | 1万円〜3万円 | ・コンセントの増設 ・配線ルートが複雑 |
| 断熱・防音処理 | 断熱材・防音材の補修 | 2万円〜5万円 | ・壁を一部残す構造 ・防音・断熱性能を維持する必要がある場合 |
ここでは、仕上げ工事の主な内容と費用が変動するポイントを解説します。
1. 壁・天井の補修
壁を撤去すると、天井や隣接する壁の石膏ボードが途切れた状態になるため、隙間を埋めて平らに整える作業が必要です。
費用の目安は3万円〜8万円程度で、既存壁の厚さや使用するクロスのグレードによって金額が変動します。
- 下地処理(パテ埋め)
軽天や木枠を撤去した跡に石膏ボードを継ぎ足し、段差をパテで調整します。 - クロスの貼り替え
部分補修では色差が目立つため、部屋全体を貼り替えるのが一般的です。
2. 床の補修
床は仕上げ工事の中でも費用が高くなりやすく、壁があった箇所にはフローリングがないため溝が残ります。
補修費用の目安は5万円〜15万円程度で、床暖房の有無や無垢材など使用されている素材によって大きく変わります。
- 見切り材で隠す
溝に細い部材を被せる方法。最も安価ですが、境界線が残ります。 - 部分貼り替え
同じフローリング材が入手できる場合に、周辺のみ補修します。 - 全面貼り替え
きれいに仕上げたい場合は、空間全体を貼り替えます。
3. 電気配線・コンセントの処理
壁内にあった配線やコンセントは、撤去後に再配置が必要です。
費用の目安は1万円〜3万円程度で、コンセントの増設の有無や配線ルートの状況によって変動します。
- 配線の移設
必要な配線を隣接する壁や天井裏へ移動します。 - 末端処理
不要になった配線は安全に絶縁し、天井内などに収めます。
なお、解体後の追加工事を防ぐため、電気配線は見積もり段階で業者に確認しましょう。
4. 断熱・防音性能への配慮
撤去した壁に断熱材や防音材が入っていた場合、壁をなくすことで隣室への音漏れや冷暖房効率の変化が生じる場合があります。
費用の目安は2万円〜5万円程度で、壁をどの程度残すかや、断熱・防音性能をどこまで維持するかによって変動します。
2部屋を1つにする場合は問題になりにくいですが、一部に壁を残す場合は断面部分に対して適切な断熱・防音処理が必要です。
法律上の注意点
仕上げ工事では、壁の材質や仕上げ方法が法律によって制限される可能性があります。
特にマンションや大規模建築物は、その壁が「防火区画」を形成していた場合、撤去後も建築基準法施行令第112条に基づいた仕上げが求められます。
出典:建築基準法施行令
(防火区画)
第百十二条 法第二条第九号の三イ若しくはロのいずれかに該当する建築物(特定主要構造部を耐火構造とした建築物を含む。)又は第百三十六条の二第一号ロ若しくは第二号ロに掲げる基準に適合する建築物で、延べ面積(スプリンクラー設備、水噴霧消火設備、泡消火設備その他これらに類するもので自動式のものを設けた部分の床面積の二分の一に相当する床面積を除く。以下この条において同じ。)が千五百平方メートルを超えるものは、床面積の合計(スプリンクラー設備、水噴霧消火設備、泡消火設備その他これらに類するもので自動式のものを設けた部分の床面積の二分の一に相当する床面積を除く。以下この条において同じ。)千五百平方メートル以内ごとに一時間準耐火基準に適合する準耐火構造の床若しくは壁又は特定防火設備(第百九条に規定する防火設備であつて、これに通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後一時間当該加熱面以外の面に火炎を出さないものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものをいう。以下同じ。)で区画しなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物の部分でその用途上やむを得ないものについては、この限りでない。
また、防火区画にあたる壁を撤去した場合、隣接する天井や壁の仕上げ材も「不燃材料」などの指定を守る必要があり、材料費が上昇する要因となります。
撤去できない壁の確認方法と注意点
間仕切り壁を撤去する際は、その壁が建物を支える「耐力壁(たいりょくへき)」か確認が重要です。
耐力壁とは、地震や台風などの横からの力に耐えるための構造上重要な壁です。これを撤去すると耐震性が低下し、建物の安全性に大きく影響します。
また、撤去や移動には補強工事が必要となり、費用が大きく増える原因にもなります。
ここでは、見分け方と工法ごとの違いを解説します。
耐力壁の見分け方
壁を叩いて確認する方法もありますが、自己判断する前に次の方法で確認します。
設計図面(構造図)の確認
