この記事の案内人・編集長
稲垣 瑞稀
- 解体工事における足場の設置義務や構造基準など、法律上の基本ルールがわかる
- 足場の種類や費用の目安がわかる
- 足場トラブルの事例やリスクがわかる
- 足場トラブルを避けるために業者選びで確認すべきポイントがわかる
「どうして足場に20万円も払わなきゃいけないの?」「足場なしで安くやってくれる業者を探したほうがいいのかな……」
解体工事の見積書で「足場養生」の項目を見て、そんな疑問や違和感を抱いたままこの記事にたどり着いたのではないでしょうか。解体にこれだけ費用がかかるのは、正直もったいないと感じてしまうのも自然なことです。
しかし足場を削ったり安全対策が不十分な業者を選んでしまうと、騒音や粉じんによる近隣トラブルに加え、足場倒壊などの重大事故につながるおそれがあります。その結果、施主であるあなた自身が責任を問われる可能性もあります。
そこでこの記事では、『あんしん解体業者認定協会』で多数の相談対応実績を持つ辰巳マネージャーに取材し、解体工事における足場の重要性・費用相場・トラブル対策までわかりやすく整理しました。
監修者
現場解説一般社団法人あんしん解体業者認定協会 お客様窓口 マネージャー
辰巳 浩晃(たつみ ひろあき)
解体工事のご相談・現場調査の立会い・見積書説明など、お客様窓口としてお客様の不安解消と工事サポートに注力するマネージャー。「同じ解体でも、ひとつとして同じ現場はない」を信条に、一件一件の個性を大切にしながら、お客様が晴れやかな気持ちで工事当日を迎えられるよう伴走。お持ちの見積書が適正かどうかも、数分のお電話で判断できるよう、第三者目線でのアドバイスを心がけている。この記事では現場のリアルな視点から解説を担当。
運営責任者「スッキリ解体」編集長
稲垣 瑞稀(いながき みずき)
解体業界専門のWebメディアでWebディレクターとして6年以上、企画・執筆・編集から500社以上の解体業者取材まで、メディア運営のあらゆる工程を経験。近年は解体の前段にある空き家問題(管理・解体・補助金・税制)にも取材領域を広げている。正しい情報が届かず困っている方を助けたいという想いから、一個人の責任と情熱で「スッキリ解体」を立ち上げ、全記事の編集に責任を持つ。
執筆「スッキリ解体」専属ライター
馬場 美月(ばば みづき)
「解体工事の準備から完了まで、初めての方でも迷わないよう、一つずつ丁寧に解説します。」
「初心者にもわかりやすく」をモットーに、解体工事の全工程をステップバイステップで解説する記事を得意とするライター。毎週の専門勉強会で得た知識や業者様へのインタビューを元に、手続きの流れや専門用語を図解なども交えながら、読者が迷わずに理解できる記事作りを心がけている。
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解体工事の足場に関する法律上のルール
高さ2m以上の高所作業では足場の設置が義務
労働安全衛生規則第518条第1項では、高所からの墜落事故を防止するため事業者に作業床(足場など)の設置を義務付けています。そのため高さ2m以上の箇所で解体作業を行う際、足場を設けずに施工することは法律違反にあたります。
マネージャー 辰巳浩晃一般的な戸建て住宅(2階建て)は高さが7〜8mあり、屋根や2階部分を撤去する際には足場が設置されるケースがほとんどです。
出典:労働安全衛生規則
第五百十八条 事業者は、高さが二メートル以上の箇所(作業床の端、開口部等を除く。)で作業を行なう場合において墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、足場を組み立てる等の方法により作業床を設けなければならない。
安全確保に向けた足場の構造基準
足場は設置すれば良いというわけではなく、作業員の安全確保に向けた細かな構造基準が定められています。
- 作業床の幅:40cm以上
- 床材間の隙間:3cm以下
- 床材と建地(足場の縦柱)の隙間:12cm未満
これらの基準を満たさない「簡易すぎる足場」は、たとえ設置されていても法令違反となるリスクがあります。
出典:労働安全衛生規則
第五百六十三条 事業者は、足場(一側足場を除く。第三号において同じ。)における高さ二メートル以上の作業場所には、次に定めるところにより、作業床を設けなければならない。
(中略)
二 つり足場の場合を除き、幅、床材間の隙間及び床材と建地との隙間は、次に定めるところによること。
イ 幅は、四十センチメートル以上とすること。
ロ 床材間の隙間は、三センチメートル以下とすること。
ハ 床材と建地との隙間は、十二センチメートル未満とすること。
2024年の法改正で足場の安全基準が強化
2024年4月の法改正により、足場を設置する幅が1m以上確保できる場合は、原則として「本足場(建物の両側に支柱を設け、作業床を全面的に支える構造の足場)」を使用することが義務付けられました。また、隣家との距離が極端に狭い場合を除き、建物側に支柱を設けない「一側足場」の使用は制限されています。

