この記事の案内人・編集長
稲垣 瑞稀
- 解体工事前の電線撤去は誰に依頼し、いつまでに手続きすればよいのかがわかる
- 電線撤去にかかる費用や、解約申請から撤去完了までの具体的な流れがわかる
- 電線撤去で起こりやすいトラブル事例と、その防止策がわかる
- ガス・電話線・インターネット・水道など、電気以外のライフライン停止手続きの進め方がわかる
「家の解体工事を控えているけれど、電線(引込線)撤去の手続きはどうすればいいの?」「解体業者が対応してくれると思っていたけれど、自分で何か手続きが必要なの?」とお悩みではありませんか。
結論からお伝えすると、電線撤去の手続きは解体業者ではなく、基本的に施主自身が電力会社へ依頼する必要があります。そして工事をスムーズに進めるためには着工の2〜3週間前までに手続きを済ませておくことが大切です。
この記事では『あんしん解体業者認定協会』の辰巳マネージャーの解説を交えながら、電線撤去の依頼先・手続きの流れ・費用などを解説します。
監修者
現場解説一般社団法人あんしん解体業者認定協会 お客様窓口 マネージャー
辰巳 浩晃(たつみ ひろあき)
解体工事のご相談・現場調査の立会い・見積書説明など、お客様窓口としてお客様の不安解消と工事サポートに注力するマネージャー。「同じ解体でも、ひとつとして同じ現場はない」を信条に、一件一件の個性を大切にしながら、お客様が晴れやかな気持ちで工事当日を迎えられるよう伴走。お持ちの見積書が適正かどうかも、数分のお電話で判断できるよう、第三者目線でのアドバイスを心がけている。この記事では現場のリアルな視点から解説を担当。
運営責任者「スッキリ解体」編集長
稲垣 瑞稀(いながき みずき)
解体業界専門のWebメディアでWebディレクターとして6年以上、企画・執筆・編集から500社以上の解体業者取材まで、メディア運営のあらゆる工程を経験。近年は解体の前段にある空き家問題(管理・解体・補助金・税制)にも取材領域を広げている。正しい情報が届かず困っている方を助けたいという想いから、一個人の責任と情熱で「スッキリ解体」を立ち上げ、全記事の編集に責任を持つ。
執筆「スッキリ解体」専属ライター
馬場 美月(ばば みづき)
「解体工事の準備から完了まで、初めての方でも迷わないよう、一つずつ丁寧に解説します。」
「初心者にもわかりやすく」をモットーに、解体工事の全工程をステップバイステップで解説する記事を得意とするライター。毎週の専門勉強会で得た知識や業者様へのインタビューを元に、手続きの流れや専門用語を図解なども交えながら、読者が迷わずに理解できる記事作りを心がけている。
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※ 概算は目安です。正確な金額は現地調査による見積もりが必要です
解体工事前の電線撤去の基礎知識
電線撤去の依頼先
建物解体に伴う電線撤去は「電気の解約が済んでいるかどうか」で連絡先が変わります。
現在も電気契約が残っている場合は、契約中の電力会社(小売電気事業者)へ「電気の解約」と「解体に伴う引込線・メーター撤去」の両方を依頼します。電力会社側で送配電会社へ取り次がれるのが一般的です。
一方ですでに電気契約を廃止している場合は、送配電会社(ネットワーク会社)へ直接「引込線・メーター撤去」を申し込みます。
なお、引込線やメーターは送配電会社の設備であり、感電事故防止の観点からも解体業者が勝手に撤去できません。実際の撤去作業は送配電会社の専門作業員が対応します。

電線撤去を依頼するタイミング

電線撤去は解体工事の日程が決まり次第、できれば2〜3週間前までに依頼しておくのが一般的です。申し込み後は現地確認や工事日の調整が行われるため、撤去完了まで一定の期間が必要です。
また、引込線やメーターの撤去が完了しないと解体工事を開始できません。工事直前になって慌てないよう、解体業者との契約後に工事日が確定したタイミングで早めに手続きを進めましょう。
マネージャー 辰巳浩晃撤去作業当日は立ち会いを求められることもあります。作業時間は「午前」「午後」といった幅を持った案内になることが多いため、予定には余裕を持たせておくと安心です。
電線の撤去費用
電柱から建物へつながる引込線や、外壁に設置された電気メーターの撤去については基本的に費用は発生しません。引込線やメーターは送配電会社の設備であり、解体に伴う撤去は原則として送配電会社の負担で実施されます。
ただし建物内部の配線・コンセント・照明器具などの撤去は、解体業者が建物本体の解体とあわせて行います。これらの作業費は解体工事の見積金額に含まれるため、解体工事費用の一部として施主が負担します。

