この記事の案内人・編集長
稲垣 瑞稀
「家の売却や建て替え時の解体工事は、不動産会社に任せるべき?」と迷っていませんか?
結論からお伝えすると、不動産会社への一任はおすすめしません。解体業者へ直接依頼した方が、中間マージンなどの費用を抑えつつ、自身に合った優良業者を選びやすいからです。
本記事では、不動産会社経由と直接依頼のメリット・デメリットを専門家の視点で比較し、実際に費用を抑えられた事例をご紹介します。
自分で手配する際の注意点も解説していますので、納得のいく解体工事を進めるための参考にしてください。
- 不動産会社への解体工事依頼をおすすめしない理由
- 「不動産会社への一任」「分離発注」それぞれのメリット・デメリット
- 分離発注で減額できた事例とお客様の声
- 優良な解体業者の探し方と見極めるためのチェックポイント
監修者
現場解説一般社団法人あんしん解体業者認定協会 お客様窓口 マネージャー
辰巳 浩晃(たつみ ひろあき)
解体工事のご相談・現場調査の立会い・見積書説明など、お客様窓口としてお客様の不安解消と工事サポートに注力するマネージャー。「同じ解体でも、ひとつとして同じ現場はない」を信条に、一件一件の個性を大切にしながら、お客様が晴れやかな気持ちで工事当日を迎えられるよう伴走。お持ちの見積書が適正かどうかも、数分のお電話で判断できるよう、第三者目線でのアドバイスを心がけている。この記事では現場のリアルな視点から解説を担当。
運営責任者「スッキリ解体」編集長
稲垣 瑞稀(いながき みずき)
解体業界専門のWebメディアでWebディレクターとして6年以上、企画・執筆・編集から500社以上の解体業者取材まで、メディア運営のあらゆる工程を経験。正しい情報が届かず困っている方を助けたいという想いから、一個人の責任と情熱で「スッキリ解体」を立ち上げ、全記事の編集に責任を持つ。
執筆「スッキリ解体」専属ライター
丸山 夏実(まるやま なつみ)
「”わからない”という不安を、”わかった!”の安心に変えるお手伝いをします。」
はじめて解体工事に直面する方の不安な気持ちに、誰よりも共感することを大切にするライター。数多くの業者インタビューや専門勉強会を通じて、プロの専門用語を一般の方にもわかりやすく伝える。読者と同じ目線に立ち、一緒に不安を解決していくパートナーのような記事作りを信条としている。
解体費用、たった30秒でわかります
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※ 概算は目安です。正確な金額は現地調査による見積もりが必要です
不動産会社への解体工事一任はおすすめしません
土地の売却や建て替えの際、不動産会社に相談するのは一般的です。解体工事まで一任した場合、解体の専門ではない不動産会社は下請け業者へ発注し「中間マージン」が発生します。
このように、不動産会社を経由すると、実際の工事費用に2〜3割程度の手数料が上乗せされます。例えば本来200万円の工事なら、240万〜260万円を支払う計算になります。
運営者 稲垣この仕組みを踏まえ、「不動産会社に一任する場合」と「自分で解体業者を探す場合」のメリット・デメリットを比較してみましょう。
不動産会社に一任するメリット・デメリット
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 窓口が一つで済むため、手間がかからない | 中間マージン等で費用が割高になる傾向がある |
| 売却スケジュールと連携してくれる | 細かい要望が業者まで伝わりにくいことがある (例:残してほしいと伝えたはずのブロック塀が解体されてしまうなど) |
| 解体後に対応する不動産会社からの紹介のため、業者の信頼性はある程度担保される | 業者同士を比較できず、費用が適正か判断しにくい (例:提示された金額が相場より数十万円高くても、それが普通だと思い込んでしまうなど) |
不動産会社は、提携先の中でスケジュールが合う業者へ発注するため選択肢が限定されます。
売却などのスケジュールに合わせて手配してもらえる反面、費用の安さは重視されず、中間マージンだけでなく「工事費用そのものが割高な業者」になる可能性もあります。
運営者 稲垣手間や時間を省きたい方には便利ですが、費用を抑えたい場合は慎重に判断する必要があります。
自分で解体業者を探す(分離発注)メリット・デメリット
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 中間マージンが発生しない | 業者探しや契約に手間と時間がかかる |
