【解体ニュース解説】旭川市の解体現場で電柱傾く 約840戸が一時停電

電柱 倒壊のサムネイル
稲垣 瑞稀

この記事の案内人・編集長

稲垣 瑞稀

解体業界で6年間働く中で感じた『正しい情報が届かない』というもどかしさから、全記事の企画・編集に責任を持っています。専門家への直接取材を通じ、業界経験者として分かりやすい情報提供をお約束します。

2026年4月29日、北海道旭川市の解体工事現場で仮設足場が崩落し、近隣の電柱を巻き込んで倒壊する事故が発生しました。この影響で周辺の約840戸が一時停電となるなど、地域住民の生活に大きな影響を及ぼす事態となりました。

本記事では、今回の旭川市の事故を教訓に「なぜ足場は崩落したのか」という原因の考察から、当事者に問われる「4つの法的責任」、そして「具体的な再発防止策」まで解説します。

この記事でわかること
  • 北海道旭川市の解体工事現場で発生した、足場崩落と電柱倒壊による停電事故の概要
  • 事故を引き起こしたと考えられる「地盤の不安定化」と「足場の構造的な問題」
  • 当事者に問われる可能性のある4つの法的責任(刑事・行政・民事・道路法)
  • 今後同様の事故を防ぐための具体的な再発防止策
目次
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ニュースの概要

  • 発生場所:北海道旭川市
  • 報道日:2026年4月29日
  • 対象:2条通19丁目付近の解体工事現場
  • 事案:2026年4月29日午後、北海道旭川市の解体工事現場において仮設足場が崩落し、近隣の電線に接触した。その影響で電柱は約45度に傾斜し、周辺約840戸が一時停電。けが人は確認されていない。

29日午後、旭川の建物の解体工事現場で足場や電柱が倒れました。この影響で付近の最大837戸が停電しました。

29日午後1時すぎ、旭川市2条通19丁目付近の建物の解体工事現場で、足場や仮囲いが倒れ、近くの電柱も倒れました。

引用:解体工事現場で足場と電柱が崩落 最大837戸が一時停電 重機で地面を掘削中にトラブルか 北海道旭川市|TBS NEWS DIG

なぜ足場は崩落したのか

現時点で詳しい原因は警察が捜査中ですが、事故当時に現場では重機による地面の掘削作業が行われていたということです。

こうした状況を踏まえ、『あんしん解体業者認定協会』で11万件以上の相談対応実績を持つ辰巳マネージャーは、今回の事故原因について「掘削作業による地盤の不安定化」と「足場の構造的な問題」が重なった可能性を指摘しています。

辰巳 浩晃 現場解説

一般社団法人あんしん解体業者認定協会 お客様窓口 マネージャー

辰巳 浩晃 (たつみ ひろあき)

解体工事のご相談・現場調査の立会い・見積書説明など、お客様窓口としてお客様の不安解消と工事サポートに注力するマネージャー。「同じ解体でも、ひとつとして同じ現場はない」を信条に、一件一件の個性を大切にしながら、お客様が晴れやかな気持ちで工事当日を迎えられるよう伴走。お持ちの見積書が適正かどうかも、数分のお電話で判断できるよう、第三者目線でのアドバイスを心がけている。この記事では現場のリアルな視点から解説を担当。

① 掘削作業による地盤の不安定化

電柱倒壊の現場
マネージャー 辰巳浩晃

事故の引き金として考えられるのは、重機による境界付近の掘削作業です。地中の土は構造物を横から支える役割を持っていますが、掘削によってその土が取り除かれることで、地盤の抵抗力が低下した可能性があります。

マネージャー 辰巳浩晃

その状態に重機作業の振動が加わることで足場の安定性がさらに損なわれ、崩落につながったと考えられます。

② 足場の構造的な問題

足場の壁つなぎの図解
マネージャー 辰巳浩晃

足場は通常、建物に「壁つなぎ」で固定されることで安定しますが、解体の進行に伴い固定先が失われていきます。

マネージャー 辰巳浩晃

そのため本来は「控え(やらず)」などで補強し自立性を確保する必要がありますが、これが不十分な場合、地盤の弱体化と重なって足場全体が不安定化しやすくなります。

今回の事故の法的責任

今回の事故は人的被害こそ確認されていないものの、公共インフラである電力網に影響を与え、広範囲の停電を引き起こした点で社会的影響は大きい事案です。今後の調査結果によっては、施工業者に対して「刑事・行政・民事・道路法」の各側面から責任が問われる可能性があります。