電線撤去の流れ
ここからは、解体工事前に行う電線撤去の流れを4つのステップに分けて解説します。
ステップ1:解体業者との契約前に役割分担を確認する
まずは解体業者へ見積もりを依頼する段階で、電線撤去に関する役割分担を確認しておきましょう。たとえば、電力会社・送配電会社への連絡や撤去申請を施主側で行う必要があるのか、建物内部の配線撤去が見積もり内容に含まれているのかを事前に確認しておくことが大切です。
ステップ2:電気の解約をする
契約中の電力会社へ「電気の解約」を申し込みます。契約している電力会社は、毎月届く「電気ご使用量のお知らせ(検針票)」や電力会社のマイページなどで確認できます。解約手続きの申請方法は電話・Web・メールなど、電力会社によって異なります。
また、手続き時には「解体工事に伴う停止」であることを伝えておくとスムーズです。単なる引っ越し解約として処理されると、引込線やメーターの撤去が行われない場合があるため注意しましょう。
連絡時には、以下の情報を準備しておくと手続きをスムーズに進められます。
- 撤去する場所の住所
- 契約者氏名
- 連絡者氏名
- 連絡先電話番号
- 撤去希望日
- 供給地点特定番号または電力メーター番号

なお、すでに電気契約を廃止済みの場合はこの手続きは不要です。
ステップ3:電線を撤去する
電気契約の停止後は送配電会社が工事日を調整し、専門作業員が現地で撤去作業を行います。作業では電柱から建物へ伸びている引込線を切り離し、あわせて電気メーターを取り外します。

ステップ4:解体業者が建物内部の配線を撤去する
電線の撤去作業が終わった後、解体業者が建物内部の配線・コンセント・照明器具などを撤去します。これらは一般的に建物本体の解体と一緒に行われ、作業費も解体費用に含まれるケースがほとんどです。
【大手電力会社別】電気の解約・電線撤去の問い合わせ先
ここでは大手電力会社について、電気の解約および建物解体に伴う引込線・メーター撤去の窓口をまとめました。
東北電力
現在も東北電力と契約中の場合は『東北電力』へ連絡し、電気の解約とあわせて「解体に伴う引込線・メーター撤去」であることを伝えます。すでに電気契約を廃止している場合は、『東北電力ネットワーク』へ引込線・メーター撤去を直接申し込みます。
| 問い合わせ先 | 電話番号 | 受付時間 |
|---|---|---|
| 東北電力 | 0120-066-774 | 平日9:00〜17:00 ※土日祝・年末年始(12/29~1/3)を除く |
| 東北電力ネットワーク | 0120-175-377 | 平日9:00〜17:00 ※土日祝・年末年始(12/29~1/3)を除く ※休日明けの午前中および9時台は電話がつながりにくい |
また、東北電力の各種手続きは以下のWebページからも申請できます。
東京電力
現在も東京電力と契約中の場合は『東京電力エナジーパートナー』へ連絡し、電気の解約とあわせて「解体に伴う引込線・メーター撤去」であることを伝えます。すでに電気契約を廃止している場合は、『東京電力パワーグリッド』へ引込線・メーター撤去を直接申し込みます。
| 問い合わせ先 | 電話番号 | 受付時間 |
|---|---|---|
| 東京電力エナジーパートナー | 0120-995-001 | 平日・土曜日9:00〜17:00 ※日祝・年末年始を除く |
| 東京電力パワーグリッド | 0120-995-007 ※ダイヤル後「3」を押す | 平日・土曜日9:00〜17:00 ※日祝・年末年始を除く |
また、電気の解約・電線撤去はそれぞれ以下のリンクからWeb申請も可能です。
関西電力
現在も関西電力と契約中の場合は『関西電力』へ連絡し、電気の解約とあわせて「解体に伴う引込線・メーター撤去」であることを伝えます。すでに電気契約を廃止している場合は、『関西電力送配電』へ引込線・メーター撤去を直接申し込みます。
| 問い合わせ先 | 電話番号 | 受付時間 |
|---|---|---|
| 関西電力 | 0800-777-8810 | 平日9:00〜18:00 ※土日祝・年末年始を除く |
| 関西電力送配電 | 0800-777-3081 ※ダイヤル後「3」を押す | 平日9:00〜17:00 ※土日祝・年末年始を除く ※9:00〜10:00は電話が混み合う |
また、電気の解約・電線撤去はそれぞれ以下のリンクからWeb申請も可能です。
中部電力
現在も中部電力と契約中の場合は『中部電力ミライズ』へ連絡し、電気の解約とあわせて「解体に伴う引込線・メーター撤去」であることを伝えます。すでに電気契約を廃止している場合は、『中部電力パワーグリッド』へ引込線・メーター撤去を直接申し込みます。
| 問い合わせ先 | 電話番号 | 受付時間 |
|---|---|---|
| 中部電力ミライズ | 地域により異なります | 地域により異なります |
| 中部電力パワーグリッド | 0120-985-232 | 平日9:00〜17:00 ※土日祝・年末年始を除く |
また、電気の解約・電線撤去はそれぞれ以下のリンクからWeb申請も可能です。
【事例】電線撤去で実際に起きたトラブルとその防止策
ここでは、解体工事前の電線撤去で実際に起きたトラブルと、その防止策を紹介します。
「電線撤去の連絡漏れ」で工期が2週間遅延……解体業者との連携ミス
新築工事を控えていたAさんは、「電線撤去の手続きは解体業者が代行してくれるもの」と考えていました。一方で解体業者側は「施主が電力会社へ連絡する前提」と認識しており、双方で確認が行われないまま工事日を迎えてしまいました。
そのため解体当日になっても建物には電気が通ったままの状態となり、感電事故の危険があるため重機を入れられず工事は中断。慌てて電力会社へ連絡したものの、すぐには対応してもらえず、実際に電線が撤去されたのは約2週間後でした。
結果として、解体工事全体のスケジュールが大幅に遅れて後続の新築工事にも影響が発生し、重機や作業員の再手配などによる追加費用がかかる事態となりました。

