この記事の案内人・編集長
稲垣 瑞稀
- 渋谷区富ヶ谷のマンション建設現場で起きた盛り土問題の概要がわかる
- 工事中の「一時的な盛り土」と盛土規制法の関係がわかる
- 行政と裁判所で判断が分かれた理由がわかる
- 施主・土地所有者に求められる責任がわかる
東京都渋谷区富ヶ谷のマンション建設現場で発生した「盛り土」を巡り、警視庁が刑事告発を受理した事案が注目されています。
本記事では、このニュースの経緯や法的な論点を整理しつつ、「工事中の盛り土でも規制対象か」「施主や土地所有者にどこまで責任が及ぶのか」といった実務上のポイントを専門家視点で解説します。
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ニュースの概要
- 発生場所:東京都渋谷区富ヶ谷
- 報道日:2026年7月3日
- 対象:地上3階・地下1階建てマンション建設現場
- 事案:東京都渋谷区富ヶ谷のマンション建設現場で、無許可の盛り土を巡る刑事告発を警視庁が受理した。渋谷区は許可不要との見解を示す一方、東京地裁は工事停止を命じており、盛土規制法の適用を巡る判断が分かれている。
盛り土が積み上げられているのは、マンションの建設予定地で、その広さは、2400平方メートルほど。
工事は、2024年10月から始まったといいますが、8か月後の去年6月頃から“盛り土が目立ってきた”と近所の人は話します。引用:東京・渋谷区の高級住宅街に“巨大盛り土” 「これだけ積んであったら不安」住民らの告発状を警視庁受理…本格的な捜査へ|日テレNEWS NNN
工事中の「一時的な盛り土」でも規制対象?
盛土規制法(宅地造成及び特定盛土等規制法)では、一時的な土石の堆積であっても、高さが2mを超える場合や面積が500m2を超える場合など一定の基準に該当すると規制対象です(※規制区域や工事内容によって適用条件は異なります)。
今回の事例では高さ約8mの盛り土が確認されたと報じられており、工事中の仮置きであっても規制対象となる可能性があります。
| 区分 | 盛土規制法上の扱い | 渋谷区富ヶ谷の事例 |
|---|---|---|
| 土石の堆積 | 高さ2m超または面積500m2超で許可対象 | 高さ約8mの盛り土があったと報じられている |
出典:宅地造成及び特定盛土等規制法
第十二条 宅地造成等工事規制区域内において行われる宅地造成等に関する工事については、工事主は、当該工事に着手する前に、主務省令で定めるところにより、都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、宅地造成等に伴う災害の発生のおそれがないと認められるものとして政令で定める工事については、この限りでない。
第四条 法第二条第四号の政令で定める土石の堆積は、次に掲げるものとする。
一 高さが二メートルを超える土石の堆積
二 前号に該当しない土石の堆積であつて、当該土石の堆積を行う土地の面積が五百平方メートルを超えるもの
東京地裁はなぜ住民の申し立てを認めたのか
東京地裁は、今回の工事について「盛土規制法に違反するものと一応認められる」として、渋谷区に工事停止命令を出すよう義務付けました。
近隣住民は「雨が降れば崩れそうだった」「住宅の目の前まで盛り土が高くなり不安だった」と訴え、渋谷区にも繰り返し相談しましたが、「工事中の一時的な土砂の仮置きであり許可は不要」と説明されたとされています。そのため住民らは東京地裁に申し立てを行い、裁判所は住民側の主張を認める判断を示しました。
現在も工事は停止していますが、渋谷区は決定を不服として即時抗告しており、審理は今後も続く見通しです。
運営者 稲垣今回の事例では、行政が「許可不要」と判断した工事でも、裁判所は盛土規制法違反の可能性を認めました。解体工事や造成工事では、法令に基づく許可や安全対策の徹底が重要です。
施主・土地所有者の責任はどうなる?
盛土規制法では、土地の所有者や管理者にも土地を安全に保つよう努める義務が定められています。そのため施工業者の工事で危険な状態が生じた場合でも、放置すれば行政から是正を求められる可能性があります。
運営者 稲垣すべての責任が施主に及ぶわけではありません。とはいえ、工事を完全に業者任せにせず、安全性を確認することが重要です。特に擁壁の撤去や地下工事、傾斜地での解体工事では注意が必要です。
出典:宅地造成及び特定盛土等規制法
第二十二条 宅地造成等工事規制区域内の土地の所有者、管理者又は占有者は、宅地造成等(宅地造成等工事規制区域の指定前に行われたものを含む。次項及び次条第一項において同じ。)に伴う災害が生じないよう、その土地を常時安全な状態に維持するように努めなければならない。
解体工事を依頼する前に確認したいポイント
今回の事例をもとに、施主が工事前に確認しておきたい主なポイントは以下の通りです。
土地が盛土規制法の対象区域か確認する
地域によっては、盛土規制法の規制区域(宅地造成等工事規制区域など)に指定されています。特に、擁壁の撤去・造成・大規模な掘削を伴う工事では規制対象となる可能性があります。
そのため、工事前に自治体の窓口や自治体が公開しているマップなどで対象区域かどうかを確認しておくことが重要です。

土砂の搬出・仮置き方法を確認する
見積もりや工事説明では、発生した土砂の扱いを確認しましょう。
- 現場内に仮置きする計画があるか
- 仮置きする場合の高さ・量・期間はどの程度か
- 盛土規制法などの許可・届出が必要な工事に該当していないか
運営者 稲垣特に「一時的な仮置き」と説明される場合でも、実際には高さや量が基準を超えれば規制対象です。見積もり段階で曖昧な場合は、後から計画変更されるリスクもあるため注意が必要です。
まとめ
今回の渋谷区富ヶ谷の事例では、工事中の「一時的な盛り土」であっても、その規模や状況によっては盛土規制法の対象となる可能性があることが争点となりました。また、行政の判断と裁判所の判断が分かれるなど、法律の解釈に違いが出るケースがあることも明らかになっています。
こうした点から、解体工事や造成工事では事前に工事内容・土砂の扱い・安全対策の内容などを確認し、トラブルを未然に防ぐための備えが重要です。
なお、優良業者の選び方については以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。