| より専門性の高い業者を厳選できるため、工事費用を抑えやすい (例:木造アパートの解体が得意で、工期を短縮できる専用重機を持っている業者を選ぶなど) | 不動産会社とのスケジュール調整を自分で行う必要がある |
| 複数の業者を比較して自分にとって最適な業者を選べる | |
| 業者と直接やり取りでき、要望を正確に伝えやすい |
「土地の売却は不動産会社」「解体工事は解体業者」と、それぞれ直接依頼する手法を「分離発注」と呼びます。
分離発注のメリットは、中間マージンがかからないうえ、条件に合った業者を自分で選ぶため費用を安く抑えやすい点です。
さらに、業者と直接やり取りすることで、伝達ミスや認識のズレも防げます。
高額な解体費用はその後の資金計画に影響します。費用を適正に抑え、納得のいく工事にするためにも、時間や余力が許す限り「自分で解体業者を探す」のがおすすめです。
運営者 稲垣不動産会社に「相見積もりで妥当性を確認したい」と伝え、自分でも1〜2社から見積もりを取りましょう。費用の適正価格がわかり、価格交渉の材料にもなります。
なお、分離発注については以下の記事で詳しく解説しています。よろしければあわせてご覧ください。

【体験談】解体業者に直接依頼して費用を抑えた事例
実際に、不動産会社経由ではなく、ご自身で解体業者に直接依頼をしたことで費用を抑えられた事例を『あんしん解体業者認定協会』で11万件以上の相談対応実績を持つ辰巳マネージャーにご紹介いただきました。
現場解説
一般社団法人あんしん解体業者認定協会 お客様窓口 マネージャー
辰巳 浩晃 (たつみ ひろあき)
解体工事のご相談・現場調査の立会い・見積書説明など、お客様窓口としてお客様の不安解消と工事サポートに注力するマネージャー。「同じ解体でも、ひとつとして同じ現場はない」を信条に、一件一件の個性を大切にしながら、お客様が晴れやかな気持ちで工事当日を迎えられるよう伴走。お持ちの見積書が適正かどうかも、数分のお電話で判断できるよう、第三者目線でのアドバイスを心がけている。この記事では現場のリアルな視点から解説を担当。
マネージャー 辰巳浩晃築40年の木造2階建てアパート(約48坪)を売却のために解体したOさんの事例をご紹介します。不動産会社に提示された見積もりが「高い」と感じたOさんは、自分で解体業者2社から相見積もりを取りました。実際の見積書を用いて解説します。
【栃木県さくら市 Oさんの事例】
・不動産会社の提示した見積もり総額:約258万円
・分離発注で実際に解体を依頼した金額:約166万円
→約92万円の減額に成功!
不動産会社に提示された見積書
合計金額:2,585,952円

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| 名称 | 数量 | 単位 | 単価 | 金額 |
| 木造2階建て | 48.00 | 坪 | 35,000 | 1,680,000 |
| 養生シート | 212.00 | m2 | 1,200 | 254,400 |
| 鉄骨階段撤去・舗装撤去 | 1.00 | 式 | 250,000 | |
| 浄化槽撤去 | 1.00 | 式 | 100,000 | |
| 重機回送費 | 2.00 | 回 | 30,000 | 60,000 |
| 諸経費 | 1.00 | 式 | 50,000 | |
| 残置ゴミ別途見積り | ||||
| 小計 | ¥2,394,400 | |||
| 消費税 | ¥191,552 | |||
| 合計金額 | ¥2,585,952 | |||
マネージャー 辰巳浩晃中間マージンの分、費用は割高に設定されています。
また、不動産会社が手配した業者は鉄骨造の解体がメインで、木造アパートの実績が見当たりませんでした。そのため、想定外のリスクを見越した見積もりや、長めの工期設定による人件費の増加も、費用がかさんだ要因と考えられます。
分離発注した解体業者2社の見積書
マネージャー 辰巳浩晃Oさんが、木造アパートの解体実績が豊富で、口コミの良い業者2社に見積もりを依頼したところ、どちらも不動産会社の提示額より70万~90万円ほど安くなりました。中間マージンがないことを差し引いても、かなり費用を抑えられた結果にOさんは驚いていました。
A社の見積書
合計金額:1,661,180円

見積書の書き起こしを表示する
| 摘要 | 数量 | 単位 | 単価 | 金額 |
| 1.木造2階建集合住宅解体工事 | 138.85 | m2 | 8,200 | 1,138,570 |
| 2.2階廊下撤去 | 22.68 | m2 | 4,500 | 102,060 |