建築時の図面を確認し、耐力壁か判断しましょう。
- 厚い線や筋交いマーク(バツ印)がある壁は耐力壁
- リフォーム履歴がある場合は、図面と現況が異なる場合があるため注意
業者による現地調査
見積もりの段階で、業者には「構造に影響がないか」「その判断となる根拠」を確認しましょう。
- 天井裏や床下から内部構造を確認
- 筋交いや梁のかかり方をチェック
工法による耐力壁の違い
耐力壁の見分けは、見た目だけでは判断が難しいケースも多いです。その理由は建物の工法によって構造の考え方が異なるためです。
代表的な工法には、在来軸組工法と2×4(ツーバイフォー)工法があり、それぞれ耐力壁の考え方や見分け方が異なります。
▼【建物の工法】在来軸組工法と2×4(ツーバイフォー)工法
| 項目 | 在来軸組工法(木造住宅に多い) | 2×4(ツーバイフォー)工法 |
|---|---|---|
| 構造の仕組み | 柱と梁で支える | 壁(面)で支える |
| 特徴 | すべての壁が構造に関わるわけではない | 多くの壁が構造の役割を持つ |
| 見分け方 | 筋交い(斜め材)が入っている壁が耐力壁 | 見た目では判断が難しく、間仕切りでも耐力壁の可能性が高い |
| 注意点 | 非耐力壁と耐力壁の見極めが必要 | 見た目で判断すると誤るリスクが高い |
| 撤去の考え方 | 非耐力壁は撤去しやすいが、耐力壁は補強が必要 | 構造計算が必要で、安易な撤去は不可 |
| リスク | 耐力壁を撤去すると耐震性が低下 | 建物の歪みや不具合(雨漏り・建具不良など)の原因になる |
在来軸組工法は非耐力壁も多く比較的見分けやすい一方、2×4(ツーバイフォー)工法は多くの壁が構造に関わるため、見た目で判断せず専門家による確認が必要です。
特に2×4工法や耐震補強済みの住宅では、無断で耐力壁を撤去すると建物の安全性が損なわれるだけでなく、建築基準法第20条にも抵触する可能性があります。
出典:建築基準法
(構造耐力)
第二十条 建築物は、自重、積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧及び水圧並びに地震その他の震動及び衝撃に対して安全な構造のものとして、次の各号に掲げる建築物の区分に応じ、当該各号に定める基準に適合するものでなければならない。引用元:建築基準法|e-Gov法令検索
DIYで間仕切り壁を撤去できる?
DIYで間仕切り壁を撤去できるのか、気になる方も多いのではないでしょうか。ここからは、これまで11万件以上ものお客様の相談に乗り、数多くの解体現場を見てきた『あんしん解体業者認定協会』の初田理事に実情を伺います。
現場解説
一般社団法人あんしん解体業者認定協会 理事・解体アドバイザー
初田 秀一 (はつだ しゅういち)
解体アドバイザー歴15年、相談実績は11万件以上。お客様の不安を笑顔に変える現場のプロフェッショナル。「どんな些細なことでも構いません」をモットーに、一期一会の精神でお客様一人ひとりと向き合い、契約から工事完了まで心から安心できる業者選定をサポート。この記事では現場のリアルな視点から解説を担当。
理事 初田秀一間仕切り壁をDIYで撤去するのは、構造の安全性・法規制・作業リスクの観点からおすすめできません。
理事 初田秀一一見すると「壁を壊すだけ」の簡単な作業に見えますが、壁の内部には建物を支える構造体や電気配線があります。そういった知識がないまま解体すると、事故が起きたりかえって修理費がかかったりしてしまいます。
ここでは、DIYを避けるべき主な理由を解説します。
1. 建物の構造のリスク
間仕切り壁の中には、建物を支える「耐力壁」が含まれている場合があります。これを誤って撤去すると、耐震性が低下し、地震時の安全性に影響します。
見た目や叩いた音だけで判断するのは難しく、誤った解体は法令上の問題や将来的な資産価値にも影響する可能性があります。安全に進めるためにも、事前に専門業者による確認が必要です。
2. 電気工事士法に抵触するリスク
間仕切り壁にはコンセントやスイッチがある場合が多く、内部には電気配線が通っています。
これらの配線を移動・切断する作業は、電気工事士法に基づき電気工事士の資格が必要です。無資格で作業を行うと、感電や漏電、火災の原因になるだけでなく、法令違反にもなります。
出典:電気工事士法
(電気工事士等)
第三条 第一種電気工事士免状の交付を受けている者(以下「第一種電気工事士」という。)でなければ、自家用電気工作物に係る電気工事(第三項に規定する電気工事を除く。第四項において同じ。)の作業(自家用電気工作物の保安上支障がないと認められる作業であつて、経済産業省令で定めるものを除く。)に従事してはならない。
3. 廃材処理の手間とコスト