出典:労働安全衛生規則
第五百六十一条の二 事業者は、幅が一メートル以上の箇所において足場を使用するときは、本足場を使用しなければならない。ただし、つり足場を使用するとき、又は障害物の存在その他の足場を使用する場所の状況により本足場を使用することが困難なときは、この限りでない。
解体工事に足場が必要な4つの理由
なぜ高額な費用をかけてまで足場を組む必要があるのか、主な理由は以下の通りです。
理由1:作業員の安全確保
建物は解体が進むにつれて構造が不安定になり、新築時以上に転落事故の危険が高まります。そのため足場は単なる作業スペースではなく、作業員の命を守るための重要な安全設備として設置されます。

理由2:騒音や粉じんの飛散抑制
解体工事では、重機による取り壊しや建材の搬出に伴って騒音や粉じんが発生します。足場は防音・養生シート設置の土台として役割を果たしており、周辺環境への影響を軽減するのに欠かせません。

特に住宅密集地では飛散した粉じんが洗濯物や車に付着したり、騒音が原因で近隣住民とのトラブルに発展したりすることがあります。足場に養生シートや防音シートを適切に取り付けることで粉じんの飛散や騒音を抑え、近隣への負担を軽減できます。
養生シートを設置せずに解体工事を行うリスクについては、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

理由3:資材や工具の落下リスクの低減
足場に設置されたメッシュシートや防護ネットには、解体材や工具の飛散・落下を防ぐ役割もあります。例えば、取り外した瓦の破片やコンクリート片、作業中に誤って落とした工具などが敷地外へ飛散するリスクを軽減できます。
理由4:作業効率の向上と工期遅延の回避
足場があることで作業員は安全かつ効率的に作業でき、解体工事をスムーズに進められます。また、事故や作業中断のリスクを抑えられることから工期の遅延防止にもつながります。そのため、足場は工事の品質や工程管理を支える重要な設備です。
解体工事で使用される足場の種類
現場の広さや建物の高さによって、使用される足場は使い分けられます。
| 足場の種類 | 主な使用場所 | 特徴 |
|---|---|---|
| 単管足場 | 狭小地・住宅密集地 | 狭い場所でも設置しやすい |
| くさび式足場 | 一般的な戸建て住宅 | 安全性と作業性のバランスが良い |
| 枠組足場 | マンション・ビル | 高層建築物向けで強度が高い |
| 吊り足場 | 橋梁・高架道路・高層構造物 | 地面から足場を組めない場所向け |
単管足場

単管足場とは、鉄パイプ(単管)とクランプと呼ばれる金具を組み合わせて構成する足場です。部材の配置を柔軟に調整でき、隣家との距離が近い住宅密集地や狭小地でも設置しやすい特徴があります。

メリット
- 狭い敷地や複雑な形状の現場でも設置しやすい
- 部材の調整がしやすく、さまざまな現場条件に対応できる
- 本足場と比べて設置スペースが少なくて済む
デメリット
- 作業床が狭くなりやすく、安全性や作業効率が低下しやすい
- 作業員の移動がしづらく、工事期間が延びる場合がある
- 耐荷重が小さく、資材の仮置きや運搬に制約が生じやすい
くさび式足場