| 3.屋根材処分費 | 8 | ㎥ | 18,500 | 148,000 |
| (石綿含有処分) | 0 | |||
| 4.同上最終処分場運搬費(4t) | 1 | 台 | 35,000 | 35,000 |
| 5.建物解体養生費(単管シート張り) | 130 | m2 | 650 | 84,500 |
| 南・東側2方向 H=7.2m | 0 | |||
| 6.重機回送費 | 1 | 式 | 30,000 | 30,000 |
| <別途事項> | ||||
| *建物内部残置物がある場合は別途見積になります。 | 0 | |||
| *参考までにアスファルト撤去(建物北側)約65m2有ります。 | 0 | |||
| 撤去の場合は約¥450,000-位かかります。 | 0 | |||
| 小計 | 1,538,130 | |||
| 消費税 | 123,050 | |||
| 合計 | 1,661,180 | |||
B社の見積書
合計金額:1,803,600円
見積書の書き起こしを表示する
| 名称 | 規格 | 単位 | 数量 | 単価 | 金額 |
| 1.仮設養生 | 東・南面 | ||||
| ①単管パイプ組み | 3面養生 | m2 | 179.20 | 630 | 112,896 |
| ②防炎シート | 1.8-7.0 | m2 | 179.20 | 120 | 21,504 |
| 2.木造2階建コロニアル葺 アパート 解体工事 | 49.56坪 | ||||
| ①内部造作 解体・運搬・処分 | m2 | 163.84 | 3,000 | 491,520 | |
| ②躯体 解体・運搬・処分 | m2 | 163.84 | 3,700 | 606,208 | |
| ③基礎 解体・運搬・処分 | m2 | 81.92 | 3,200 | 262,144 | |
| 3.浄化槽 撤去・運搬・処分 | 基 | 1.00 | 20,000 | 20,000 | |
| 4.重機回送費 | 0.25クラス | 回 | 2.00 | 25,000 | 50,000 |
| 5.諸経費 | 式 | 1.00 | 108,000 | ||
| 値引き | 2,272 | ||||
| 小計 | 1,670,000 | ||||
| 消費税 | 133,600 | ||||
| 計 | ¥ 1,803,600 | ||||
結果、現地調査時の親切な対応なども含めてA社に解体を依頼したOさん。
分離発注したおかげで、約92万円の費用節約ができました。
※減額幅は建物の構造や立地条件、業者によって異なります
マネージャー 辰巳浩晃Oさんが見積もりを依頼した2社は、どちらも木造アパートのような大型建物の解体を得意としていました。専用重機が充実しているため工期も短く、結果的に安価な解体が実現したのです。ご自身の物件に最適な業者に絞り、効率よく比較検討できた良い事例と言えます。
マネージャー 辰巳浩晃また、費用面だけでなく「現地調査での丁寧な対応を直接確認できたことで、安心して任せられた。その後の土地売却もスムーズに進んだ」と、Oさんは嬉しそうに語ってくれました。
分離発注で費用を抑えたお客様の声
この記事を監修している『あんしん解体業者認定協会』の中野理事によると、分離発注により費用を抑えられた事例は多くあると言います。
理事 中野達也ここでは、分離発注により解体費用を削減できたお客様の声をご紹介します。
ハウスメーカーさんの見積より50万円も安くなったことに私も妻も驚きました。浮いたお金で念願のウッドデッキが作れました。(静岡県/水島様)
引用:お客様インタビュー|解体無料見積ガイド
ハウスメーカーから出された見積 450 万円より 260 万安くなり 190 万円になりました。(東京都/鈴木様)
引用:お客様インタビュー|解体無料見積ガイド
建築会社が紹介してくれた業者と同条件で比べたら40万円安くなったんです。(東京都/舟橋様)
引用:お客様インタビュー|解体無料見積ガイド
理事 中野達也不動産会社やハウスメーカーの見積もりをそのまま受け入れる方は多いです。しかし、「分離発注」や複数社で比較する「相見積もり」を行い、数十万円単位で費用を抑えられる可能性があることをぜひ知っておいてください。
取り壊し工事・外構工事共に、ハウスメーカーから紹介された業者よりも50万円ほど安くすみました。それでいて丁寧な工事で、イメージ通りに仕上げて頂きました。(千葉県/佐藤様)
引用:お客様インタビュー|解体無料見積ガイド
近隣にご迷惑をかけられない状況の中、最大限配慮しながら工事を進めていただけたことがありがたかった。(埼玉県/堤様)
