【解体ニュース解説】東京都内の商業ビル解体工事装い手付金500万円だまし取る 静岡県

【解体ニュース解説】解体工事を装い現金500万円をだまし取る詐欺が発生のサムネイル
稲垣 瑞稀

この記事の案内人・編集長

稲垣 瑞稀

解体業界で6年間働く中で感じた『正しい情報が届かない』というもどかしさから、全記事の企画・編集に責任を持っています。専門家への直接取材を通じ、業界経験者として分かりやすい情報提供をお約束します。

2026年2月、東京都内の商業ビル解体工事を名目とした架空の取引で、静岡県の建設会社から現金500万円をだまし取ったとして、男女6人が逮捕されました。

しかし本件は、解体工事の実務に照らし合わせれば、契約前にいくつかの不自然な点が確認できたはず

今後同じような被害を増やさないため、「架空工事」の手口や被害を防ぐために確認すべき実務的なポイントを解説します。

この記事でわかること

・架空工事により静岡県の建設会社から現金500万円をだまし取った事件の概要
・今回の架空工事の不自然な点や違和感
・同様の被害を増やさないための対策

目次
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ニュースの概要

  • 報道日:2026年2月16日(月)

東京都内にある商業ビルの解体工事があるかのように装い、県中部地区の会社から現金500万円をだまし取った詐欺の疑いで、警察は自称・不動産業の男ら6人を逮捕しました。

警察によりますと6人は2021年2月、共謀の上、東京都台東区の商業ビルを解体する工事があるかのように装い、静岡県中部地区の会社から解体工事の手付金として、現金500万円をだまし取った疑いがもたれています。

手付金を支払い、工事を請け負うと思っていた会社が、解体工事が存在しないことに気づき、警察に相談して事件が発覚しました。

引用:都内のビル解体装い現金500万円詐取の疑い 熱海市の自称・不動産業や仙台市の僧侶ら男6人を逮捕(静岡南署)|静岡第一テレビ

逮捕されたグループは2021年頃、静岡県の建設会社役員に対し、「東京都台東区にある商業ビルの解体工事がある」と持ちかけ、手付金として500万円を受け取りました。しかし実際には工事の実体がなく、約5年が経過した2026年2月にようやく検挙に至りました。

運営者 稲垣

この事件では容疑者らが「不動産業」「僧侶」「元暴力団幹部」といった役割を演じ分けていました。
地方の建設業者にとって東京の商業ビルという大型案件は魅力的です。そこに「僧侶」という社会的信用や、「元幹部」という権威を匂わせる人物が介入することで、被害者は正常な判断がしづらい状況に置かれていたと考えられます。

どうすれば架空工事を見抜けた?事件の違和感を解説

今回の事例では、どのようにすれば架空工事だと見抜けたのでしょうか。

解体工事の専門家から見たやり取りや契約内容の不自然な点や違和感を解説します。

1. 500万円の手付金

今回の事例で最も違和感を抱くべきは500万円の手付金です。

今回の容疑者は解体業者に案件を持ちかけているため「元請け」のような立場を装っています。
通常、解体工事の下請けが元請けに手付金を支払うことは基本的にありません。この時点で警戒すべき事例だったと言えます。

しかし今回は「東京の商業ビル」という大型案件。それ相応の利益が見込める分、「他にも競争相手がいる」などの状況を利用して手付金の存在に信憑性を持たせた可能性があります。

2. アスベスト事前調査報告書が不在

今回は架空の解体工事だったため、当然「アスベスト事前調査報告書」は被害者に提出されなかったことになります。
しかし元請けの立場を取るのであれば、アスベストの有無を調査した報告書を下請けに提出する必要があります。

(解体等工事に係る調査及び説明等)
第十八条の十五 建築物等を解体し、改造し、又は補修する作業を伴う建設工事(以下「解体等工事」という。)の元請業者(発注者(解体等工事の注文者で、他の者から請け負つた解体等工事の注文者以外のものをいう。以下同じ。)から直接解体等工事を請け負つた者をいう。以下同じ。)は、当該解体等工事が特定工事に該当するか否かについて、設計図書その他の書面による調査、特定建築材料の有無の目視による調査その他の環境省令で定める方法による調査を行うとともに、環境省令で定めるところにより、当該解体等工事の発注者に対し、次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面を交付して説明しなければならない。
一 当該調査の結果

引用:大気汚染防止法|e-Gov法令検索

2026年現在、アスベスト調査と報告に関する法令については「必ずどの建物も有資格者が事前調査すること」など、調査の概要が厳しく定められていますが、2021年2月はアスベストに関する法改正の直前でした。

規制が強化される直前だったため、本来必要な手続きを曖昧に誤魔化しやすかった可能性があります。

運営者 稲垣

現在ではアスベスト事前調査報告書を必ず提出する義務があるため、「まだ調査が終わっていないから」など提出を誤魔化す言い回しには注意しましょう。

同じような被害に遭わないための対策

このような架空工事による被害を防ぐには、相手の言葉を鵜呑みにせず、客観的な情報で裏付けを取ることが大切です。

行政情報の活用

今回は「不動産業」「僧侶」「元暴力団幹部」などの肩書きを利用していましたが、本来であれば元請けの立場を取る相手の実態を調査するべきです。相手の実在性と適法性を確認するために、以下の公的データベースを活用しましょう。

  • 建設業者・宅建業者等企業情報検索システム(国交省)
    取引相手が正規の許可業者であるかを確認します。
  • 解体工事のお知らせ(標識設置届)
    東京都内などの一定規模以上の解体工事では、着工前に標識の設置と役所への届出が義務付けられています。対象地の区役所で届出状況を確認すれば、その工事が実在するかどうかはすぐに判明します。

現地を必ず確認する

今回は東京での案件だからと現地を確認していなかった可能性が高いですが、本来500万円もの手付金を支払うのに一度も現地確認をしていないのは不自然です。

必ず自社の担当者が現地に赴き、建物の状況やテナントの退去状況を確認してください。「来月から解体」と言われているのにテナントが通常営業しているような場合は、計画自体が怪しいと判断できます。

書類を精査する

口約束や簡易な覚書ではなく、建設業法に基づいた正規の「工事請負契約書」を締結しましょう。その際、必ず以下の書類の提示を求めてください。

  • 石綿事前調査結果報告書
  • 産業廃棄物処理計画書(処分場の委託契約書案など)

これらの書類が出てこない場合、その案件は法令を遵守していないか、実体のないものである可能性が高いと言えます。

まとめ

今回の事件は、建設業界の一部に残る不透明な商流や、口利きによる紹介文化が悪用された事例と言えます。

しかし現在は法令遵守が厳格化されており、正規の手続きを踏まない工事はリスクでしかありません。「現地を見ずに金銭を支払わない」「法定書類のない契約は結ばない」という基本を徹底しましょう。

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この記事を書いた人

「一個人の責任と情熱で、本当に役立つ情報を発信したい。」

『スッキリ解体』運営責任者。解体業界で6年間働く中で感じた『正しい情報が届かない』という現状を変えるため、全記事の企画・編集に携わり、責任を持って情報発信を行う。

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