この記事の案内人・編集長
稲垣 瑞稀
福井県坂井市の解体業者『吉勝重建』は、労働災害の防止を目的とした「令和8年安全大会」を開催しました。空き家の増加や能登半島地震の復興工事などを背景に、解体現場ではこれまで以上に高度な安全管理が求められています。
この記事では安全大会の内容とともに、坂井市の空き家の現状や被災家屋解体の課題、2026年現在の解体工事における安全規制について解説します。
- 坂井市で開催された解体業者『吉勝重建』安全大会の概要
- 坂井市の統計データと能登半島地震から見る、空き家・被災家屋解体の課題
- 2026年現在の解体工事における安全規制と法的義務
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ニュースの概要
- 発生場所:福井県坂井市丸岡町
- 報道日:2026年3月8日
- 対象:解体業者『吉勝重建』の社員、および協力会社の作業員(約400人)
- 事案:福井県坂井市の解体業者である吉勝重建は「令和8年安全大会」を開催した。空き家解体の増加を受け、研修では転落事故防止のため安全帯(フック)の正しい使用方法などを再確認。また、能登半島地震の復興工事に携わった社員や協力会社の表彰も行われ、約400人の作業員が安全管理の徹底を誓った。
解体工事で労働災害を無くそうと、坂井市内の解体業者が7日安全大会を開き、作業員は安全管理の徹底を誓っていました。
安全大会を開いたのは坂井市内の解体業の吉勝重建で、社員や協力会社の作業員およそ400人が参加しました。
県内で空き家など老朽化した家屋の解体が増加する中、研修では転落防止に使用する安全帯のフックの正しいかけ方などを改めて確認しました。
坂井市の解体業者が直面する課題
今回の安全大会開催の背景には、坂井市エリアで進む高齢化による空き家問題と、能登半島地震の復興工事という二つの課題があります。こうした状況を受け、空き家や被災家屋の解体への対応が求められています。
運営者 稲垣空き家や被災家屋は老朽化や損傷により構造が弱くなっていることも多く、解体作業では事前の建物調査や重機の振動を抑えた慎重な解体手順など、通常以上の安全管理が重要です。
① 高齢化に伴う空き家問題への対応
坂井市では高齢化が着実に進んでいます。国勢調査によると、65歳以上の人口は1950年には4,598人でしたが、2020年には25,434人まで増加しました。これに伴い、高齢化率も1950年の5.9%から2020年には29.0%まで上昇しています。

高齢化の進行に伴い、住まなくなった住宅が空き家として残るケースも増えています。坂井市内の空き家数は4,370戸に達し、前回調査より200戸増加しました。このうち賃貸や売却の予定がない空き家は2,820戸で、全体の約65%を占めています。

運営者 稲垣所有者の入院や相続などをきっかけに空き家の管理が行き届かなくなることが多く、解体時には老朽化が進んでいるケースも少なくありません。
② 能登半島地震の被災家屋解体への対応
坂井市の解体業者は、能登半島地震の復興支援にも携わってきました。
石川県によると、能登半島地震で被災した建物のうち公費解体の申請があった建物は44,148棟に上ります。このうち、土砂崩れで現場に近づけない建物などを除いた42,385棟の解体が進められました。
こうした解体作業は2026年1月頃まで続き、公費解体は完了しています。
運営者 稲垣全壊や半壊した建物は耐震性が大きく低下しているため、解体作業中はわずかな振動でも崩れる「二次倒壊」のリスクがあります。
解体作業における安全規制と対策(2026年時点)
解体工事の現場では、労働災害や健康被害を防ぐために様々な安全規制が定められています。とくに近年は、アスベスト対策や高所作業の安全管理などの規制が強化されており、解体業者には法令に基づいた厳格な対応が求められています。
解体現場で求められる安全規制には、以下のようなものがあります。
| カテゴリ | 規制内容の概要 | 根拠法令・条文 | 主な義務内容 |
|---|---|---|---|
| アスベスト事前調査 | 解体前に石綿(アスベスト)の有無を確認 | 大気汚染防止法 第18条の15 | 解体・改修前にアスベストの有無を事前調査する。2026年からはボイラーなどの工作物も有資格者による調査が義務化。 |