トラブルを防ぐポイント
こうしたトラブルを防ぐためには、契約時の段階で「電力会社への連絡は誰が行うのか」「いつまでに手続きするのか」を明確に確認しておくことが重要です。
マネージャー 辰巳浩晃施主・解体業者・電力会社の3者で電線の撤去日と解体工事開始日を共有しておくことで、電線撤去の遅れによる工期トラブルを防ぎやすくなります。
電気以外のライフライン停止手続き
解体工事前は、電気だけでなくガスや通信回線などのライフラインについても事前手続きが必要です。停止・撤去手続きは契約者本人しか行えないケースも多いため、着工前に早めに準備を進めておきましょう。連絡のタイミングの目安は以下の通りです。
| 項目 | 連絡タイミングの目安 |
|---|---|
| ガス撤去 | 着工1週間前 |
| 電話線撤去 | 着工1ヶ月前 |
| ケーブルテレビ・光回線解約 | 着工1ヶ月前 |
| 水道停止 | 完工後に閉栓 |
マネージャー 辰巳浩晃なお、連絡時は「解体工事に伴う撤去」であることを必ず伝えましょう。単なる利用停止・解約だけでは設備が残ったままになる場合があります。
それでは、それぞれの手続き内容を詳しく解説します。
ガス撤去
都市ガスやプロパンガスを使用している場合は、着工1週間前までを目安にガス会社へ連絡しましょう。
ガス撤去ではガスメーターの取り外しに加え、公道側のガス管と敷地内のガス管を切り離す「閉塞工事」が必要になるケースがあります。この閉塞工事の費用は2万円〜3万円程度が目安です。また、個別プロパンガスの場合は、契約内容によってボンベ・設備撤去費として1万円〜2万円程度を請求されることがあります。
電話線撤去
固定電話を利用している場合は、NTTなど契約中の通信会社へ電話線撤去を依頼します。申し込みから撤去まで10日以上かかるケースもあるため、解体工事の1ヶ月前を目安に手続きを進めると安心です。撤去費用は基本無料ですが、電話線の種類によっては費用が発生する場合があります。
マネージャー 辰巳浩晃空き家などで契約会社が分からない場合は「116」へ電話することで契約先を確認できます。
ケーブルテレビ・光回線解約
ケーブルテレビはCATV会社へ、光回線は契約中のプロバイダーや回線事業者へ連絡しましょう。停止完了や撤去工事まで数週間かかることもあるため、解体工事の1ヶ月前を目安に手続きを進めると安心です。
また、契約期間中の解約では違約金や撤去費用が発生するケースもあります。費用や解約条件は契約内容によって異なるため、事前に契約書やマイページで確認しておきましょう。
なお、契約時に貸与されたモデム・ルーター・ONUなどの機器は返却が必要な場合があります。未返却だと機器損害金を請求されることもあるため、解体前に回収・返送を済ませておくことが大切です。
※水道は解約しないでください
水道は解体工事中の粉塵飛散を防ぐ散水に使用するため、工事前に解約しないでください。閉栓は解体工事完了後に行います。工事中の水道代は5,000円〜1万円程度が目安で、原則として施主負担となるケースが多いです。

【FAQ】解体工事の電線撤去に関するよくある質問
解体工事中に電気は使いますか?
はい、工事中は重機や機材を動かすための電力が必要です。
そのため建物の電気を停止・撤去した後は、解体業者が仮設電気を設置して対応するのが一般的です。
解体工事中の電気代は誰が負担しますか?
工事中の電気代については明確なルールがなく、施主負担・業者負担のどちらになるかは契約内容によって異なります。
トラブル防止のためにも、事前に「誰が負担するのか」「施主負担の場合は見積もりに含まれているか」を確認しておきましょう。また、施主負担となる場合は電気料金の請求書や使用量を確認できるようにしてもらうと安心です。
まとめ
解体工事前の電線撤去は施主・解体業者・電力会社の連携が欠かせません。特に「誰が何を手配するのか」が曖昧なままだと、工事の遅延や追加費用につながる可能性があります。
そのため解体業者との認識違いによるトラブルを防ぐためにも、契約前に以下の点を確認しておくと安心です。
- 電力会社への連絡は誰が行うのか
- 電線撤去はいつまでに完了させる必要があるのか
- 追加費用が発生するのはどのような場合か
マネージャー 辰巳浩晃こうした点を事前に確認しておくことで、電線撤去の遅れによる工期トラブルや想定外の費用負担を防ぎ、解体工事をスムーズに進めやすくなります。