引用:お客様インタビュー|解体無料見積ガイド
理事 中野達也解体業者と直接やり取りすることで、担当者の対応や安全管理の姿勢などを比較し、安心して任せられる業者を判断できた、というお客様の声もありました。
自分で解体業者を探す方法と選び方
解体業者の探し方
ご自身で業者を探す際の、主な方法は以下です。
- インターネット検索と口コミを確認する
「地域名 + 解体業者」などでWeb検索し、業者の公式サイトを確認する方法です。施工実績、会社概要、保有している資格などがしっかり記載されているかチェックします。また、Googleの口コミなどを参考に、過去の評価や近隣対応への評判を確認するのも一つの目安です。 - 自治体の登録業者名簿を確認する
解体工事業の登録を受けている業者の名簿を公式サイトで公開している自治体があります。解体工事に必要な許可を持っている証拠となり、地元に根付いた正規の業者を探す際の重要な情報源です。また、国土交通省の建設業者検索システムで建設業の許可を受けている業者の検索が可能です。
- 複数社から相見積もりを取る
1社のみでは金額の妥当性が判断できません。3社程度から見積もりを取り、比較検討を推奨します。
極端に安い業者は、必要な工程を省いているリスクがあります。(例:廃材を適正処理せずに不法投棄する、防音・防塵の養生を省き近隣クレームを受けるなど) - 解体専門の一括見積もりサイトを活用する
効率的に探す手段として、解体業界に特化した一括見積もりサイトの利用が挙げられます。物件情報などを入力すると、一定の審査基準をクリアした複数の業者を紹介してもらえるサービスです。ご自身で一から探す手間が省け、悪質な業者に当たるリスクを軽減できる利点があります。
優良な解体業者を選ぶためのチェックポイント
候補となる業者が見つかったら、費用だけでなく「法令遵守」と「近隣配慮」の観点から依頼先を見極めます。
- 「建設業許可」または「解体工事業登録」の確認
解体工事を行うための行政の許可・登録を受けているか、業者や行政の公式サイトや検索システムなどで確認します。 - 見積もり項目の透明性
「解体工事一式」表記ではなく、「足場養生費」「重機回送費」「廃棄物処分費」などを細かく記載してくれる業者を選び、追加費用のトラブルを防ぎます。 - アスベスト事前調査への対応力
大気汚染防止法では、解体工事前には「有資格者による調査」が必須と定められています。適切に事前調査・報告を行い、見積もりに調査費用を明記している業者を選びます。
出典:大気汚染防止法
(解体等工事に係る調査及び説明等)
引用:大気汚染防止法|e-Gov 法令検索
第十八条の十五 建築物等を解体し、改造し、又は補修する作業を伴う建設工事(以下「解体等工事」という。)の元請業者(発注者(解体等工事の注文者で、他の者から請け負つた解体等工事の注文者以外のものをいう。以下同じ。)から直接解体等工事を請け負つた者をいう。以下同じ。)は、当該解体等工事が特定工事に該当するか否かについて、設計図書その他の書面による調査、特定建築材料の有無の目視による調査その他の環境省令で定める方法による調査を行うとともに、環境省令で定めるところにより、当該解体等工事の発注者に対し、次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面を交付して説明しなければならない。
一 当該調査の結果
二 当該解体等工事が特定工事に該当するとき(次号に該当するときを除く。)は、当該特定工事に係る次に掲げる事項
イ 特定粉じん排出等作業の対象となる建築物等の部分における特定建築材料の種類並びにその使用箇所及び使用面積
ロ 特定粉じん排出等作業の種類
ハ 特定粉じん排出等作業の実施の期間
ニ 特定粉じん排出等作業の方法
三 当該解体等工事が第十八条の十七第一項に規定する届出対象特定工事に該当するときは、当該届出対象特定工事に係る次に掲げる事項
イ 前号に掲げる事項
ロ 前号ニに掲げる特定粉じん排出等作業の方法が第十八条の十九各号に掲げる措置を当該各号に定める方法により行うものでないときは、その理由
四 前三号に掲げるもののほか、環境省令で定める事項
- マニフェスト(産業廃棄物管理票)の発行
廃棄物の処理及び清掃に関する法律では、産業廃棄物が適正に処理されたことを証明するマニフェストの交付が義務付けられています。工事後にマニフェストの写しを提出してくれるか事前に確認しましょう。
出典:廃棄物の処理及び清掃に関する法律
(産業廃棄物管理票)
引用:廃棄物の処理及び清掃に関する法律|e-Gov 法令検索
