この記事の案内人・編集長
稲垣 瑞稀
- 山梨県で発生したベトナム国籍のグループによる空き家窃盗事件の概要
- 管理されていない空き家が窃盗犯に狙われやすい構造的・環境的要因
- 空き家を放置することで所有者が問われかねない法的責任
- 空き家の犯罪被害を防ぐために所有者ができる対策
近年、全国的な社会問題となっている空き家問題。景観の悪化や老朽化だけでなく防犯面でのリスクも深刻化しており、空き家を狙った窃盗や不法侵入事件が各地で発生しています。
こうした中、山梨県では難民認定法違反の疑いなどで逮捕されていたベトナム国籍の男4人に新たな空き家窃盗事件への関与が判明し、再逮捕される方針であることが報じられました。
本記事では、空き家が犯罪の標的になりやすい理由や放置することで生じるリスク、被害を防ぐための具体的な対策を紹介します。
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ニュースの概要
- 発生場所:山梨県甲府市黒平町、高町など
- 報道日:2026年6月22日
- 対象:ベトナム国籍の男4人
- 事案:山梨県内の山間部で相次いだ空き家窃盗事件について、警察は今年4月に難民認定法違反の疑いなどで逮捕したベトナム国籍の男4人を窃盗容疑で近く再逮捕する方針を固めた。甲府市黒平町や高町などでは少なくとも60軒以上の被害が確認されている。
山梨県内の山間部などで相次いだ空き家を狙った事件について、別の容疑で逮捕されていたベトナム国籍の男4人の関与が強まったとして、警察は近く窃盗の疑いで再逮捕する方針を固めたことが捜査関係者への取材で分かりました。
引用:相次いだ空き家を狙った事件 窃盗の疑いでベトナム国籍の男4人を近く再逮捕へ 4月に別の容疑で逮捕 山梨|Yahoo!ニュース
空き家が窃盗犯に狙われる3つの理由
今回の事件は決して特殊なケースではありません。空き家は犯罪者にとって狙いやすい条件がそろいやすく、全国各地で同様の被害が発生しています。ここでは、空き家が狙われやすい主な理由を3つに分けて解説します。
理由1:人に見つかるリスクが低いから
窃盗犯が最も避けたいのは、人に見つかることです。空き家は人の出入りが少なく侵入や物色をしても発覚しにくいため、犯罪者にとって狙いやすい場所になりやすい傾向があります。
特に住宅街から離れた場所や、所有者が遠方に住んでいる空き家では異変が起きても発見が遅れやすくなります。
防犯対策に詳しいセコムIS研究所の浜田宏彰研究員は、人通りが多い都市部よりも、人目につきにくい郊外の空き家が狙われている可能性があると指摘する。
理由2:換金できるものが残されているから
空き家には、現金・預金通帳・貴金属・カード類などの金品が残されている場合があり、犯罪者に狙われやすい傾向があります。また、近年は銅価格の上昇を背景に、エアコンの室外機や給湯器、銅線・配管などの金属類を狙った窃盗も増えています。こうした換金しやすいものが残されていることも、空き家が標的になる理由の一つです。
実際に2021年から2022年にかけて、空き家に残された金品を狙った窃盗事件が発生しています。
茨城、栃木、群馬、埼玉の4県の空き家に忍び込み、金品の窃取を繰り返していたなどとして、埼玉県警は18日、いずれも無職の住所不定の男(31)と埼玉県上尾市の男(27)を邸宅侵入と住居侵入、窃盗、窃盗未遂などの疑いで逮捕したと発表した。
(中略)
捜査3課によると、2人は2021年7月~22年11月、共謀して4県の空き家や住民が不在の住宅79カ所に侵入。現金計約540万円のほか、腕時計などの貴金属約140点(計約430万円相当)を盗むなどした疑いがある。
理由3:放置されていることが分かりやすいから
空き家は、管理状況によって放置されていることが外部から伝わりやすい特徴があります。例えば、以下のような状態は「誰も管理していない空き家」という印象を与えてしまいます。
- 郵便ポストにチラシや郵便物が溜まっている
- 庭木や雑草が伸び放題になっている
- カーテンが閉め切られたままになっている
- 夜になっても明かりがつかない
- 水道や電気の使用形跡が見られない
一度管理されていない空き家と認識されると、窃盗だけでなく不法侵入・不法投棄・放火などの犯罪やトラブルの標的になる可能性もあります。
空き家犯罪を防ぐための社会的な取り組み
相次ぐ空き家窃盗や不法侵入を受け、自治体・警察・解体業界では被害を防ぐためのさまざまな取り組みが進められています。
自治体と警察による防犯対策
全国の自治体では警察と連携しながら空き家対策を進めています。
例えば岐阜市では複数の警察署と協定を締結し、空き家に関する情報共有やパトロールなどの犯罪抑止活動を実施しています。このように自治体と警察が連携することで、不審者の早期発見や防犯対策の強化を図り、空き家を狙った犯罪の抑止につなげる取り組みが進められています。