① 刑事責任

現場の安全管理に不備があった場合、労働安全衛生法に基づき、足場の倒壊防止措置や掘削時の安全対策義務違反が問われる可能性があります。その場合、現場責任者や事業者に対し「6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金」などの罰則が科される可能性があります(両罰規定あり)。

出典:労働安全衛生法

(罰則)第百十九条
次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、六月以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
一 第十四条、第二十条から第二十五条まで(中略)の規定に違反したとき。

引用:労働安全衛生法|e-Gov法令検索

② 行政処分

安全管理体制に問題が認められた場合、国や自治体から以下のような行政処分が行われる可能性があります。

  • 指示処分(再発防止策の策定など)
  • 業務停止命令(一定期間の工事受注停止)
  • 指名停止処分(公共工事からの排除)

公衆への影響が大きい事故では、企業の信用にも直結するため、厳しい処分となるケースがあります。

出典:建設業法

(指示及び営業の停止)第二十八条
国土交通大臣又は都道府県知事は、その許可を受けた建設業者が次の各号のいずれかに該当する場合又はこの法律の規定(中略)に違反した場合においては、当該建設業者に対して、必要な指示をすることができる。(後略)
3 国土交通大臣又は都道府県知事は、その許可を受けた建設業者が第一項各号のいずれかに該当するとき若しくは同項若しくは次項の規定による指示に従わないとき又は建設業を営む者が前項各号のいずれかに該当するとき若しくは同項の規定による指示に従わないときは、その者に対し、一年以内の期間を定めて、その営業の全部又は一部の停止を命ずることができる。

引用:建設業法|e-Gov法令検索

③ 民事責任

最も影響が広がるのが民事責任です。
電柱や電線の復旧費用に加え、停電に伴う営業損失や家庭への影響などについて損害賠償が発生する可能性があります。

また、作業員の過失であっても、雇用主である企業が責任を負う「使用者責任」により、企業側に賠償義務が生じます。

なお、解体工事を発注した施主については、民法第716条により原則として賠償責任は負いません。ただし、業者に無理な工期を強要したり、違法な指示を出していた場合は例外的に責任を問われる可能性があるため、業者任せにせず安全第一の計画を立ててもらうことが重要です。

出典:民法

(不法行為による損害賠償)第七百九条
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

(使用者等の責任)第七百十五条
ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。

引用:民法|e-Gov法令検索

④ 道路法・条例上の責任

現場が公道に近接していた場合、道路法や自治体条例に基づき、道路損壊や通行支障に関する規定が問題となる可能性があります。
許可条件に違反していた場合には、占用許可の取消や行政指導の対象となることもあります。

出典:道路法

(道路に関する禁止行為)第四十三条
何人も道路に関し、左に掲げる行為をしてはならない。
一 みだりに道路を損傷し、又は汚損すること。
二 みだりに道路に土石、竹木等の物件をたい積し、その他道路の構造又は交通に支障を及ぼす虞のある行為をすること。

引用:道路法|e-Gov法令検索

まとめ:再発防止に向けた具体的な対策

掘削による同様の事故を防ぐためには、解体工事の各段階でリスクを前提とした管理と施工の徹底が必要です。

  • 工事前の影響確認
    電柱や電線などのインフラ、周辺構造物への影響範囲を正確に把握し、作業計画に反映する必要があります。
  • 土留めの設置
    掘削時には地盤の崩れを防ぐ「土留め」を適切に設置し、周辺地盤の安定性を確保します。
  • 手作業での掘削
    電柱や足場に近い箇所では重機の使用を避け、手作業で慎重に掘削することで振動や負荷を抑えます。
  • 足場補強の見直し
    解体の進行に伴う現場条件の変化に応じて足場の補強方法を適宜見直し、安全対策を更新することが重要です。
マネージャー 辰巳浩晃

解体工事は「壊す」作業ですが、それ以上に「周囲を守る」緻密な設計が求められます。施工関係者は電柱一本、電線一筋の背後にある市民生活の重みを再認識し、高度な安全管理を業界標準として定着させなければなりません。

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この記事を書いた人

「一個人の責任と情熱で、本当に役立つ情報を発信したい。」

『スッキリ解体』運営責任者。解体業界で6年間働く中で感じた『正しい情報が届かない』という現状を変えるため、全記事の企画・編集に携わり、責任を持って情報発信を行う。

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