第十二条の三 その事業活動に伴い産業廃棄物を生ずる事業者(中間処理業者を含む。)は、その産業廃棄物(中間処理産業廃棄物を含む。第十二条の五第一項及び第二項において同じ。)の運搬又は処分を他人に委託する場合(環境省令で定める場合を除く。)には、環境省令で定めるところにより、当該委託に係る産業廃棄物の引渡しと同時に当該産業廃棄物の運搬を受託した者(当該委託が産業廃棄物の処分のみに係るものである場合にあつては、その処分を受託した者)に対し、当該委託に係る産業廃棄物の種類及び数量、運搬又は処分を受託した者の氏名又は名称その他環境省令で定める事項を記載した産業廃棄物管理票(以下単に「管理票」という。)を交付しなければならない。
- 近隣配慮への真摯な姿勢
解体工事は騒音や粉塵を伴います。事前の挨拶回りを広範囲に丁寧に行ってくれるか、現地調査時の担当者の態度から誠実さを見極めます。
なお、以下の記事では「優良業者を見抜く18のチェックリスト」を紹介しています。よろしければあわせてご確認ください。

自分で手配する際の注意点
解体工事を自分で手配するメリットは、業者と直接やり取りできる点にあります。この利点を活かし、税金や売却スケジュールの面でも有利に進めるためのポイントを3つご紹介します。
1. 固定資産税を考慮した解体時期の決定
住宅が建っている土地には「住宅用地の特例」が適用されており、固定資産税が最大6分の1、都市計画税が最大3分の1に軽減されています。建物を解体して更地にするとこの特例から外れるため、翌年の税負担が大きくなる傾向があります。
固定資産税は、毎年「1月1日時点」の土地の状況を基準に課税されます。
売却スケジュールに余裕がある場合は、業者と相談して「年明け(1月2日以降)に着工」するよう調整すれば、翌年の固定資産税を抑えられます。
解体時期による固定資産税の違い(目安)
| 解体完了時期 | 翌年1月1日時点の状態 | 翌年の固定資産税 |
| 12月中に完了 | 更地 | 特例から外れ、税額が上がる(目安:約3〜4倍) |
| 翌年1月以降に着工・完了 | 建物あり | 特例が適用され、軽減された税額のまま |
※自治体によっては、危険な空き家の解消を促進するため、解体後も一定期間(1〜2年程度)特例を継続する独自の減免制度を設けている場合があります。詳しくは、管轄の自治体窓口でご確認ください。
解体後の固定資産税については以下の記事で詳しく解説しています。よろしければあわせてご覧ください。

2. 売却時の「空き家3,000万円特別控除」活用には、解体費用の相場把握が役立つ
相続した実家などの「空き家」を売却する際、一定の要件を満たすと譲渡所得(売却益)から最大3,000万円を控除できる「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」を利用できる場合があります。
※特例の適用条件や実際の税額については、必ず管轄の税務署や税理士などの専門家にご確認ください
出典:国税庁
相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋または被相続人居住用家屋の敷地等を、平成28年4月1日から令和9年12月31日までの間に売って、一定の要件に当てはまるときは、譲渡所得の金額から最高3,000万円(注)まで控除することができます。
これを、被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例といいます。
(注) 令和6年1月1日以後に行う譲渡で被相続人居住用家屋および被相続人居住用家屋の敷地等を相続または遺贈により取得した相続人の数が3人以上である場合は2,000万円までとなります。
引用:No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例|国税庁
古家付きで売り出す場合、買主や不動産会社から「解体費用がかかるので、その分を大きく値引きしてほしい」と買い叩かれるリスクがあります。
運営者 稲垣そこで役立つのが、ご自身で取得した解体工事の見積書です。あらかじめ見積もりを取っておくと、以下のメリットがあります。
- 適正価格の判断材料と交渉の切り札になる
解体費用の相場を知ることで、買主からの過度な値引き要求(例:「解体に300万円かかるので値引きしてほしい」など)に対し、「相見積もりの結果、適正価格は150万円程度でした」と交渉でき、不当な値引きを防げます。 - 売却方法の選択材料になる
「自分で解体して更地で売る」か「古家付きで売る」か、手元に残る金額を正確にシミュレーションした上で、最適な方法を判断できます。