くさび式足場とは、金属製の支柱に設けられた緊結部へくさび付きの部材を打ち込んで組み立てる足場です。強度と作業性のバランスに優れており、一般住宅の解体工事で最も多く採用されています。

メリット
- 強度が高く揺れが少ない
- 作業床を広く確保でき、安全性が高い
- 組立・解体が比較的スムーズで工期を短縮しやすい
デメリット
- 単管足場よりも広い設置スペースが必要
- 単管足場に比べて費用がやや高くなることがある
枠組足場

枠組足場とは、門型に溶接された建枠を基本として組み立てる足場です。高い強度と安定性を持ち、中高層マンションやビルなど大規模な解体工事で使用されます。

メリット
- 高い強度と安定性を確保できる
- 作業効率が良く、資材の運搬もしやすい
デメリット
- 運搬費や設置費用が高くなりやすい
- 部材が大型で設置スペースを必要とする
吊り足場

吊り足場とは、橋梁・高架道路・高層建築物などの上部構造からワイヤーやチェーンで作業床を吊り下げて設置する足場です。地面から足場を組み立てることが難しい場所で使用され、橋梁解体や高所の補修工事などで採用されます。

メリット
- 河川や道路上など障害物がある現場に対応できる
- 地上の交通や周辺環境への影響を抑えやすい
デメリット
- 設計や施工に高度な技術が必要
- 設置費用が高額になりやすい
- 強風など天候の影響を受けやすい
解体工事の足場養生費の相場
足場養生費の相場
延床面積30坪程度の一般的な木造住宅の場合、足場養生費の総額は10万円~20万円程度が目安です。足場の種類ごとの費用相場は以下の通りです。
| 足場の種類 | 費用相場(1m2あたり) |
|---|---|
| 単管足場 | 700~1,000円 |
| くさび式足場(ビケ足場) | 800~1,200円 |
| 枠組足場 | 1,000~1,500円 |
| 吊り足場 | 3,000~8,000円以上 |
※解体費用相場は『あんしん解体業者認定協会』が保有する2020年~2025年7月の解体工事データ30,000件以上を基に算出しています。
※実際の費用は建物の規模や形状、敷地条件、前面道路の状況、隣家との距離、電線・樹木などの障害物の有無によって大きく変動します。
費用が高くなる現場条件
足場費用は一律ではなく、現場の条件によって大きく変わります。特に以下のようなケースでは通常よりも施工の手間が増加し、費用が上がる傾向があります。
- 前面道路が狭い
大型トラックが進入できない場合、小型車両での運搬や人力による搬入が必要です。その結果、運搬費や人件費が増加し、「小運搬費」などの追加費用が発生することがあります。特に住宅密集地や旗竿地では影響を受けやすい傾向があります。 - 隣家との距離が近い
建物と隣家の間隔が狭い場合、足場の組立作業が難しくなります。狭小地向けの足場を採用したり、部材を人力で搬入したりする必要があり、施工時間や作業人数が増えて費用が高くなります。 - 電線や樹木などの障害物がある
電線・電話線・庭木・カーポートなどがある場合は、それらを避けながら足場を設置しなければなりません。防護管の設置や枝払いなどの追加作業が必要になり、通常より費用が高くなります。 - 建物の形状が複雑
L字型・コの字型の建物や、増築を繰り返した建物は外周が長くなりやすく足場面積が増加します。足場材の使用量や組立工数も増え、延床面積が同じでも費用が上がる傾向があります。
マネージャー 辰巳浩晃現場の状況は千差万別です。現地調査にはできるだけ立ち会い、隣家との距離・前面道路の状況・敷地内の障害物など、費用に影響しそうな条件を業者と一緒に確認することが大切です。
兵庫県神戸市 足場養生費の見積もり事例
以下は、延床面積約30坪の木造2階建て住宅の解体工事における実際の見積もり事例です。

