この記事の案内人・編集長
稲垣 瑞稀
2026年1月7日、北海道江別市の地域コミュニティの中心である大麻銀座商店街が大規模な火災に見舞われました。1964年の誕生以来約60年にわたり、新旧の文化が交差する場として親しまれてきた商店街の火災は、地方都市に多く残る「古い建築構造の脆弱性」という課題を改めて浮き彫りにしました。
この記事では、被害拡大の背景、解体工事における課題、そして復興に向けた動きを解説します。
- 大麻銀座商店街の火災被害の状況と背景がわかる
- 解体工事で直面する主な課題がわかる
- 商店街再建に向けた支援や取り組みがわかる
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ニュースの概要
- 発生場所:大麻銀座商店街(北海道江別市)
- 報道日:2026年2月23日
- 対象:火災で被害を受けた14店舗およびその敷地
- 事案:大規模火災からの再建に向けた被災建物の解体工事が開始された。
先月、江別市で14店舗が焼けた大麻銀座商店街の火事で解体工事に向けた作業がきょう(23日)から始まりました。
(中略)
先月7日、大麻銀座商店街のオートバイ販売修理工場から出た火は他の店舗にも延焼。商店街によりますとこの火事で14店舗に被害が及びました。60年近い歴史のある商店街の約4割が営業出来なくなった火事から1カ月余り、再建に向けた作業が始まりました。
なぜ被害は拡大したのか
今回、商店街全体の約4割にあたる14店舗が被災し、完全鎮火まで約18時間を要しました。被害拡大の背景には、主に次の3つの要因があったと考えられます。
- 長屋構造による延焼リスク:
複数の店舗が壁を共有し、屋根裏もつながっていたため、火元から隣接店舗へ延焼しやすい構造となっていました。 - 気象条件による消火活動への影響:
激しい吹雪と積雪により、消防活動が大きく制約されました。 - 可燃物の存在による火勢の増大:
ガソリンやタイヤなどの可燃物が火勢を強めました。
解体に伴う主な課題
2月23日、現地では解体に向けた準備が始まりました。解体工事は1ヶ月以上かかる見通しです。今回の工事では、長屋構造に起因する技術的課題に加え、冬季施工や法規制への対応も求められます。
① 排雪を含む施工条件への対応
北海道の冬季解体では、重機を搬入する前に十分な排雪作業が必要です。作業スペースを確保し、安全に施工できる環境を整えなければなりません。積雪環境は工程や作業効率に直接影響します。
運営者 稲垣雪や氷の上では重機が不安定になり事故の危険が高まるため、初期の排雪作業が重要です。
② 長屋構造に伴う縁切り工事への対応
長屋の縁切りは、建物同士を切り離す工程です。長年つながっていた構造を分離するため、切断後に残る建物の安定性を十分に確認する必要があります。
そのうえで、共有している梁や桁を順序立てて切断し、火災熱の影響を受けた部材を処理します。隣接建物への影響を抑えるため、振動を最小限に抑えた施工方法が求められます。
運営者 稲垣境界部分の扱いについて所有者間で調整が必要になる場合もあります。技術面に加え、事前の合意形成も重要なポイントです。
長屋の切り離し工事の詳細については、以下の記事で解説しています。

③ 被災建物の安全管理への対応
火災によって構造部材が高温にさらされた建物は、外観上の損傷が軽微に見えても強度が低下している可能性があります。そのため、解体に先立ち、倒壊リスクや二次災害の危険性を慎重に確認する必要があります。
また、焼損部分と非焼損部分が混在する場合は重機による一括解体ではなく、手作業を併用しながら段階的に撤去することが求められます。作業員の安全確保と周辺建物への影響抑制が重要となります。
火災後の解体工事の実務的なポイントについては、以下の記事でご紹介しています。

④ アスベスト対策と法令順守への対応
1960年代建設の建物では、アスベスト含有建材が使用されている可能性があります。
解体時のアスベスト対策は2021年以降の法改正により大幅に厳格化されており、有資格者による事前調査と結果報告、湿潤化や手ばらしによる飛散防止措置などが義務付けられています。
アスベストを含む建材が使用された建物の具体的な解体手順や注意点については、以下の記事で解説しています。

まとめ:商店街再建に向けた取り組み
今回の火災は大きな被害をもたらしましたが、商店街の構造や防災対策を見直す機会にもなっています。大麻銀座商店街の岸本佳廣理事長は「ここはまだまだ出発であって、更地になって次のステップに進めるようにという考えの方が今は強い。」と話しています。
再建に向け、民間の支援も始まっています。北海道NPOファンドが立ち上げた支援ファンドには、2月22日時点で754万1,964円の寄付が集まっています。