「更地で売る場合」と「古家付きで売る場合」それぞれのメリット・デメリットは以下の記事で詳しく解説しています。よろしければあわせてご確認ください。

3.滅失登記は自分で手続きし、引き渡し日までに完了させる
建物の解体完了後は、1ヶ月以内に法務局へ行き「建物滅失登記」を行うことが不動産登記法で義務付けられています。これを怠ると、存在しない建物に固定資産税が課され続けるだけでなく、更地としての売却手続きを進められません。
出典:不動産登記法
(建物の滅失の登記の申請)
引用:不動産登記法|e-Gov 法令検索
第五十七条 建物が滅失したときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人(共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物の場合にあっては、所有者)は、その滅失の日から一月以内に、当該建物の滅失の登記を申請しなければならない。
滅失登記の手続きは、土地家屋調査士に依頼すると4〜5万円ほどの代行費用がかかるため、費用を抑えるならご自身で行うのがおすすめです。
手続きには、解体業者が発行する『建物取壊し証明書』や『解体業者の印鑑証明書』などが必要です。優良な業者であれば、解体後速やかに書類一式を用意してくれます。
運営者 稲垣業者選びの際は、必要書類の迅速な発行や、登記に関するアドバイスまで丁寧に対応してくれるかを確認すると安心です。
なお、売買契約で定めた引き渡し日までに登記が完了していないと、契約違反となる恐れがあります。解体業者から書類を受け取った後は、速やかに手続きしましょう。
滅失登記の手続きについては以下の記事で詳しく解説しています。よろしければあわせてご覧ください。

【FAQ】解体工事と不動産に関するよくある質問
不動産会社から紹介された解体業者を断っても、売却活動に悪影響はありませんか?
基本的に影響はありません。不動産会社も、お客様が費用を抑えるために比較検討することは十分に理解しています。
もし断るのが気まずい場合は、「今後の資金計画のために、自分でも相見積もりを取って比較したい」「知り合いが使った業者にも見積もりをお願いしている」と伝えれば、角を立てずにスムーズに進められます。
自分で解体業者を探す場合、不動産会社にはどのタイミングで伝えればいいですか?
売却の相談をする際や、不動産会社から解体の見積もりを提示されたタイミングで伝えるのがベストです。
早い段階で「自分でも相見積もりを取りたい(分離発注を検討している)」と伝えておくことで、不動産会社もそれを前提とした売却スケジュールや引き渡し日を調整しやすくなり、後々のトラブルを防げます。
建て替えや住み替えのローンを利用する場合、自分で探した解体業者でもローンに組み込めますか?
多くの場合、「分離発注」でもローンに組み込めます。
ただし、ローン審査の段階で解体業者の「見積書」や「工事請負契約書」の提出を求められるのが一般的です。金融機関やローンの種類によって手続きの条件が異なる場合があるため、早めに金融機関の担当者へ「解体工事は別の業者に分離発注する予定である」旨を伝えて確認しておきましょう。
解体工事のローンについては以下の記事で詳しく解説しています。よろしければあわせてご確認ください。

まとめ
解体工事は、不動産会社に一任せず自分で解体業者を手配(分離発注)すれば、中間マージンを省き、数十万円単位で費用を抑えられる可能性があります。
ご自身の状況や目的に合わせて、以下を検討してみてください。
- 費用をしっかり抑え、手元に資金を残したい方
解体専門の一括見積もりサイトなどを活用し、複数の優良業者から相見積もりを取りましょう。金額だけでなく、アスベスト調査への対応やマニフェストの発行など、法令遵守の姿勢を比較して直接契約を結ぶのが最適です。 - 相続した空き家の売却を予定している方
「空き家3,000万円特別控除」の適用要件を確認しつつ、まずはご自身で解体費用の見積もりを取得してください。適正な相場を把握しておくことが、買主からの過度な値引き要求を防ぐ強力な交渉材料になります。 - 手間を省きたいが、費用が妥当か不安な方
不動産会社に一任する場合でも、提示された見積もりをそのまま受け入れるのではなく、「妥当性を確認したい」と伝え、ご自身で1〜2社から見積もりを取りましょう。適正価格を知ることで、不動産会社との価格交渉もスムーズに進みます。
解体工事は高額な出費であり、その後の生活や資金計画に大きく影響します。まずは、ご自身の物件の解体にかかる「適正価格」を把握することから始めてみてください。