壁を解体すると、石膏ボードや木材、軽天、断熱材などの廃材が大量に発生します。
これらは家庭ゴミとして処分できず、産業廃棄物として適切に処理する必要があります。個人で処分場に持ち込めないケースも多く、結果的に専門業者への依頼が必要になり、想定ほどコスト削減にならない可能性があります。
また、2006年以前の建物ではアスベストが含まれている可能性があり、その場合は法令に基づいた専門的な処理が必要です。
アスベストについては、次の記事にて詳しく解説していますのであわせてご覧ください。

4. 仕上がり品質の確保が難しい
壁を撤去した後は、床・壁・天井の補修が必要になりますが、これには高い施工技術が求められます。下地の厚み調整が不十分だとクロスに凹凸が出たり、防音層を傷つけることで生活音のトラブルにつながる可能性もあります。
また、軽天の切断やボルトの撤去には専用工具が必要で、道具を揃える費用を考えると、結果的に業者へ依頼した方が効率的な場合も少なくありません。
【失敗事例】隠れた電気配線を切断し、修理費が7万円かかった
初田理事のもとには、DIYで間仕切り壁を撤去した方から次のような相談が寄せられました。
理事 初田秀一自宅の壁の中は空洞だと思い解体したところ、内部の電気配線を誤って切断し、停電が起きてしまったようです。結果、電気工事業者による緊急対応が必要となり、修理費用として約7万円かかってしまいました。
壁の中には、電気配線だけでなく、ガス管や水道管、インターネットのケーブルなどが通っている場合があります。
そのため、断線した配線の復旧作業だけでなく、配線の引き直しや接続部の再処理、通電確認まで一通りの対応が必要となりました。
【FAQ】間仕切り壁 撤去費用に関するよくある質問
マンションの場合、管理組合への確認は必要ですか?
はい、事前の届け出と承認が必須です。
マンションの専有部分をリフォームする場合、多くの管理規約で「理事長への申請と承認」が義務付けられています。
工事中の騒音や振動、工事車両の駐車、資材搬入による共用部の使用など、他の居住者への影響が大きいためです。
壁の撤去が構造(耐力壁)に影響しないか、図面を添えて説明を求められる場合があります。また、工事の数週間前には近隣住民への挨拶や掲示板への告知が必要なケースが一般的です。
なお建物の管理運営については、建物の区分所有等に関する法律に基づき、各マンションの管理規約が定められています。
出典:建物の区分所有等に関する法律
(区分所有者の団体)
第三条 区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分(以下「一部共用部分」という。)をそれらの区分所有者が管理するときも、同様とする。
間仕切り壁のみ撤去する場合、工期はどのくらいかかりますか?
一般的に1日〜3日程度です。
作業内容ごとの目安は以下の通りです。
- 解体・搬出(1日) 壁の取り壊し、内部の電気配線処理、廃材の運び出しを行います。
- 内装仕上げ(1日〜2日) 壁を撤去した跡の床・壁・天井の補修、クロスの貼り替えを行います。
壁の中にコンセントやスイッチが多く、移設範囲が広い場合や床のフローリングを広範囲に貼り替える場合は、さらに1日〜2日追加される場合があります。
耐力壁を間違えて解体した場合、どうしたらいいですか?
直ちに作業を中断し、建築士や建物の施工会社に連絡して構造診断と補強工事を依頼してください。
耐力壁は建物の地震荷重を支える重要な要素であり、一部でも欠損すると建物全体の耐震性能が損なわれます。
現場を保存した状態で、一級建築士などの専門家に現状を確認してもらいます。その後、欠損した壁の復旧、あるいは別の場所への耐震壁の増設など、適切な補強案を作成し施工します。
放置すると地震時に倒壊する危険があります。また建築基準法違反の状態となり、将来の売却が不可能になるほか、火災保険や地震保険が適用されない恐れがあります。
まとめ
間仕切り壁の撤去費用は、解体と補修を合わせると16万〜35万円程度が目安です。
これから撤去を検討している方は、費用だけでなく「撤去できる壁かどうか」「追加費用の有無」「仕上がり」まで含めた判断が重要です。
▼間仕切り壁を撤去する際の重要ポイント
- 撤去できるのは非耐力壁のみ(構造に関わる壁は不可)
- 見積もりは「解体+補修」込みで確認する(後から費用が増えやすい)
- 電気配線やコンセントの有無を事前に確認する(追加費用の原因)
- 床・壁・天井の仕上がり方法で総額が大きく変わる
- マンションは管理組合への申請が必要
- DIYはリスクが高いため業者依頼が基本
なお、優良な解体業者の選び方については、次の記事にて詳しく解説していますのであわせてご覧ください。