また、防犯意識の向上を目的とした啓発活動や、空き家所有者への適切な管理の呼びかけを行う自治体も増えています。
民間事業者による空き家管理サービス
空き家を適切に管理するため、民間事業者による管理サービスも普及しています。サービス内容は事業者によって異なりますが、定期的な巡回・郵便物の確認・敷地内の清掃・建物の状態確認などを代行してもらうことで、空き家が長期間放置されることを防げます。
運営者 稲垣特に遠方に住んでいる場合や、相続した実家をすぐに売却・解体できない場合には管理サービスの利用が有効です。
空き家の放置は管理責任の問題にもつながる
空き家への侵入被害は、建物内の物が盗まれるだけの問題ではありません。空き家の所有者には建物を適切に管理する責任があり、管理が不十分な状態を放置すると、法的責任や行政上の指導を受ける可能性があります。
民法上の損害賠償責任を問われる可能性がある
民法第717条では、建物の設置や管理に不備があり第三者に損害が生じた場合、所有者などが責任を負う可能性があると定められています。例えば施錠の不備や建物の老朽化によって不法侵入や事故が発生し、近隣住民などに被害が及んだ場合には損害賠償責任を問われる場合があります。
出典:民法
第七百十七条 土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。
引用:民法|e-Gov法令検索
管理不全空き家に指定される可能性がある
2023年12月に改正・施行された空家等対策特別措置法では、自治体が管理の行き届いていない空き家を「管理不全空き家」に指定できるようになりました。自治体から改善勧告を受けても対応しない場合は、住宅用地に適用される固定資産税の軽減措置が解除される場合があります。
運営者 稲垣住宅が建っている土地には固定資産税が最大6分の1まで軽減される特例がありますが、この特例が解除されると固定資産税が大幅に増える可能性があります。

出典:空家等対策の推進に関する特別措置法
第十三条 市町村長は、空家等が適切な管理が行われていないことによりそのまま放置すれば特定空家等に該当することとなるおそれのある状態にあると認めるときは、当該状態にあると認められる空家等(以下「管理不全空家等」という。)の所有者等に対し、基本指針(第六条第二項第三号に掲げる事項に係る部分に限る。)に即し、当該管理不全空家等が特定空家等に該当することとなることを防止するために必要な措置をとるよう指導をすることができる。
2 市町村長は、前項の規定による指導をした場合において、なお当該管理不全空家等の状態が改善されず、そのまま放置すれば特定空家等に該当することとなるおそれが大きいと認めるときは、当該指導をした者に対し、修繕、立木竹の伐採その他の当該管理不全空家等が特定空家等に該当することとなることを防止するために必要な具体的な措置について勧告することができる。
空き家の犯罪被害を防ぐために所有者ができる対策
将来的に解体や売却を予定している空き家でも、手続きや工事までの期間は防犯対策が必要です。犯罪被害を防ぐため、以下の対策を行いましょう。
定期的な管理で放置されている印象を与えない
前述の通り、空き家が管理されていないことが外から分かると窃盗や不法侵入の標的になる可能性があります。定期的な管理によって「人の出入りがある家」と認識されやすくなり、犯罪抑止につながります。
千葉県警察では、空き家の防犯対策として以下のような取り組みを推奨しています。
- 防犯カメラやセンサーライトなどの防犯機器を設置する
- 窓を施錠し、割れにくいガラスへ交換する
- 庭木の手入れや郵便受けの整理を行う
- 定期的に訪問し、近隣住民と連携して異変を確認できる体制を整える
盗まれやすいものを空き家に残さない
窃盗犯に狙われやすい現金・貴金属・高価な家電・金属製の設備などは事前に持ち出し、可能な限り撤去しておくことが大切です。また、解体や売却を予定している場合は家具や家電などの残置物も早めに整理しておきましょう。
残置物の撤去方法や費用については、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

早めに解体工事を計画する
空き家を長期間放置すると、防犯面だけでなく建物の老朽化や近隣トラブルのリスクも高まります。将来的に解体する予定がある場合は工事時期を先延ばしにせず、早めに解体業者へ相談することが大切です。
運営者 稲垣解体を検討した段階で複数の業者に現地調査や見積もりを依頼し、工事までの流れを把握しておきましょう。早めの準備が空き家の放置期間を短くし、防犯リスクの低減につながります。
空き家の解体については、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

まとめ
今回のベトナム国籍グループによる空き家窃盗事件は、管理が行き届いていない空き家が犯罪の標的になりやすいことを改めて示しました。
空き家を所有している場合は定期的な巡回・清掃・残置物の整理などを行い、管理されている状態を維持することが大切です。解体や売却を予定している場合でも工事や手続きが始まるまでは適切な管理を続け、犯罪被害を防ぎましょう。