見積書の書き起こしを表示する
| 品目 | 数量 | 単位 | 単価 | 見積金額 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 仮設工事(足場・防音シート養生) | 203 | m2 | 800 | 162,400 | |
| 木造2階建 解体・処分 | 100 | m2 | 7,500 | 750,000 | |
| 石綿含有屋根材 撤去・処分 | 72 | m2 | 2,000 | 144,000 | Lv3 スレート |
| 増築2階建ベランダ 撤去・処分 | 1 | 式 | 80,000 | 80,000 | |
| 玄関・階段土間コン 撤去・処分 | 8 | m2 | 2,500 | 20,000 | |
| 駐車場土間コン 撤去・処分 | 13 | m2 | 2,500 | 32,500 | |
| フェンス 撤去・処分 | 1 | 式 | 25,000 | 25,000 | |
| 石垣・CB 撤去・処分 | 1 | 式 | 35,000 | 35,000 | カッター入れ共 |
| 植栽 撤去・処分 | 4 | m2 | 9,500 | 38,000 | |
| 物置 撤去・処分 | 3 | 台 | 3,000 | 9,000 | |
| 給湯器 撤去・処分 | 1 | 台 | 10,000 | 10,000 | |
| 重機回送費 | 1 | 式 | 60,000 | 60,000 | |
| 事務手数料 | 1 | 式 | 150,000 | 150,000 | |
| 小計 | 1,515,900 | ||||
| 消費税 | 8 | % | 121,272 | ||
| 出精値引 | ▲258,444 | ||||
| 総合計 | 1,500,000 | ||||
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 足場の種類 | くさび式足場 |
| 足場面積 | 203m2 |
| 足場養生費の単価 | 800円/m2 |
| 足場養生費の総額 | 16万2,400円 |
足場倒壊などのトラブルと責任
足場は高所作業を支える命綱である一方、不適切な設置や管理は周辺を巻き込む重大な事故に直結します。まずは実際にあった深刻なトラブル事例から、そのリスクを見ていきましょう。
【トラブル事例】作業床・手すり未設置による墜落・転落災害

この現場では高さ約2m以上の高所作業が行われていましたが、作業床は設置されておらず、作業員は単管パイプ上で作業を行っていました。また、手すり・中桟・安全帯などの墜落防止設備も設けられていない状態でした。その結果、作業中にバランスを崩して作業員が地上へ墜落し負傷しました。さらに足場の一部も崩落し、部材が飛散して通行人に接触。通行人も軽度の負傷を負う二次災害が発生しました。
このような事故が起きた場合、責任の所在はどうなるのでしょうか。
足場倒壊時の責任は誰が負う?
足場の倒壊が施工不良や管理不足によって発生した場合は、足場を設置・管理していた解体業者が損害賠償責任を負うケースが一般的です。
ただし、事故の状況によっては施主が責任を問われる可能性もあります。実際の責任の所在は、事故原因や足場の管理状況などを踏まえて判断されます。
出典:民法
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
(中略)
第七百十七条 土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。
引用:民法|e-Gov法令検索
施主が責任を負うケース
通常、解体工事中の事故について施主が責任を負うことは多くありません。しかし施主の指示や判断に問題があった場合は例外です。
例えば、以下のようなケースでは施主側の過失が認められる可能性があります。
- 台風接近中にもかかわらず工事の継続を強く求めた
- 安全対策の省略を指示した
- 危険性を認識しながら無理な工期短縮を求めた
出典:民法
第七百十六条 注文者は、請負人がその仕事について第三者に加えた損害を賠償する責任を負わない。ただし、注文又は指図についてその注文者に過失があったときは、この限りでない。
引用:民法|e-Gov法令検索
足場トラブルを防ぐ業者選びのポイント
見積書に「足場工事一式」とだけ記載する業者を避ける
見積書に「足場工事一式」とだけ記載されている場合は注意が必要です。それだけでは工事内容や費用の内訳が分からず、適正な金額か判断しにくいためです。以下のポイントをチェックして、見積内容が明確か確認してみてください。
- 足場の種類(単管足場・くさび式足場など)が明記されているか?
- 足場の面積(m2)が正確に記載されているか?
- 単価(円/m2)が記載されているか?
上記の項目が記載されていなくても、業者から十分な説明を受けられれば問題ない場合があります。ただし後から認識違いが生じないよう、工事内容や費用の内訳は書面で確認しておくことをおすすめします。
マネージャー 辰巳浩晃不明な点があれば、契約前に業者へ確認しましょう。「質問に対して丁寧に説明してくれるかどうか」も信頼できる業者を見極めるポイントです。
見積書の良い例・悪い例

