この記事の案内人・編集長
稲垣 瑞稀
- 木造解体の7ステップと、各工程の具体的な作業内容がわかる
- アスベストの事前調査や養生・分別など、安全対策と法令のポイントがわかる
- 木造解体の工期の目安と、全体の進め方がわかる
- 木造解体を自分で行う場合のリスクと、業者に依頼すべき理由がわかる
「いよいよ家の解体が始まるけれど、当日はどんな作業が行われるの?」
「騒音やホコリで近所に迷惑をかけないか、雑な工事をされないか心配……」
家を壊すという一生に一度の出来事を前に、現場で何が行われるのか分からず不安を感じている方も多いのではないでしょうか。とくに近隣への影響や、近年厳格化されているアスベスト規制は気になるポイントです。
この記事では、11万件以上の相談対応実績を持つ『あんしん解体業者認定協会』の初田理事が、実際の施工事例をもとに「木造解体の作業手順」を7ステップで解説します。
監修者
現場解説一般社団法人あんしん解体業者認定協会 理事・解体アドバイザー
初田 秀一(はつだ しゅういち)
解体アドバイザー歴15年、相談実績は11万件以上。お客様の不安を笑顔に変える現場のプロフェッショナル。「どんな些細なことでも構いません」をモットーに、一期一会の精神でお客様一人ひとりと向き合い、契約から工事完了まで心から安心できる業者選定をサポート。この記事では現場のリアルな視点から解説を担当。
運営責任者「スッキリ解体」編集長
稲垣 瑞稀(いながき みずき)
解体業界専門のWebメディアでWebディレクターとして6年以上、企画・執筆・編集から500社以上の解体業者取材まで、メディア運営のあらゆる工程を経験。正しい情報が届かず困っている方を助けたいという想いから、一個人の責任と情熱で「スッキリ解体」を立ち上げ、全記事の編集に責任を持つ。
執筆「スッキリ解体」専属ライター
馬場 美月(ばば みづき)
「解体工事の準備から完了まで、初めての方でも迷わないよう、一つずつ丁寧に解説します。」
「初心者にもわかりやすく」をモットーに、解体工事の全工程をステップバイステップで解説する記事を得意とするライター。毎週の専門勉強会で得た知識や業者様へのインタビューを元に、手続きの流れや専門用語を図解なども交えながら、読者が迷わずに理解できる記事作りを心がけている。
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解体した木造の概要
今回解体した建物は、埼玉県川越市にある32坪の木造2階建て住宅です。工期は7日間でした。

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 構造 / 種類 | 木造2階建て / 住宅 |
| 坪数 | 32坪 |
| 所在地 | 埼玉県川越市 |
| 築年数 | 築43年 |
| 工期 | 7日間 |
ステップ1:アスベストの事前調査と、結果の報告・掲示
まずは法令に基づき、有資格者(建築物石綿含有建材調査者)が、健康に悪影響を及ぼすおそれがある「アスベスト」が建材に含まれていないかを確認します。
今回の建物では、屋根の漆喰や外壁の石膏ボードなどを重点的に調査しましたが、アスベストは確認されませんでした。そのため、特別な除去作業は必要ありません。

アスベストの事前調査結果は自治体へ報告し、建設業の許可票とともに現場に掲示します。
理事 初田秀一解体工事におけるアスベストの取り扱いは、2020年の法改正により規制が強化されました。現在では、事前調査を行わない場合や自治体へ虚偽の結果を報告した場合、30万円以下の罰金の対象となります。
出典:石綿障害予防規則、大気汚染防止法
第三条 事業者は、建築物、工作物又は船舶(鋼製の船舶に限る。以下同じ。)の解体又は改修(封じ込め又は囲い込みを含む。)の作業(以下「解体等の作業」という。)を行うときは、石綿による労働者の健康障害を防止するため、あらかじめ、当該建築物、工作物又は船舶(それぞれ解体等の作業に係る部分に限る。以下「解体等対象建築物等」という。)について、石綿等の使用の有無を調査しなければならない。
(中略)
4 事業者は、事前調査については、前項各号に規定する場合を除き、適切に当該調査を実施するために必要な知識を有する者として厚生労働大臣が定めるものに行わせなければならない。ただし、石綿等が使用されているおそれが高いものとして厚生労働大臣が定める工作物以外の工作物の解体等の作業に係る事前調査については、塗料その他の石綿等が使用されているおそれがある材料の除去等の作業に係るものに限る。
(中略)
第四条の二 事業者は、次のいずれかの工事を行おうとするときは、あらかじめ、電子情報処理組織(厚生労働省の使用に係る電子計算機と、この項の規定による報告を行う者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。)を使用して、次項に掲げる事項を所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。
第三十五条 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、三十万円以下の罰金に処する。
一 第七条第一項、第十七条の六第一項、第十八条第一項若しくは第三項、第十八条の二第一項、第十八条の七第一項又は第十八条の二十九第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。
(中略)
三 第十六条又は第十八条の三十五の規定に違反して、記録をせず、虚偽の記録をし、又は記録を保存しなかつたとき。
なお、解体工事におけるアスベストの取り扱いについては、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

