この記事の案内人・編集長
稲垣 瑞稀
- 東北大学の解体現場で足場が崩れた原因
- 養生パネルや足場が崩れると問題になる理由
- 砂埃や破片の被害を受けた場合の対処法
仙台市青葉区の東北大学片平キャンパスで、解体工事中の足場の一部が崩れました。けが人や巻き込まれた人はいませんでしたが、近くを通った人から警察に通報がありました。
本記事では、足場が崩れた背景や養生パネルごと解体する理由、今回の解体方法に問題はあるのか、近隣で被害を受けた場合の対処法について、解体工事の専門的な視点からわかりやすく解説します。
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ニュースの概要
- 発生場所:宮城県仙台市青葉区の東北大学片平キャンパス
- 報道日:2026年8月28日
- 対象:解体工事現場
- 事案:仙台市青葉区の東北大学片平キャンパスで、解体工事中の足場の一部が崩れた。けが人はなく、周辺施設や大学の授業への影響もなかった。
8月28日正午過ぎ、仙台市青葉区の東北大学片平キャンパスの解体工事現場で足場の一部が崩れました。けがをした人はいませんでした。
養生パネルの一部が崩れた原因

ニュース動画を観ると、解体現場で重機が建物とともに養生パネルを崩している様子が確認できます。そのため、足場や養生パネルを残した状態で建物と一緒に解体したと考えられます。
では、なぜこのような方法を取ったのでしょうか。足場・養生の撤去作業を省き、工期や人件費を抑える意図があったと考えられます。
通常の解体工事では、足場や養生パネルを設置した状態で建物を解体し、作業の進行に合わせて足場・養生も順次撤去します。
一般的な作業の流れは、以下のとおりです。
- 足場・養生を設置
- 建物を上から1階層ずつ解体
- 建物の高さに合わせて足場・養生を1階層分ずつ撤去(2と3の繰り返し)
- 建物と足場の解体が同時に完了
今回の解体では、建物を内側へ引き倒す際に、足場や養生パネルまで巻き込んでいます。これにより、本来必要となる足場・養生の撤去作業を省けるため、作業時間や人件費の削減につながります。
運営者 稲垣足場や養生パネルを建物と一緒に倒す方法は、通常の解体手順とは異なります。コストや工期を優先した解体方法だったと考えられます。
「想定されていた工程」という説明は適切か
今回の現場を担当した解体業者は、足場が崩れた経緯について警察に次のように説明しています。
解体業者は警察に対して、「足場の崩れは、解体工事の中で想定されていた工程だった」と説明しているということです。
周囲に危険が及び、警察が出動する事態につながった施工を「想定されていた工程」と説明するのは適切とはいえません。
その理由は、主に以下の2点です。
養生が機能せず、粉じんや破片が周囲に飛散するため
養生パネルは、解体時に発生する粉じんや破片の飛散を防ぎ、周囲の安全を確保するために設置します。
実際に、テレビ取材を受けた現場周辺の人からは、「風と砂ぼこりがすごかった」との声も出ています。現場周辺で実際に粉じんが舞う状況が確認されていたことが分かります。
そのため、養生パネルを建物と一緒に倒壊させ、粉じんが周囲に広がるような施工は、養生本来の役割を果たしているとはいえません。養生は設置するだけでなく、解体中も適切に機能させる必要があります。
足場が倒壊し、通行人に危険が及ぶため
敷地内へ建物を倒す計画だったとしても、周囲の通行人が危険を感じて通報するような状況を招けば、安全な施工とはいえません。
建物を敷地内へ倒す場合でも、足場や養生が想定どおりに倒れなかった場合のリスクまで考慮する必要があります。
運営者 稲垣周囲に危険が及ぶ可能性がある施工計画は、「想定されていた工程」として適切とはいえません。
砂埃や破片の飛散は違法になる?
今回のように解体工事で砂埃や破片が周囲に飛散した場合、自治体のルールや法令に基づく対応が必要になる可能性があります。
砂埃の飛散は自治体の指導対象になる
通常の解体工事で発生する砂埃(粉じん)は、自治体の環境保全に関するルールや指導の対象になる場合があります。仙台市も、解体工事では防じんシートの設置や散水など、粉じんを抑える対策を求めています。
仙台市の公式サイトでは、解体工事の砂ぼこりが自宅に入るという相談について、必要に応じて指導や要請を行うとしています。
質問
隣地のビル解体工事現場から砂ぼこり(粉じん・ほこり)が風に乗って自宅に入ってきます。指導できるか教えてください。
回答
ご相談の内容を踏まえ、状況によっては現場確認のうえ、発生源に対し、市民から相談が寄せられていることを伝え、必要に応じて指導、要請を行います。
詳しくは環境局環境対策課にお問い合わせください。
破片の落下・飛来には防止措置が必要
物体の落下によって労働者に危険が及ぶおそれがある場合、労働安全衛生規則第537条により、防網の設置や立入区域の設定などを事業者に義務付けています。
出典:労働安全衛生規則
(物体の落下による危険の防止)
第五百三十七条 事業者は、作業のため物体が落下することにより、労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、防網の設備を設け、立入区域を設定する等当該危険を防止するための措置を講じなければならない。
今回のように重機で建物や足場を倒し、破片が落下・飛来するおそれがある場合は、作業員への危険を防ぐ措置が必要です。
砂埃や破片の被害を受けたらどうする?
砂埃の被害は自治体の窓口へ相談
砂埃が周囲に広がっている場合は、市区町村の環境保全窓口や公害苦情相談窓口へ相談します。状況に応じて、自治体から業者へ必要な対策を求めてもらえる場合があります。
破片が飛ぶなど危険を感じたら警察へ連絡
足場や養生パネルの倒壊、破片の飛散などで身の危険を感じる場合は警察へ連絡します。
もし解体工事の安全対策に問題があり、作業員などへの危険が心配な場合は、労働基準監督署への相談も可能です。
運営者 稲垣相談する際は、被害の状況や発生日時、現場の写真・動画などを記録しておくと、状況を伝えやすいです。
まとめ
今回の解体現場では、足場や養生パネルを残したまま建物を内側へ倒す施工が行われ、砂埃の飛散や足場倒壊の危険が生じました。建物の解体と足場・養生の撤去を同時に行う方法は、周囲に危険が及ぶおそれがあります。
今回はけが人や巻き込まれた人はおらず、大学の授業も通常どおり実施されました。しかし、解体工事で足場が傾いている、砂埃や破片が周囲に飛散しているなど、危険を感じる状況を見かけたら放置せず、早めに相談することが大切です。
砂埃の被害は自治体の環境窓口、身の危険を感じる場合は警察、安全管理に関する問題は労働基準監督署など、状況に応じた窓口へ相談しましょう。
適切な養生シートの設置方法や足場については、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。