画像は、見積書における「良い書き方(透明性が高い例)」と「悪い書き方(内訳が不透明な例)」の違いを比較したものです。
上段の良い例では、施工面積180m2・単価550円/m2・総額9万9,000円が明記され、備考にも単管・防炎シートといった使用資材が記載されています。工事内容と規模が具体的に把握でき、金額の妥当性も判断しやすい見積書です。
一方、下段の悪い例では金額8万5,000円のみの「一式」での記載で、面積・単価・資材内訳などが不明です。費用根拠が見えにくく金額の妥当性が判断できないため、不要な費用が含まれていても気づきにくいです。
近隣対応が丁寧な業者を選ぶ
足場の設置・解体時には、金属部材を組み立てる打撃音や搬入作業によって近隣住民へ負担をかける場合があります。特に住宅密集地では、工事内容を事前に知らされていないことが原因で苦情やトラブルに発展するケースも少なくありません。そのため、着工前に近隣への挨拶や工事説明を行ってくれる業者を選ぶことが大切です。
マネージャー 辰巳浩晃見積もり時に「近隣挨拶は実施しますか?」「工事前に案内文は配布しますか?」と確認しておくことで、近隣対応に対する姿勢を把握できます。
なお、近隣挨拶については以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

足場工事の実績が豊富な業者を選ぶ
解体業者の中には、足場工事を得意としている会社もあります。足場は作業員の安全確保や近隣への配慮に関わる重要な工程であり、足場工事の知識や施工経験が豊富な業者を選ぶと安心です。
業者のホームページを見る際は、事業内容・保有資格・施工事例などを確認しましょう。「足場の組立て」や「仮設工事」に関する資格・実績を明示している業者は、足場工事にも注力している可能性が高いです。

足場設置に関する許可・届け出
解体工事の足場は、設置場所や規模によって行政への申請や届出が必要な場合があります。ここでは、代表的な3つの許可・届け出について解説します。
なお、足場設置に関する申請手続きは基本的に解体業者が行い、施主が自ら役所や警察へ出向いて手続きを行うケースはほとんどありません。
道路使用許可
「道路使用許可」とは、道路上で工事や作業を行う場合に必要となる許可です。解体工事では、足場の組立・解体作業のために道路の一部を使用したり、資材や作業車両を道路上に配置したりする場合に申請が必要です。
- 申請先:所轄の警察署
- 対象:道路上で足場の組立・解体作業を行う場合や、工事によって道路の通行に影響を及ぼす場合
- 申請期日:作業開始の数日から1週間前まで(警察署による)
出典:道路交通法
第七十七条 次の各号のいずれかに該当する者は、それぞれ当該各号に掲げる行為について当該行為に係る場所を管轄する警察署長(以下この節において「所轄警察署長」という。)の許可(当該行為に係る場所が同一の公安委員会の管理に属する二以上の警察署長の管轄にわたるときは、そのいずれかの所轄警察署長の許可。以下この節において同じ。)を受けなければならない。
一 道路において工事若しくは作業をしようとする者又は当該工事若しくは作業の請負人
二 道路に石碑、銅像、広告板、アーチその他これらに類する工作物を設けようとする者
道路使用許可については以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