| 有資格者によるアスベスト管理 | 専門資格者による調査と作業管理 | 労働安全衛生法 第14条 | 事前調査は石綿含有建材調査者が実施し、現場には石綿作業主任者を配置する。 |
| アスベスト調査結果の報告・掲示 | 行政への報告と現場掲示による情報公開 | 大気汚染防止法 第18条の17 | 一定規模以上の工事は調査結果を電子報告し、現場に結果を掲示する。 |
| 墜落・転落防止対策 | 高所作業時の安全装備の義務化 | 労働安全衛生規則 第521条 | 高さ2m以上で作業床がない場所ではフルハーネス型安全帯を着用する。 |
| 呼吸用保護具の管理 | 防じんマスクの着用と密着確認 | 石綿障害予防規則 第44条 | 防じんマスクを着用し、定期的にフィットチェックを行う。 |
| 重機作業の安全管理 | 作業区域の管理と安全誘導 | 労働安全衛生規則 第151条の7 | 重機の旋回範囲を立入禁止とし、誘導員配置と有資格者による運転を徹底する。 |
法令・条文を表示する
第十八条の十五 建築物等を解体し、改造し、又は補修する作業を伴う建設工事(以下「解体等工事」という。)の元請業者(発注者(解体等工事の注文者で、他の者から請け負つた解体等工事の注文者以外のものをいう。以下同じ。)から直接解体等工事を請け負つた者をいう。以下同じ。)は、当該解体等工事が特定工事に該当するか否かについて、設計図書その他の書面による調査、特定建築材料の有無の目視による調査その他の環境省令で定める方法による調査を行うとともに、環境省令で定めるところにより、当該解体等工事の発注者に対し、次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面を交付して説明しなければならない。
第十四条 事業者は、高圧室内作業その他の労働災害を防止するための管理を必要とする作業で、政令で定めるものについては、都道府県労働局長の免許を受けた者又は都道府県労働局長の登録を受けた者が行う技能講習を修了した者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、当該作業の区分に応じて、作業主任者を選任し、その者に当該作業に従事する労働者の指揮その他の厚生労働省令で定める事項を行わせなければならない。
第十八条の十七 特定工事のうち、特定粉じんを多量に発生し、又は飛散させる原因となる特定建築材料として政令で定めるものに係る特定粉じん排出等作業を伴うもの(以下この条及び第十八条の十九において「届出対象特定工事」という。)の発注者又は自主施工者(次項に規定するものを除く。)は、当該特定粉じん排出等作業の開始の日の十四日前までに、環境省令で定めるところにより、次に掲げる事項を都道府県知事に届け出なければならない。
第五百二十一条 事業者は、高さが二メートル以上の箇所で作業を行う場合において、労働者に要求性能墜落制止用器具等を使用させるときは、要求性能墜落制止用器具等を安全に取り付けるための設備等を設けなければならない。
第四十四条 事業者は、石綿等を取り扱い、若しくは試験研究のため製造する作業場又は石綿分析用試料等を製造する作業場には、石綿等の粉じんを吸入することによる労働者の健康障害を予防するため必要な呼吸用保護具を備えなければならない。
第百五十一条の七 事業者は、車両系荷役運搬機械等を用いて作業を行うときは、運転中の車両系荷役運搬機械等又はその荷に接触することにより危険が生ずるおそれのある箇所に当該作業場において作業に従事する者が立ち入ることについて、禁止する旨を見やすい箇所に表示することその他の方法により禁止しなければならない。ただし、誘導者を配置し、その者に当該車両系荷役運搬機械等を誘導させるときは、この限りでない。
まとめ:安全な街づくりのために
統計が示すように、管理されていない空き家は老朽化が進み、倒壊や事故のリスクを高める要因になります。安全に解体作業を進めるためには業者による適切な安全管理だけでなく、所有者による早めの対応も重要です。
運営者 稲垣空き家の放置を防ぎ、早期の解体や活用を検討することは、地域の安全を守るうえでも大切な取り組みです。
なお、空き家解体については以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