ステップ2:ライフラインの遮断と水道の確保
電気・ガス・電話回線などの供給を停止し、メーターや配線を撤去します。ただし、水道は解体工事中の散水に使用するため、契約を残しておきます。
理事 初田秀一木造解体では木くずや土壁の粉じんが発生しやすく、散水による飛散防止が欠かせません。水の確保は近隣への配慮としても重要です。
ステップ3:足場と養生シートの設置

建物の周囲に金属製の足場を組み、防音・防じん用の養生シートで全体を覆います。今回の現場は住宅密集地のため、解体時に発生する音や木くずが隣家へ広がらないよう隙間なく丁寧に養生シートを張ります。
なお、養生シートなしで解体工事を実施するリスクは、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

ステップ4:内装材と住宅設備の撤去

重機を入れる前に、人の手で建物内部の備品や設備を取り除きます。畳・建具・断熱材・システムキッチン・ユニットバス・サッシのガラスなどを一つひとつ分別して回収します。
理事 初田秀一家具や家電などの残置物がある場合は、この段階であわせて搬出されます。ただし、残置物の撤去を業者に依頼せず、事前に自分で処分しておくと解体費用の削減につながります。
残置物を自分で撤去する方法については、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

ステップ5:屋根材・壁材の取り外し

続いては瓦屋根の撤去です。瓦は重量があるため、載せたまま重機で柱を壊すと建物のバランスが崩れて倒壊リスクが高まります。そのため職人が屋根に登り、一枚ずつ手作業で下ろします。
屋根と並行して外壁材も手作業で撤去します。あらかじめ外壁を外しておくことで、重機解体時の破片の飛散を防ぎ、廃材も種類ごとに分別しやすくなります。

理事 初田秀一外壁の裏側にはホコリが溜まっていることが多いため、撤去時は散水しながら作業し、粉じんの飛散を抑えることが重要です。
ステップ6:重機による構造体・基礎の解体

いよいよ重機を投入し、建物の骨組みから土台までを解体します。先端がはさみのような形状をした「フォーク(グラップル)」というアタッチメントを使用し、木材を一本ずつ掴んで分解するように取り除いていきます。
構造体を撤去したあとは、地中に残った基礎コンクリートを掘り起こします。
理事 初田秀一木造の基礎は比較的シンプルな構造のため、鉄骨造やRC造に比べて短期間で撤去できるのが特徴です。
ステップ7:敷地の整地と清掃

すべての構造物を撤去した後、地面を平らに整えます。重機で地面を踏み固める「転圧(てんあつ)」を行い、コンクリート片や木くずなどの残材が残らないよう、最後は手作業で清掃します。
理事 初田秀一その後の建築や売却がしやすいきれいな更地に仕上げられ、すべての工程が完了します。
【FAQ】木造解体の手順に関するよくある質問
木造の解体工事にかかる期間はどれくらいですか?
一般的な30坪~40坪程度の木造住宅であれば、実働で7日~10日程度が目安です。
内訳としては、足場・養生の設置に1日、内装解体に1~2日、建物本体の解体と搬出に3~4日、整地に1日程度かかります。ただし、悪天候による作業中断や、手壊しが必要な現場、地中埋設物が見つかった場合などは工期が延びることがあります。近隣トラブルを防ぐための丁寧な事前挨拶や準備期間を含めると、余裕を持って2週間程度は見ておくと安心です。
木造住宅は自分で解体できますか?
木造解体は法律上、自分で行えますが、手続きや安全面のハードルが高くおすすめしません。
たとえば、着工前の「アスベスト事前調査」はすべての建物で義務化されており、実施には専門資格が必要なため個人だけで完結させられません。また、高所作業の危険性や廃棄物処理の複雑さも伴います。
そのため、解体工事は専門業者に一括して依頼するのが安心かつ確実です。
まとめ
木造解体はアスベストの事前調査から整地まで、7つの工程を経て進められます。各工程では安全性と周辺環境への配慮が重視されており、分別や養生といった丁寧な準備が工事全体の品質やスムーズな進行につながります。
理事 初田秀一一連の工程はすべて法令に基づいて行われており、専門的な知識と経験が求められます。安全に工事を進めるためにも、解体業者へ依頼することが望ましいでしょう。
なお、解体業者の選び方は以下の記事で詳しく解説しています。

また、木造解体の費用相場や内訳については以下の記事でご紹介しています。あわせてご覧ください。