道路占用許可
「道路占用許可」とは、道路の上や道路区域内に工作物を継続して設置する場合に必要な許可です。敷地が狭く、足場や養生シートの一部が公道の上空や道路区域内にはみ出した状態で一定期間設置される場合に必要です。
- 申請先:道路管理者(市区町村・都道府県・国道事務所など)
- 対象:足場や養生シートなどが道路区域内や道路上空にはみ出し、一定期間設置される場合
- 申請期日:足場設置の2週間〜1ヶ月前まで(自治体による)
出典:道路法
第三十二条 道路に次の各号のいずれかに掲げる工作物、物件又は施設を設け、継続して道路を使用しようとする場合においては、道路管理者の許可を受けなければならない。
(中略)
七 前各号に掲げるもののほか、道路の構造又は交通に支障を及ぼすおそれのある工作物、物件又は施設で政令で定めるもの
マネージャー 辰巳浩晃道路使用許可は「道路上での作業」、道路占用許可は「道路の継続利用」に必要な許可です。そのため公道にはみ出した足場を設置する場合は、両方の許可が必要なことがあります。
なお、各自治体の申請窓口・必要書類・手続きの流れなどは、「○○市 道路占用許可」で検索することで確認できます。
機械等設置届
「機械等設置届」とは、大規模な足場を設置する際に安全性を事前に確認するための届け出です。
- 申請先:労働基準監督署
- 対象:
- 高さ10m以上の足場を設置する場合
- 組立から解体までの期間が60日以上の場合
- つり足場や張出し足場を設置する場合
- 申請期日:足場の組立開始日の30日前まで
必要書類や審査内容などの詳細は、労働基準監督署が公表している「建設工事計画届のポイント」をご確認ください。
【FAQ】解体工事の足場に関するよくある質問
隣の家との隙間が30cm程度しかありませんが足場は設置できますか?
原則設置可能ですが、状況に応じた工法選定が必要です。
30cm程度の狭小地でも、単管足場を用いることで設置できるケースは多くあります。ただし作業スペースが限られるため、通常より設置・作業に時間がかかる場合があります。
なお、自敷地内のみでの設置が困難な場合は隣地の一時使用が必要になることもあります。民法上は工事に必要な範囲での隣地使用請求権が認められていますが、トラブル防止のため事前に説明し、承諾を得たうえで進めます。
出典:民法
第二百九条 土地の所有者は、次に掲げる目的のため必要な範囲内で、隣地を使用することができる。ただし、住家については、その居住者の承諾がなければ、立ち入ることはできない。
一 境界又はその付近における障壁、建物その他の工作物の築造、収去又は修繕引用:民法|e-Gov法令検索
費用を削るために「足場なしで施工してほしい」と業者に依頼できますか?
基本的に対応できません。
労働安全衛生規則第518条により、高さ2m以上で墜落の恐れがある作業では作業床(足場等)の設置が義務付けられています。そのため法令遵守の業者であれば足場なし工事は不可です。
対応可能とする業者がいる場合は安全基準を軽視している可能性が高く、事故時には工事中断・近隣トラブル・施主側への影響リスクもあるため注意が必要です。
台風や強風の際、どのような足場の安全対策を行いますか?
主にメッシュシートの処理と壁つなぎの点検を行います。
強風時はシートが風を受けて倒壊リスクが高まるため、事前に畳む・取り外して風圧を軽減します。同時に建物と足場を固定する「壁つなぎ」や接合部の緩みを点検し、必要に応じて補強します。
足場の設置・解体にかかる期間はどれくらいですか?
延床面積30坪程度の一般的な木造住宅の場合、設置・解体はいずれも1〜2日程度が目安です。
ただし、トラックの進入可否や資材の手運びの有無といった道路状況・隣家との距離・建物の形状・天候などによって作業時間は変動します。正確な工程は、事前に施工業者が提示する工程表で確認するのが確実です。
まとめ
解体工事の足場は、法律に基づいて設置される重要な安全設備です。費用の安さだけで業者を選ぶのではなく、足場の種類・養生シートの有無・安全対策の内容まで適切に計画されているかを確認することが大切です。
見積もりを比較する際は、足場の種類・面積・単価などの内訳が明確に記載されているかも確認しましょう。内容が具体的であるほど、工事内容の透明性も高まります。
また、同じ現場でも業者によって提案内容や費用は異なります。複数の業者から見積もりを取り、工事内容や安全対策を比較したうえで依頼先を選ぶことが重要です。
