この記事の案内人・編集長
稲垣 瑞稀
- 解体工事中にブロック塀が倒壊する主な原因
- ブロック塀の重量や不安定性による危険性と、過去の類似事故の傾向
- 再発防止に必要な安全対策のポイント
北海道北広島市の住宅解体現場で、ブロック塀の撤去中に倒壊事故が発生し、40代の作業員が死亡しました。
ブロック塀は一見すると安定して見えますが、内部の劣化や解体時の振動によって突然倒壊する危険性があり、解体現場では毎年のように同様の事故が起きています。
本記事では、なぜブロック塀が倒壊したのか、その危険性や同様に起きた過去の事例、そして再発を防ぐために必要な対策について、解体工事の専門的な視点からわかりやすく解説します。
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ニュースの概要
- 発生場所:北海道北広島市
- 報道日:2026年4月13日
- 対象:北海道北広島市山手町6丁目の住宅
- 事案:北海道北広島市の住宅解体現場で、ブロック塀の撤去中に塀が倒壊し、40代男性作業員が下敷きとなり死亡。警察が事故原因を調査中。
北海道北広島市で、住宅を解体する作業をしていた40代の男性作業員がブロック塀の下敷きになりました。
男性は心肺停止の状態で搬送され、その後、死亡が確認されました。
事故があったのは、北広島市山手町6丁目の住宅の解体工事の現場です。
解体工事中にブロック塀が倒れた原因
1. 内部鉄筋の劣化
ブロック塀の寿命は約30年とされていますが、内部の鉄筋は15年から20年で劣化が始まります。コンクリートの酸化によって鉄筋が錆びると、膨張してコンクリートを内側から破壊し、塀全体の結合力が著しく低下します。
今回の現場でも、外見からは判断できない内部の脆化が進行していた可能性があります。
2. 解体手順と転倒防止措置の欠如
解体工事において、壁体を一度に倒そうとしたり、土台部分を先に傷つけたりすると、重心のバランスが崩れます。
本来、ブロック塀の解体では、上部から一段ずつ手作業で解体するか、重機を使用する場合でも塀が倒れないように支柱(サポート)で固定するなどの措置が必要です。これらの対策が不十分だった場合、作業員がいる方向に塀が倒れ込むリスクを排除できません。
3. 外部振動と物理的な影響
住宅の解体工事では、重機の稼働による振動が絶えず発生します。老朽化したブロック塀は、わずかな振動や、作業員が手を触れた程度の負荷でも自重に耐えきれず倒壊する可能性があります。
ブロック塀が倒れた際の主な危険性
- 想定以上の重量による圧迫
コンクリートブロックは、10cm厚で約10kg、15cm厚で約15kgと重く、高さ2m・幅2mの塀では総重量が約500〜700kgに達します。これほどの重さが一度に倒れれば、人の力では支えきれず、下敷きになると内臓損傷や骨折など重大な被害につながります。 - 内部劣化による突然の崩壊
内部の鉄筋は、施工から15〜20年ほどで雨水の影響を受けて錆びやすくなります。腐食が進むと鉄筋が細くなり、コンクリートとの結合も弱まります。外見に異常がなくても、解体時のわずかな振動でバランスを崩し、一気に崩れ落ちるおそれがあります。 - 倒壊範囲の予測が難しい
ブロック塀は、基礎から倒れる場合もあれば、上部のみが崩れる場合もあります。どの部分がどのタイミングで崩れるか読みづらく、距離が不十分な作業員が巻き込まれるリスクが常に伴います。
解体工事中に起きたブロック塀倒壊の実例
今回の事故と同様に、過去にも解体工事中にブロック塀の倒壊による事故が起きています。
| 年 | 場所 | 事故概要 | 被害 |
|---|---|---|---|
| 2021年 | 群馬県渋川市 | 解体作業中にブロック塀が倒壊し、作業員2人が下敷き | 2人死亡 |
| 2024年 | 山口県宇部市 | 民家の塀の解体中にブロック塀が倒壊 | 1人死亡 |
| 2025年 | 静岡県御殿場市 | 解体現場で倒壊したブロック塀の下敷きとなり、その後死亡 | 1人死亡 |
▼2021年 群馬県渋川市
29日午後1時20分頃、群馬県渋川市伊香保町伊香保で、建物の解体作業をしていた前橋市堀越町、会社役員吉田真一さん(52)ら男性2人が倒れてきたコンクリートブロック塀の下敷きになった。吉田さんらは搬送された病院で死亡が確認された。
▼2024年 山口県宇部市
きのう(7日)午後、宇部市で、民家のコンクリートブロック製の塀の解体作業中に、ブロック塀が倒れる事故があり、解体作業員の男性が下敷きとなって、まもなく死亡しました。
事故があったのは、宇部市中野開作の民家解体現場です。
▼2025年 静岡県御殿場市
御殿場署は3日、御殿場市水土野の元宿泊施設の解体現場で3月26日に、倒れてきたブロック塀の下敷きになり、意識不明の重体となっていた建設作業員の男性(65)=三島市大社町=が、入院先の病院で死亡が確認されたと発表した。同署は労災事故として原因を調べている。
運営者 稲垣このような事故が多いのは、解体により自立強度を失ったブロック塀への対策不足が要因と考えられます。
解体中のブロック塀は自立バランスを失いやすく、わずかな振動で倒壊します。数百キロの塊が予期せぬ方向へ倒れるため、作業員が回避するのは困難です。
ブロック塀の倒壊を防ぐための対策
- 事前の劣化診断と作業計画
着工前に、ブロック塀の傾き、ひび割れ、鉄筋の有無を調査し、倒壊の危険性を評価します。その結果に基づき、どの方向に倒すか、どの範囲を立ち入り禁止にするかを定めた作業計画を策定します。 - 手作業による段落とし解体
安全を確保するためには、重機で一気に壊すのではなく、上部から一段ずつカッターやハンマーを使用して手作業で解体する方法が有効です。これにより、一度に崩落する質量を最小限に抑えられます。 - 補強材(サポート)の設置
解体対象の塀が自立困難と判断される場合、パイプサポートなどの鋼材を使用して、塀が作業員側に倒れないよう物理的に固定します。
まとめ
今回の事故は、解体工事におけるブロック塀の危険性を改めて明らかにしたものです。
ブロック塀は外見では劣化が分かりにくく、内部鉄筋の腐食や振動の影響で突然倒壊するリスクがあります。
実際に同様の事故は過去にも繰り返し発生し、現場では十分な注意が求められます。特に解体手順や転倒防止措置が不十分な場合、数百kg規模の塊が予期せぬ方向に倒れるため、重大な事故につながりやすい点が問題です。
再発防止には、事前調査による劣化状況の把握に加え、上部からの段階的な解体や鋼材による固定など、作業の徹底が不可欠です。
なお、優良な解体業者の選び方ついては、次の記事にて詳しく解説していますのであわせてご覧ください。


